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最新非科学入門
妻のポジション。

クスクスと、溢れる笑みを隠すこともせず、彼女は私に何度も口付けた。
瞼に柔らかく触れさせてみたり、はたまた少しだけ舌を出して頬を掠めてみたり。
しかし私はどのパターンに対しても大なり小なりの反応を示してしまう。

それを見て更に愉快そうに歪む瞳は、まさに三日月を思わせる。
魅入られて視線を外せなくなった私の下腹部に、雲の様に真っ白な腕がゆっくり伸びてきた。


「そなたの下草は、そなたの髪と同じく薄い色をしておるの」


二つ浮かぶ青い月は少しだけ沈んで、重なり合った太股の方へと照射角度を変えた。


「その上些か量も少ない。これでは隠すものも隠せぬじゃろうて」


確かに力点に対して殆ど抵抗を持たない私のそれは、いっそ直接肌に触れられているかのような感触をもたらす。


「…貴女みたいな人のこと…ッ、ね」
「む?」


至って緩やかな刺激は、くすぶり始めた情欲を悪戯に挑発し頭を熱くさせた。
小さな嬌声と共に一度熱を逃がして、僅かに丸みを帯びた月を睨みつける。


「デリカシーがない、って言うのよ」


横文字に滅法弱い彼女は当然首を傾げ、おぼつかない口ぶりでその単語を復唱しようとする。


「デリカシー、すなわち繊細さ、気配り、配慮」
「それが儂には欠けておると言うのか。心外じゃのう」


胸の頂に軽く歯を立てられ、私は彼女を怒らせたのかと少しばかり後悔した。
だが不思議なことに、跳ねた身体を宥めるように体重を掛けて文字通り目と鼻の先まで近付いた彼女の表情は、実に穏やかなものだった。


「この儂にその様な言葉を掛けられるのはそなただけじゃ。そなたはつくづく儂に相応しい、真に崇高な妻よの」


皮肉を言われたにも関わらずさも嬉しそうに緩むばかりの頬がまた不思議で、私はそっと触れてみた。
すぐに大きな尻尾を揺らして私の胸に擦り寄る彼女は、狐と言うより従順な大型犬だった。




尻に敷かずに胸に抱く




(貴女って存外マゾヒストよね)
(まぞひすと?)
(…何でもないわよ)








※ちょっとだけ気にしていました。下のそれ。

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