アンタとオレの関係 彼がため -01 4月の半ば。 入学式から少し遅れた微妙な時期に来た、転入生。 興味がなかった僕は、はしゃぐ友人の付き添いとして彼を見に行った。 初めて彼を目にしたとき、僕は、彼の中性的な外見に反した強い眼差しに身体が震えた。 今のは気のせいだ、と自分に言い聞かせた矢先、周りを大勢に囲まれて困ったような顔をした彼を見て、気のせいではなかったことを早くも実感した。 この気持ちがなんなのかは、まだよくわからない。 今までに誰かの親衛隊に入ったことはない。 周りの人たちが入隊していくのを見て、バカらしいとまで思っていた。 だけど。 彼の親衛隊になら入りたいと思った。 そこまで考えて、僕は自分の考えの過ちに気づいた。 憧れだけで親衛隊に入ってはいけない。 親衛隊とは、対象人物がより良い学校生活を送れるようにサポートするものだ。 ……………本来は。 今、いくつかある親衛隊のほとんどは、その役割を果たしていない。 僕が親衛隊を厭う理由はそこにあった。 自分が厭うタイプの親衛隊に入ることは、僕のポリシーに反する。 だから、僕は、密かに彼を想うに止めようと思った。 その時、僕をここに連れてきた友人、若葉が呟いたのだ。 「僕、彼の親衛隊に入ろうかなー。あ、でもまだ親衛隊そのものがないや」 親衛隊が、ない? ………これはチャンスじゃないだろうか。 本来の役割を果たす親衛隊ならば、僕のポリシーに反さない。 しかも、まだ親衛隊がないということは、僕の作りたい親衛隊を作ることが可能だ。 幸い、僕は3年生で最高学年。 善は急げっとばかりに、僕は群衆をかき分けて彼の元に向かった。 ◆◇ [戻る] |