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愛してマスター!
看板娘の趣味。

「キュナちゃん、ほたる呼んで来てくれ」


この人はマスターのお父上。
マスターに拾われて来たあたしを、「看板娘が増えた」だなんて笑って迎えてくれた、優しい人。

最初の内はマスターを呼ぶ度に一緒に振り向いてたけれど。(喫茶店の店主ってそう呼ばれるんだって)


「はい、パパ様!」


パパ様はいつもあたしに飴玉を渡して、マスターを呼びに行くお役目をくれるの。
あたしが呼びに行った方が素直に来てくれるから、って。
それってちょっぴり嬉しい。




ガレージへ行くと、マスターはこちらを背にして何か作業をしていた。
集中しているマスターは、あたしが近付いたぐらいじゃ気付かない。


「マスター」


少し控えめに呼ぶと、顔だけ振り向いたマスターはふにゃりと表情を和らげてくれた。


「キュナ、ごめんねちょっと待って」
「マスター、パパ様が…」
「駄目!こっち来ちゃ」


歩み寄ろうとしたあたしに声を上げるマスター。
いつもはどんなに勢い良く飛び付いたって笑顔で受け止めてくれるのに。
こんなことは初めてで、あたしはつい泣きそうになってしまった。


「もうちょっと、だから」


いつものマスターの優しい声も、何だか悲しく聞こえてしまう。


「出来た!見て、キュナのヘルメット!」


きょとんとしたあたしに嬉しそうに見せてくれたそれは、見慣れない可愛らしいヘルメットだった。

あたしの大好きなピンク色に、黒いコウモリのワンポイントと綺麗な模様が入ってる。
あたしのために子供用のヘルメットを買って、しかもマスター自らペイントしてくれていたみたい。


「ありがとうございます!マスター!」


あたしはもう嬉しくて嬉しくて、思わずマスターの背中に抱き付く。

あたしが少し前に、「乗ってみたい」って呟いたのを覚えててくれたんだ。
それだけでも感激なのに、わざわざ世界で一つだけの、あたしだけのヘルメットを作ってくれるなんて。


「ふふ。じゃあさっそく、プチツーリングでもしますか」


パパ様からのお役目も忘れ、大きく頷いてヘルメットを受け取るあたし。
被ろうとする直前、ヘルメットの縁に書かれた「KYUNA」という文字を見つけて、あたしは胸が熱くなった。




無敵の魔法のヘルメット!




プチツーリングを散々満喫して帰ったら、待ちわびていたらしいパパ様が苦笑いしながら言った。


「遂にミイラ取りがミイラになったか」


だって!








※スペルは「Kyuna Ignatova」という俳優さんから。
ローマ字と変わりませんけど…。

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あきゅろす。
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