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好きなんだけど!
ムッツリ疑惑






「悠馬、まだ告白せぇへんの?」

「なんですか、いきなり」




笹川昭文単体の撮り直しも珍しいものではなく、それを見ていた中野文哉が、同じく隣で見ていた有村悠馬に話しかけた


同じシーンばかり繰り返すそれに、少し飽きてきたらしい




「いっつもイチャイチャしてるくせに、まだ付き合ってへんねやろ?」

「いつイチャイチャしましたか」

「えっ、無自覚なん?今の若い子ってこわいわー」




本気で意味がわからないらしく、有村は眉間にシワを寄せる




「笹川さんも、満更でもなさそうやん」

「流されやすいだけだと思いますよ」

「家しょっちゅう来んねやろ?襲ってしもて、既成事実でも作ったら?」

「犯罪じゃないですか」

「悠馬は若いのに、マジメやわぁ。めーちゃんの持ってる本なんか、えぐいでー」




何を思い出したのか、中野はぶるりと身体を震わせて顔をしかめた


それを振り払うように少し頭をふってコーヒーを飲むと、壁にもたれてしゃがむ有村の隣に座る

何かを企んでいるように、ニヤリと口角を上げた




「一緒にAV鑑賞して、ヌキ合いっこするとか」

「俺、AV持ってないです」

「うわ、天然記念物」

「見たことありますけど、勃たないですよ」

「……ほな、笹川さんと風呂入ったら、勃つ?」

「余裕で勃ちますね」

「不健全やわぁ」




中野はがっくりと肩を落とす



それと同時に、監督の声が響いた。
どうやらやっと終わったらしい。
笹川が疲れた様子でフラフラとセットからおりてくる



ふと有村と目が合うと、ダレていた表情がびしりと固まった

中野が手招きすると、監督と少し話した後に慌てて走ってくる




「おつかれさん」

「あ、お疲れ……あの、なんで2人ともいんの…?」

「悠馬がどうしても見たいって言うから」

「言ってませんけど」

「こんなんかっこいい顔してるけど、今までAVで勃つか勃たへんかって話を」

「っ、文哉さん」




珍しく慌てた様子の有村に、笹川は遠慮がちに言葉を発した




「いや、お前もそーゆう年頃だし…隠さなくてもいいと思うけど」

「それが、AVも持ってへんらしいわ」

「えっ、何それすげーね…俺のでよかったら貸そうか」

「いらねーから!」




(…笹川さんが見ながらヌいたAV…?)




「悠馬くん、何考えてるか手に取るようにわかるわ…」

「なぁ、有村、大丈夫?」

「やめとき、彼今ムッツリの世界にトランス中やから」






◆後日

「この前言ってたAV、探したけどなかったわ。使うことねーから捨てたかも」

「…い…いらねーって言っただろっ…」




ちょっと残念な有村でした



END





拍手用に、セカンド^p^


有村さんはもちろんムッツリ。



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あきゅろす。
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