アンタとオレの関係 -09 歩くこと10分弱。 懐中電灯の光の輪の中、5mほど先に机が1つ、ぽつんと現れた。 …………あんまり見たくないようなものが上に乗っている。 「日本人形、だな」 こんな森の中に童女を象った日本人形……不自然すぎる。 『その手前の箱の中身は………?』 「【おひとつお取りください】って書いてあるし、開けないとな」 『……うん』 夾が俺の手を離してしまったので、俺は懐中電灯を持っている方の手にしがみついた。 夾の手が箱をゆっくりと開ける。 見ると、箱の内側にもメッセージが。 懐中電灯がその文字を照らし出す。 そこには赤いインクのおどろおどろしい文字が並んでいた。 【この人形(ヒトガタ)を持ってゴールしてください】 「『…………………悪趣味」』 なんでわざわざ【人形】って字に【ヒトガタ】って読み方の指示をつける必要があるんだよ!! 俺は泣きたくなった。 夾は手を箱の中に入れ、何かを取り出した。 『………紙人形?』 「ああ」 夾はすぐにそれをしまい、箱の蓋を閉めた。 その途端………… 《クスンッ……クスンッ……おいて、かない…で………クスンッ》 そこに響く、か細い女の子の泣き声。 見れば、日本人形の首が上下に揺れている。 表情のない日本人形、その動く首、か細い女の子の泣き声。 俺は叫び声を上げ、夾の腕を掴むとそこから走り去った。 ◆◇ [戻る] |