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短編集
[3]
「どうぞ、こちらです!探偵さん」
俺が案内されたのはそれは立派な御屋敷だった。
なんでも高峰っていうのはこの島の網元らしい。家だって周りが壁で囲まれた立派な武家屋敷だ。

「あの、どうかしましたか」

気が付けば彼女、高峰燐がこちらを振り返り尋ねてきた。

「あ、いや。何でもない」

いつの間にか家に見とれていたらしい。俺は意識をこちらに戻し、門をくぐる。目の前に現れたのは、これまた立派な日本庭園だった。

「・・・・」

「ささ、こっちですよ〜」

またもや脳の許容範囲を超えフリーズしている俺を置いて彼女はさきさき進んで行く。

「探偵さ〜ん。早く〜」

「アア、イマイクヨ」





家に入ると俺は客間に通された。
その部屋も立派な部屋だ。

「・・・・」

俺が、世界はここまで不公平なのかと神様に問い正そうとした時、部屋から何かを取って来た彼女が机を挟んで向こう側に座り依頼を話始めた。

「実は、探偵さんにはこの島で起きてる怪奇現象を解決してほしいんです」

彼女の話はこうだ。
なんでも、この家の裏にはこの島唯一の浜辺が存在するらしい。
そして、近頃その浜辺に奇妙な模様が朝になると浮かび上がっているらしい。 最初に見つけたときは子供のいたずらだろうと大人達も気にはせず、すぐ消してその場は収まったのだが、その翌日、全く同じ模様が浜辺に出来ていたらしい。
その日からいくら消してもその翌日の朝には模様が出てくるようになった、というのだ。

「島の子供達にも聞いてみたんですけど誰も知らないって言ってますし。それに浜辺を一晩中見張ったこともあったんですけど、誰も浜辺に現れなかったんです。でもちゃんと朝には模様が出てたんです。もうこれは人の仕業とは考えられません」

「あの〜、それなら御祓いとかやってもらった方がよくないか?」

「こんな島なんかに御祓いを呼べるお金なんてありませんよ。それに大人達はこれを見せ物に観光客が呼べるかもなんて、テレビ局に電話までしてたんです。島の子たちは怖がって浜辺で遊べないっていうのに。探偵さん、お願いです!どうかこの事件解決してください!」

「え〜と、なんで俺なんかを?」

俺が尋ねると彼女は脇に置いていた物を机に広げた。

「これは私が本土に修学旅行に行った時の写真です。それで貴方の事務所の看板を写真に撮ってて」

彼女が指を指した写真には女の子達がうちの看板を囲んでポーズを決めていた。
看板には、当たり前だがちゃんと住所も書いてある。彼女はこれを見て手紙を出したんだろ。

「・・・・」

「か、看板にも、こう書いてるし。此所しかないと思って」

「・・・」

「お願いします!もう探偵さんだけなんです!!」

「・・・一つだけ」

「はい」

「俺は優秀じゃないが、それでもいいか?」

「・・・それじゃあ」

「ええ、この仕事、引き受けましょう」


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あきゅろす。
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