アンタとオレの関係 兄弟 「中山センセに呼ばれてるぞ、兄貴」 「呼ばれてないだろ」 「いえ、今呼ぼうと思いました」 「………………(チッ)」 渋々といった感じで、教壇に戻る怜志。 待ち構えていた中山先生は、バトンタッチとばかりに怜志に出席簿を渡す。 「欠席者はいませんね? 連絡事項も特にありませんので、SHRを終わります」 その言葉と同時に、怜志がにこやかにこちらを見てきた。 「りょーうーvV」 俺にぎゅうぎゅうひっついてくる怜志。 そして、殺気だつ弟有志と先輩方。 「いい加減にしろやバカ兄貴」 「もー、いつからそんな可愛くない子になっちゃったんだか。昔は〔おにーちゃん〕って俺の後ろくっついてきてたのに……」 「………いつの話だ」 「だいたい、身長も兄である俺より10cm以上も高いし」 「好きで高くなったんじゃねぇし。だいたい、うちの遺伝子でそこで止まった兄貴に問題があるんじゃねぇの?」 「ヒドっ。ちょっとちょっと今の聞いた? 遼ちゃん!」 『ゆーしは今でも可愛いけど。でも、身長のことは言っちゃいけないよねー』 まぁ怜志も十分に高いんだけどね? 俺からしたら軽くイヤミだよ、イヤミ。 だけど、そんなことは言わずに怜志に同意する。現実はどうであれ、怜志が言ってることは正しいしね! すると、怜志は勝ち誇ったような顔をして有志を見た。 「ホラ見ろー。遼ちゃんはこんなにも素直でカワイイんだぞっ。少しは見習え愚弟」 「俺がこのナリで遼の性格だったら気持ち悪いだろうが愚兄」 あーあ。有志は怜志相手だといつもより少し饒舌になるんだよねー。 兄貴相手だからなんだろうけど、周りが驚いちゃってるし。 だいたい、怜志も怜志だよ。有志が可愛いならちゃんとそう言ってあげればいいのに。 素直じゃないなーもう。 「それは確かにそうだけど………有志は有志で可愛いんだから安心しろよな!」 抱きつきっ!!(←怜志が有志に抱きついた) ………ベリッ。(←有志が怜志を引き剥がした) 「うぅ、ヒドいよ有志」 「言ってろ。1限行こう、みんな」 とことん怜志の扱いが酷いよね、有志。 でもまぁ、とりあえず移動しなきゃだから。 『みんな行こー! 夾たちじゃあね』 「なんだよ移動教室なのか」 「しょうがないね」 「帰りますか」 こうして、イレギュラーすぎる2週間の初日が幕を開けたのだった。 ◆◇ [戻る] |