アンタとオレの関係
お返事
つ、ついに来てしまった。
1007号室の前。
夾の部屋の、前。
夾が言ってたように、ドアは少し開いている。
廊下に並ぶドアの数はこの一つ下までの階とは違って少なく、その間隔は広い。
つまり、一部屋一部屋がめっちゃくちゃ広いのだ。
まっすぐに延びた、人気の全くない廊下で深呼吸。
だって緊張するし。
『っし!!』
いくぞ!!!
「何やってんだお前………」
『あわわっ! な、こ?!』
【な】んで【こ】こに?!
絶対に伝わらないと思ったソレは、意外にも伝わったみたいで。
「お前、独り言がデカいからいるのすぐわかるんだよ」
さいですか。
「………入れよ」
『う、ん』
さっきより少しだけ緊張は解れたけど。
やっぱり部屋の中に入るには決意がいる。
通された部屋は、予想通り広くて、予想以上に綺麗だった。
ってか物が少ない。
あるものと言えば、対面式簡易キッチンにある使いかけの調味料と、デカいテレビの前のガラスのテーブルの上の………缶ビール。
『コラ未成年』
法律いはんー。
「ああ、酒? 1本だけだしいいじゃん。ってかここ、俺のプライベートルーム」
『ってかお酒飲んでたの?』
「打上の後にな。どうも暑くて」
ふーん。へー。
『オヤジくさ(ボソッ)』
「………聞こえてるっつの」
『…………………………』
「…………………………」
『…………………………』
「…………………………」
『…………………………』
「…………………………」
『………なんか喋ろうぜ夾さん』
「……………俺がしたい内容の話をする雰囲気じゃねえんだよ。空気よめ」
空気よめって言われても、ねえ?
俺自身の覚悟がまだできてないんだってば。
◆◇
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