アンタとオレの関係
-05
夾に返事をしてそのまま眠ってしまった翌日、ヤツはとんでもないことを言ってきた。
「じゃあ俺、お前に完璧に振り向いてもらえるように頑張るわ」
え、何その無駄な爽やかさ。
っていうか…
『が、頑張るって……何すんの?』
うん、そこ気になるところだよね。
「そりゃもちろん………俺アピール?」
なぜ疑問系………
『どんな?』
「こんな」
その言葉と共に、俺は夾の腕に抱き込まれた。
思いっきり抱き込まれたその体勢は、夾の体温、体格、鼓動を感じてしまう。
しかも夾は俺の耳に口をつけた状態で囁いてきた。
「遼……好きだ………」
ボンッ!!!
「ククッ……顔が熱いぞ、遼」
『も、バカァ……』
「真っ赤になっちゃって……喰っちまいたいぐらいかわいい」
や、もうお前が俺に対して【喰う】って言うのはヤバいから!
ああもう……また顔が赤くなった気がする。
『っのバカ! 俺もう帰る!』
「そうか……。まぁ、そろそろ試験勉強もしなきゃだしな」
…………ホワッツ?
『い、今なんと?』
「【そろそろ試験勉強もしなきゃだしな】」
『………い、つ?』
「再来週の頭から」
ええええぇぇぇぇえええ!!?
『ヤバいヤバいヤバい!』
「? お前、頭は悪くないだろ? A組にいるぐらいだし」
『俺の成績が上の方なのは、俺の涙ぐましい努力によるものなの! クラス落としてあいつらと離れるなんてヤダっ!!』
「そ、そうなのかι」
『というワケで俺は帰る! 帰って勉強する! んで試験終わったら思いっきり遊ぶんだっ!』
「…………ひょっとしてお前、試験後の遊びを目標にテスト直前のみ頑張るタイプか」
『おーともよ』
「………とことん予想外だな、お前」
『予想、て何』
「あんまり努力しなくてもテストは余裕でパスできるタイプかと」
『ンな天才肌じゃないし』
「お褒めの言葉をどうも」
『ま、まさかお前……』
「ああ。あんまり勉強しなくても大丈夫なタイプ」
『嫌みなやつー』
「要領が良いと言え」
『言えませんー』
「……わからないところがあったらいつでも聞きにきていいぞ?」
『頼りにしてますセンパイ!!』
「変わり身はえーなオイ」
『気にしなーい。じゃあな』
「ああ。いつでも来いよ」
そうして俺は、来る時とは対照的に軽い足取りで夾の部屋を後にしたのだった。
◆◇
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