アンタとオレの関係 これは…夢……? 突然声をあげた遼に吃驚。 なんだか、甘い空気も飛んでいってしまった。 というか……何がわかったというのだろうか、コイツは。 もし、俺の気持ちがわかったというのなら、もう少し違う反応をするだろう(むしろもう少し顔を赤くするとかしてほしい)。 だからこの可能性はない。 分身は元気なままだが、俺自身は眉間に皺を寄せてしまった。 しかも、遼は遼で今度は思案顔。 全く理解ができない。 そんな時、ふと遼と目が合った。 と、遼の目に決意の色が。 「夾」 『な…んだ?』 なぜだ。嫌な予感しかしない。 「お風呂上がってから、ね?」 言われたことが、理解できない。 俺の顔は驚愕に歪んでいることだろう。 それなのに。 「もーちょっと温まったらベッドに移動しますか、夾サン」 さらに理解できない言葉を言われた。 俺は、この遼の言葉を額面通りに受け取って良いのだろうか? この学園で、二人きりの寝室のベッドの上ですることといったら1つしかない。 いや1つしかないわけではないが、俺の分身がこうなってしまっているのをお互いが理解している以上は、1つしかない。 期待、しても良いのだろうか。 今夜、遼を抱ける…………? 半年に亘る禁欲生活に終止符を打てるの……か…? そう期待する反面、じゃあ遼のこの清々しいまでの表情はなんなんだとストップをかける自分がいる。 ……考えたくはないが、仮に遼が男を相手にすることになんの抵抗もなく、むしろ抱かれることが好きならばなんとなく、この反応も納得できる。 だが、先ほどのちょっとした性行為の時は真っ赤になってしまっていたハズだ。 辻褄が合わない。 こんなことをグルグルと考えているうちに、遼は俺の腕から抜け出し、湯船から出てしまった。 さらにシャワーを浴びてから、風呂場からも出てしまった。 「先にベッドに行ってるわ」 答えの出ない俺を更に混乱させる一言を残して。 『とりあえず、俺も出るか』 俺は湯船を出て、やはりシャワーを浴びながら考える。 据え膳食わぬは男の恥。 肉体関係から始まる恋だってある。 それにこの場合、抱く側の俺には遼を大事にしたいという気持ちがあるのだ。 特に大きな問題はないはず。 こうして遼を抱く決意をした俺は、遼を追ってベッドルームに向かった。 ◆◇ [戻る] |