[通常モード] [URL送信]

好きなんだけど!
3回まわってわん!(五×笹)





「やば、飲みすぎたかも…」

「昭文って、結構弱いよね」

「お前が強すぎんの」




今日は誕生日だとかで、五十嵐んちで宴会


誰の誕生日だったかは忘れた。
家族みたいな五十嵐組のみんなだから、今月誕生日の何人かをまとめてお祝いする、みたいな感じで毎月あるらしい

爽汰の時に初めて参加させてもらって、今日で2回目。
ただ飲みたいだけのみんなは、誕生日なんて最初だけで、あとは好きなように飲んでいた




「眠かったら、こっちおいで」

「んー…」




されるがまま、だるい身体を五十嵐の肩へ預ける

体温が高くて、それだけで眠くなりそう




「部屋で寝る?」




甘やかすような声を、耳元で囁いた



寝ぼけていた頭が覚醒して、一気に血液が逆流する気がする。
耳が、酒のせいじゃなく熱い


五十嵐の指が、意味深に俺の手を握る




「っ、大丈夫…」




慌てて身体を起こすと、五十嵐はおかしそうに笑った。
人の良さそうな、ヤクザだなんて微塵も思わせないような笑顔で

それでも手は握ったまま




「手、離せよ…」

「なんで?」

「みんな、いんのに」

「誰も見てない」




俺の顔を覗き込むように、それこそ、当たり前みたいにキスをする。
繋いだままの手に、じわりと汗が滲んだ




「……ちょっと、興奮した?」

「してねぇ、っ…!」

「顔赤い」

「だから、飲みすぎだって…」

「なんでもいいや。昭文、可愛い」




またキスをして、へらりと笑う




「ね?」




顔を見てられなくて、熱くなった顔を伏せた



途端、背中に衝撃




「どーん!」

「っ、爽汰!?」

「ラブラブ禁止でーす!」




間延びした話し方でやってきたのは、自称陽気なヤクザの爽汰で。
俺の背中に覆いかぶさったままケタケタと笑う




「てめぇ…いい度胸してんなぁ」

「ボス、アッキーの独り占めはダメですよ。ね、みーちゃん?」




無言で頷いたのは、おおよそ『みーちゃん』なんて可愛らしい名前とは程遠い大男。
いつも爽汰に連れまわされているものの、本人も嫌ではないらしい


意外と仲良しなのかも



ギャンギャンと言い合う五十嵐と爽汰を見ながらも内心、助かった、と思った

なんかあーゆう雰囲気は、苦手。
自分がうまくコントロールできなくて、どうしていいかわかんなくなる




「みーちゃんも、飲んでる?」




みーちゃんはこくりと頷いて、遠慮がちに俺の隣に座った




「……若頭のこと、嫌いですか?」

「なんで?」

「なんか今、ほっとしてるような気がして…」

「五十嵐には、内緒ね?」

「はい」




みーちゃんが頷いたのを見て、そっと耳打ちする




「…全然、好きかも」




言ってから、あまりの小っ恥ずかしさに変な汗が噴き出した

ごまかすために一気にビールを煽って、ちらりとみーちゃんを見る。
みーちゃんは、無言で納得したように頷いていた




「…満足?」

「はい」




なんだかんだで、こいつらみんな五十嵐が大好きで。
俺が無下にしようもんならどうなるかわからない


そんな空間は居心地が良いと思う




「俺、ちょっとトイレ行ってくんね」




みーちゃんがぺこりと下げたつるつるの頭を見ながら、廊下に出た



ひやりとした夜風が気持ち良くて、熱い息を吐く。
綺麗に整えられた庭を見ながら少し歩いて、丁度曲がり角の所で止まった




「ストーカー」

「あれ、バレてた?」

「当たり前」




振り返ると五十嵐が立っている


ゆるりとした浴衣を来て、ちょっとだけ気恥ずかしそうに笑った。
恰好良いな、とか、思っても言ってやんねーけど




「何、トイレまでついてくる気?」

「さっき行ったばっかだろ」

「……ストーカー」




見てたのか

なんて奴だ



トイレに行かないのを分かってて、五十嵐は俺を引っ張った


よろめいた身体を易安と腕の中に収めて、首の辺りに擦り寄る

大っきい犬みたいで、五十嵐は可愛い。
少しくせのある髪を撫でて、なに、と耳元で囁いてやった




「…俺にも内緒話、してよ」




ぽつりと呟かれた言葉に、最初は意味が分からなかった


見ると、何故か拗ねているらしい五十嵐



内緒話


俺にも




「みーちゃんのこと?」

「そう。俺にも、して」




どうやらさっきみーちゃんにした内緒話を見てたらしい。
こんなでかくてヤクザのくせに、可愛いとか




「反則」




俺が笑うと、軽く、ほんとに軽いキスをされる




「皆川だけ、ずるい」




皆川はみーちゃんの名字


目の前の大型犬の頭を撫でると、耳としっぽが見えてきそうで



どうしようか。
このままおあずけってのもアリだ。
五十嵐をからかうのは、楽しい




「なんて言って欲しいの」

「なんでもいい」

「……じゃあ、みーちゃんと同じやつね」




たぶん五十嵐は、みーちゃんになんて言ったのかなんて知りたいわけじゃなくて、純粋に内緒話がしたいだけ

それを分かってて、わざと同じことを言ってみる



五十嵐の耳に手を添えて、小さい声で囁いた




「好き」

「…ーっ、!?」




案の定、五十嵐は慌てて俺を見る




「それ、皆川に言ったの?」

「言ったよ」

「っ、俺より、皆川の方が好き…?」

「なんでそうなんの」

「だって、皆川に、好きって…」

「まぁ、一緒ぐらいかな?」




五十嵐は目に見えて落胆し、俺を抱き締める手に力を入れた。
もう横顔しか見えないけど、もしかしたら涙目かもしれない


からかうのはいいけど、ウソがバレた時の反動がこわいんだよな




「…どーやったら、俺の方が好きになってくれる?」

「お前、本気で言ってんの…?」

「本気。俺絶対、皆川より昭文のこと好きだから」




だからなんで、こいつはこんな恥ずかしいことを、堂々と




「ね、俺の方が好きだって言って」

「五十嵐」

「………やっぱ、だめ?」




俺を見下ろすほどの大の男が、可愛い犬に見えるなんて、嘘だ




「うん、ウソ」

「嘘?」

「みーちゃんに、お前のこと嫌いなのか、って聞かれたから、好きって言っただけ」

「……うそ」

「こんな嘘ついてたら、キモいだろ」




五十嵐は頭に花でも咲かせそうな勢いで、見るからにキラキラと目を輝かせていた。
俺の顔を凝視するもんだから、こっちが恥かしくなって、目の前の顔を手で押しのける


それもさらりと外され、おもむろに唇を塞がれた




「んっ、ぅー…!!」

「っは……昭文、可愛い」

「っ、お前に言われたくねーから」

「ね、俺が1番?」

「好きかってこと?」




思いきり頷いて、五十嵐は俺の返事を待っている



たまには好きだって言ってやろうか



そんなことを思っていると、ふと目のはしに見えたもの

俺たちから死角になる、角を曲がった所。
その廊下に揺らめく、数人の影



なんてことだ。
ずっと聞かれてたのか




「…先にあいつらなんとかしたら、答えるわ」




影を指差すと、それはビクリと動いた


小さな声で、どうする、とか言ってるのはたぶん爽汰だな。
隣のでかいのはみーちゃんか

他の影もおろおろと戸惑っているらしい




「誰…」

「ギャー!ごめんなさーい!」

「爽汰が行こうって言い出したんすよー!」

「は、てめー後で覚えてろ!」




爽汰の悲鳴をきっかけに、バタバタと数人の足音が逃げて行く


五十嵐は怒ってる訳でもなく、呆れたようにため息をついていた。
遠ざかる足音を聞きながら、ごめん、と笑う




「これでいい?」

「……聞かなくてもわかんだろ…」

「えー。それ、ずるいね」

「うるせー」




どちらともなくキスをして、ゆっくりたっぷり時間をかけて、口内を味わった

あんまりすると五十嵐の歯止めがきかなくなるから、舌で五十嵐のそれを押し返す



あぁ、不満そうな顔


また後で、と軽く音を立てて唇を離した




「…まぁいいや。後でどうせ、言ってもらえるし」

「なんのこと」

「だって昭文、セックスの時いつも」

「それ以上言ったら帰る」

「あ、ごめんなさい」




部屋に戻る俺の後を、しょんぼりとついてくる姿が可愛いとか



ほんと、末期だわ




≫END




------------------------




リクエストいただきました、五十嵐×笹川でした!

五十嵐ともっとイチャイチャが見たい!とのことで、ありがとうございました楽しかったです(^ω^)
個人的には五十嵐が1番好きです←



エロないと早いですね!
たぶん2日ぐらいで書いたんじゃないかと^p^

ここまでお付き合いありがとうございました!






[*前へ][次へ#]

13/15ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!