柔らかな束縛
お客様は優遇接待。
生徒会役員仲間を見送った私は、扉を閉めた途端に深い溜め息をついた。
後ろのソファーでくつろいでいる私の恋人・大牟田廻を取り巻く環境に、今日は改めてストレスを感じてしまったためである。
いかんせん私は、普段生活する上でどうしても崩せない他人からのイメージというものがあるため、下手に周りへ牽制することができない。
それならばやはり、彼女自身の身体に覚え込ませておかなくては。
もう一つだけ溜め息をついた後、酷く落ち着いたトーン、しかし圧力を込めて、私は静かに口を開いた。
「ファンサービスもいい加減になさい」
廻が纏う空気が凍りついたように感じたのは恐らく気のせいではない。
ゆっくりと振り向くと、両手を膝の上で握り締めたままバツが悪そうな表情で固まる廻の姿があった。
生徒会室の内鍵をロックしてから私は廻の元へと歩み寄り、彼女の隣へ腰を下ろした。
「廻、ねぇ、聞いてるの?」
横から顔を覗き込むも返事はない。
仕方なく身体をこちらに向けさせるが、必死に視線を逸らそうとする。
このままだと埒が開かないので、その顔を捕まえて唇が触れるギリギリまで顔を近づけてやった。
突然の出来事に、息を呑む廻。
それとは逆に、私は彼女の唇をくすぐるように息を吹きかけた。
小さく跳ねた肩に笑みを漏らすと、私はごくごく優しく彼女に問い掛けた。
「廻…?黙ってちゃ駄目でしょう?」
「す、いませ、ん」
「何に対して?」
「色々と、です」
私は笑みを深くして、子供をあやすように彼女の頭を撫でてやる。
それに気が緩んだのか、廻はほっとしたしたように緊張をといた。
「私の気も知らず役員のみんなにあれやこれやと世話を焼かれて調子に乗った彼女達に腕や頬を気安くベタベタベタベタ触らせてしまった上挙げ句の果てにはその無防備さを戒めようとした私にだんまりを決め込んだことを言ってるのね?」
途端に目を見開き再び硬直する廻。
それをいいことに私は、彼女の制服のタイを丁寧に解いていく。
小気味よい音と共に抜き取ったタイが私の手から離れたのと同時、固まっていたはずの身体が今度は僅かに震え出した。
「え…待ってまさか…」
「そのまさかよ。悪いのは廻なんだから、お仕置きが必要でしょう?」
真っ赤になって首を横に振る彼女の露わになった鎖骨に、そっと指を走らせる。
その指にびくりと反応したのを見て取ると、間髪入れずにその場に押し倒した。
さぁ、覚悟なさい。
(い、いやだ!)
(四つん這いになって泣きながら絹華様ごめんなさいって謝るまで許してあげないわよ)
(先が見えない!)
※絹華様の黒さをそろそろ見せとかないとな、と。
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