アンタとオレの関係
夏休みのご予定
風呂談義が一区切りしたところで、話題は夏休みの過ごし方に変わった。
「遼くんは、夏休みどうするの? 実家に帰るの?」
『んーとねぇ、父さんと母さんと上の兄ちゃんが海外にいるから、そこ行く予定』
「海外って? どこ」
『んーと、フランス?』
「なんで疑問系なの………」
『いやなんかあちこち飛び回ってるみたいで、よくわかんないんだよね』
あはははーと笑えば、周りは溜め息。
「お前が一人で海外行くとか、ホント不安だわ」
『いやいや一人じゃないから。すぐ上の兄ちゃん一緒だもん』
「…………お前、ソイツと仲悪いんじゃないの?」
聞きづらそうな顔しながら、心配そうに聞いてきてくれる健ちゃん。
やっぱこういうトコお兄ちゃんだよなぁ。
『んー、あんまり目ぇ合わせてくれなかったり、口数が少なかったりするだけ。意地悪したりとか喧嘩したりはしないから、大丈夫だよ』
そう言えば、健ちゃんの眉間の皺が少し減った。
『それにねー、真ん中の兄ちゃん、めっちゃくちゃ頭良いんだ! わかんないことは全部兄ちゃんに聞けば答えてくれるもん』
すると、何やら思案顔をしていた和巴ちゃんが徐(おもむろ)に口を開いた。
「ねぇ遼。ひょっとしてその人、少しだけ他人より気難しいだけなんじゃないの?」
『そうなのかなぁ? ………うん、そうかも!』
和巴ちゃんにそう言われたら、なんだかそんな気がしてきた!
夏休みに入ったら、兄ちゃんに積極的に絡んでみよっと。
因みに。
みんなも家の都合で海外に行くみたいだけれど、それ以外は寮にいる予定なんだって。
それなら……
『俺もなるべく早く帰ってくる!!』
「の前に遼はうちに来て俺孝行しなきゃね?」
『え、また行っていいの?!』
「遼なら大歓迎」
『やった!! またれーしのご飯?』
「ふふ、作ってあげるし、手伝わせてあげるよ」
『楽しみーっ!』
「じゃあ俺も、遼が来るまでいるから。そしたら一緒に寮に戻れるよ」
『うん! じゃあ連絡するね』
「だけど遼?」
『ん?』
「それら諸々の前に、俺の授業とテストがあることをお忘れなく」
『………………う゛ぅ』
………せっかく楽しいこと考えてたのに。
嫌なこと思い出しちゃったじゃんか!
◆◇
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