アンタとオレの関係
校内放送を私用で使ってはいけません
教室についた俺たちは、ひとまず号外の内容を読むことにした。
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我々新聞部は、3週間前に転入してきた何かと話題の絶えない佐倉遼と、その手中に落ちない者はいないと評判の、2年生梅原恵の密会を激写することに成功した。
佐倉遼といえば、転入後わずか数日で親衛隊ができるほどの人気ぶりだが、その親衛隊も佐倉遼がタチかネコか不明なことから2つの派閥ができているのが現状である。
だが今回の件で、その論争に決着がつきそうである。
2人は、昨夜8:00頃、寮棟の中庭、噴水前で待ち合わせていたようである。
先に来ていた梅原恵が、現れた佐倉遼に走り寄り、抱きついた。そしてそんな梅原恵を佐倉遼が抱きしめ返したのが左の写真である。
その後、何事か話していた2人だったが、その間もお互いを抱きしめる腕を緩めることはなく、最後にはキスまでしていた(右の写真参照)。
最後には梅原恵が走っていなくなってしまったため、二人の関係がどこまで進んでいるのかは未知数である。
この先、我々新聞部は、この2人にインタビューをし、事の詳細を明らかにしていく所存である。
佐倉遼は、これまで自身の立ち位置を明白にしてこなかったが、今回の件で、はっきりしたも同然ではなかろうか?
ただし、さきの交流会中の生徒会会計、天王院夾との仲も噂されているため、未だ一概には言えない部分もあるだろう。
読者諸君には、次号を期待されたい。
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『アホじゃねぇ?』
これが俺の第一声。
だって、本人に確認も取ってない上に、俺らが何を話していたかも知らない人たちが勝手に話を作り上げて騒いでいるんだ。
どうかしてるとしか言いようがない。
『なぁなぁ、こんなんほっといて、さっさと着替えて朝練行こうよ』
俺が急かすも、他の4人は深刻そうな顔。
そんな中で、蒼太がおもむろに口を開いた。
「遼くんがどんなに否定しても、新聞部がこれだけ騒いだんだから、しばらくはこの話題でもちきりになると思うよ」
「ああ、新聞部は追いかけてくるからな」
健ちゃんも頷いている。
めんどくさいなーだなんて思いながら、こんな時、一番頼りになる和巴ちゃんを見やると……
「…………………」
買Rワっ! 号外を睨みつけています。
「こういうのってなんか………許しがたいよね」
うん、俺には今の和巴ちゃんに意見できるだけの度胸が備わってないデス。
その時、校舎内に放送が流れた。
ピンポンパンポーン
《みなさん朝練中だとは思いますが、生徒の呼び出しをいたします。1年Aぐm………ブブ…どけ、宮古! ちょっ夾!?……ブィーン……遼!! 朝練なんて後回しにして今すぐ生徒会室に来い!!……ブツッ》
ピンポンパンポーン
あー…………すっげ行きたくないわ、俺。
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