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愛してマスター!
喫茶店のクリスマス。

大好きな人と過ごすクリスマスなんて、女の子ならやっぱり憧れるじゃない?

あたし今年は、その夢叶えちゃいます!
悪魔なのにクリスマス、楽しんじゃいます!




悪魔がメリークリスマス




シャンパンを飲んで酔っ払っちゃったパパ様のいびきに、思わず笑ってしまう。
そう言えばマスターは今夜、パパ様にいくら勧められても頑なにお酒を拒んでいた。
未成年だけど、パパ様に似てお酒が好きなマスターにしては珍しい出来事。

ソファーでくったりしているパパ様に毛布を掛けてあげた(優しい!素敵!好き!)マスターは、あたしの方に向き直ってこう言った。


「キュナ、クリスマス・プチツーリングしよう」


マスターがお酒を飲まなかった理由はこれだったんだと知って、胸がきゅうんとなった。
勿論、断る理由なんて微塵もない。
あたしは満面の笑みで頷いて、マスターの手に引かれてガレージへと向かった。




マスターの愛車から抱き降ろされて見渡したそこは、いつものプチツーリングで何度か来たことのある海辺の公園だった。
でも知らなかった。こんなに夜景が綺麗な場所だったなんて。


「綺麗…」
「普段来る時は昼間か、遅くて夕方だからね」


宝石箱をひっくり返したみたいな夜景を眺めながらマスターは、手袋越しの掌に白い息を吐く。
どうしても繋いで欲しくて寒い中手袋を脱ぐと、それに気付いたマスターも同じようにしてあたしの手を握ってくれた。

じんわりと温もりが伝わってくるのに比例して、あたしの想いも溢れ出しそうになる。


「マスター、大好きです」


言葉に出してもなお、止まることを知らないこの想い。
もどかしくって仕方がない。


「私もキュナが大好きだよ」


あたしの「好き」とマスターの「好き」は厳密には違うって分かってる。
マスターはあたしの「好き」の本当の意味を知らないって分かってる。

でも今は、今はこれでも充分過ぎるほど幸せで、思わず涙が出そうになったあたしの頭をマスターはとっても優しく撫でてくれた。


「また来年も来ようね」


あぁマスター、来年もこんなあたしを、お側に置いてくれるんですね。
好きです。大好きです。愛してます。

メリークリスマス、あたしだけのご主人様。








※悪魔が初めてキリストの誕生を感謝した日。

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あきゅろす。
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