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好きなんだけど!
絶体絶命ヒーロー



なんで俺がこんなことされなきゃなんねぇの!?
バカだろ!
マジで終わったらぶん殴る


…終わったら?
無事に解放されるのか?
口封じに殺されるって可能性も、ありえるな…



そこまで考えて、やめた



なんとかして、逃げないと。
携帯もカバンの中だし、マジで誰か来てくんねーかなお願いします



男は俺がおとなしくなったからか、調子に乗って何度も擦り上げてくる

直接触られてもないのに、これだけでイけそう




「ん…っ…ン、んッ…ぅ…!」

「ふふ、腰、動いてるよ」

「…ふ…ぅ………ん、くッ…!」




そりゃ動きもしますよ


とにかくこの熱をなんとかしてほしい。
今はもう冷静な頭で考えらんねー



執拗に乳首をいじられ、ぷくりと勃ったそこは服が擦れるだけでも感じてしまう




「もうガマンできないや…」




急に全ての刺激が止まり、何事かと男を見た




「今すぐ掻き回してあげるからね」




嫌な予感


男は俺のベルトに手をかけると、カチャカチャと興奮した様子でそれをはずしにかかる



掻き回すって何?
何を掻き回されんの


少し前に、無理やり見せられたDVDから最悪の光景が浮かんだ





マ ジ か よ




「んーっ!!!」

「はは、そんなに興奮しなくても、すぐ入れてあげるよ」




それがやだっつってんだよ!

バカじゃねぇのこいつ!
これって犯罪?
男は対象外なの?




「見つけた」




突然、第三者の声が響く



上?



俺と男は同時に顔を上げた



トイレの個室の上から覗き込むように、無表情の龍士がいた。
いろんな意味でこわいんだけど




「アンタ、うちの従業員に何やってんの」




軽々と扉を越え、どんな運動神経なのか、ドアの上に足をかけて止まる



えっ、どうすんの!?
人の上に降りたら死ぬぞ!?




俺の心配もよそに、龍士はなんでもないようにトイレタンクの上に降りた

トイレの神様だ



「お前、っ」

「うちの店で、問題起こさないでくれる?」




伏せる俺の上を脚が通りすぎ、重い音とともに背中にずしりと男が覆い被さる。
それも気を失っているらしく、バランスを崩して俺の背中から滑り落ちた


龍士は下まで降りると、口をふさいでいた布を取ってくれる。
顎が痛い

腕はそのままだけど、俺はやっと解放感に包まれた



助かった…!




「りゅうじ…っ」

「アンタも、変な男に着いていかないでくださいよ」

「つ、ついてったんじゃねーし…!」

「とりあえず、出てください」




龍士は倒れた男を踏み、鍵をあける

俺もそれを踏み越えて外に出ると、龍士は男のポケットを漁りだした




「……こいつ、鍵持ってませんよ」

「んなわけねぇだろ…?」

「ほんと。他のお客さん来ても面倒なんで、ちょっと待っててください」

「えっ、俺放置!?」

「仕方ないじゃないですか。気にならないなら、その格好で出てもいいですよ」




チャリ、と背中で金属音が聞こえ、自分の置かれた状況を思い出す


さすがにこの格好では出れない



俺がためらったのを見て、龍士は気絶する男を担ぎ上げた。
細いように見えるのに、どこにそんな力があるのか




「こいつ縛り上げてから、裸に剥いて鍵見つけたら、すぐに戻ります」

「見つからなかったら…?」

「そのまま戻るしかないですね」

「………がんばってください」

「個室に入って、鍵かけて待っててください」




変な奴が多いので、という言葉に鳥肌が立つ

実際今体験してしまったのだ。
俺は多めに頷いて、急いで個室に閉じ籠った



龍士は男を軽々と担いだまま出ていったらしい



ひとりになると、さっきまでのことがまざまざと思い出される。
身体が震えるのは、恐怖か快感のせいか




「……ぁー…」




安心した途端、身体がじわりと熱くなってきた。
さっきまでの熱がぶり返し、あっという間に足の先まで支配してしまう


どうしよう、また勃ってきたかも



男に飲まされた得体の知れない薬は、まだ俺の中を巡っていた


自分で処理できればいいんだけど、手錠がジャマで触ることも許されない

どうしようもないもどかしさに、身体がぶるりと震える。
解放されない熱が、どんどん溜まっていくみたいだ




「……ッ、これ、ムリ…」




ついに足に力が入らなくなってしまい、俺は閉じた便器の上に座り込んだ


自然と腰が擦り付けるように動くものの、ささやかな刺激のせいで、余計身体がうずく

うずきを止めるためにまた腰を揺らして、悪循環



誰でもいいから、なんとかしてくれ




「ん……」




吐く息が熱い


やべ、このままだと気狂って死ねる。
早く龍士来ねーかな




「久瀬さん」

「…りゅ、じ」

「?ここ、開けてください」




俺は立ち上がると、後ろ手に急いで鍵をあけた

この時間さえもどかしい




「鍵…」

「やっぱり持ってなかったです」

「…っ、う、そだろ」




まさかの結果に、頭が痛くなる

なんで鍵もってねぇんだよ!
あいつ、はずすつもりなかったってことか



でももう俺も限界

たまらなく泣きたくなってきた



鍵が落ちてないか見渡す龍士に、最悪のお願いをするしかなかった




「龍士、っ」

「ん…?」

「……ッ……さわって、もう…俺、ヤバイ…」



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