アンタとオレの関係
教育実習生
「席についてください。……それではSHRを始めます。ですがその前に………お待たせしました、入ってきてください。明神先生」
………ん? 【明神】先生?
俺は、後ろを振り返って有志を見てみた。
ら、なんだか面白くなさそうな顔をしている。
やっぱりそうなんかなーとか考えていたら………
ガラッ
「「「キャ―――ッ!!!」」」
「か、かっこい…!」
「ねね、明神さまのお兄様じゃない?」
「顔似てるし、名字も一緒だもんね。きっとそうだよ!」
なんだかすっごい騒ぎ。
叫んでるし。
そんな中、件の明神先生は、黒板に【明神怜志】と大きく名前を書いて、有志によく似たその顔でにっこりと笑い、
「明神怜志、と言います。この学年の数学を担当させていただく今年の教育実習生です。ついでに、このクラスの明神有志の兄です」
そう言って、有志を探していたその視線が、有志と共にその前の席に座る俺も見つけた途端、怜志は目を驚きに見開いた。
フリーズした明神先生に、中山先生が心配そうに声をかける。
「どうしました?」
「あ…」
「【あ】?」
「会いたかったよ遼ぅぅう〜っ!! いなくなったって聞いてホント心配したんだぞ!」
『れーし……』
どうでもいいけど、その瞬間移動ばりの俊敏さは、相変わらず心臓に悪いです。
しかも……
『ぐ、ぐる゛じい゛』
ぎゅうぎゅう俺の顔を自分の胸に押し付けるもんだから、息が微妙にできない。
ついでに鼻つぶれそう……。
『れーし、ギブギブ!!』
その状態から俺を救ったのは、やっぱりというかなんというか……有志だった。
◆◇
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