[通常モード] [URL送信]

好きなんだけど!
アキさんと温泉3(アキ×笹)



「大丈夫?痛いとこない?」

「……いい、大丈夫」




笹川は大浴場の湯船に浸かり、隣に座って覗き込んでくるアキから目をそらす

散々泣いたせいで、目尻が赤く染まっていた。
それをごまかすように、ざぶん、と湯船に顔を浸ける



時間も時間なだけに、他に入る人は誰もいなかった。
こんな顔も、キスマークだらけの身体も、誰にも見られることなくよかった、と本気で思う




「ね、笹川さん、怒ってる?」

「っ……別に、お前が誰を好きでも…関係ねーし…」




顔を上げたものの、ぽたぽたと髪から雫を垂らし、消え入りそうな声で囁いた


アキは嬉しそうに、笹川の顔を覗き込む




「オモチャ使ったこと、怒ってる?って聞いたんだけど」




笹川は俯いたまま、何も言わなかった



アキから見える耳は真っ赤で、何も言えなかったのは、聞かなくても分かってしまう


もう一度ぐらい泣かせてやりたいのは山々だったが、そろそろ本気で嫌われかねない



アキは笹川の顔を上げさせ、顎を掴んだまま、ほぼ無理やりにキスをした




「っは……も、やめろよ…!」

「なんで?俺のこと、好きになっちゃう…?」

「…ッ、なんで、俺が…」

「じゃあ、なんで泣いたの。なんで怒るの?」

「だから、怒って、ねー…って……」




押し返してきた笹川の両腕を掴んで、柔らかい唇に吸い付く。
わざと音を立てて貪り、意地の悪い笑みで笹川を見つめた




「イヤなら、本気で抵抗すれば?」




その言葉に、笹川は辛そうに眉をひそめる


キリキリと締まる心臓に、笹川自身もどうしていいか分からないでいた。
こんなに好きだとは、思っていなかったらしい




「イヤだったら…こんなこと、しねーだろ…」




笹川なりの、精一杯の本音



いつだって自分のことは後回し。
大した自己主張もすることなく、流されるまま身を委ねて



それが珍しく、今日は少し怒った風にアキを見つめる




「笹川さん」

「なんだよ…」

「俺のこと、好きって言って」




その言葉に、笹川は一気に耳まで赤くなってしまった


それでもからかうわけでもなく、まっすぐに自分を見るアキの目から、視線をそらせない



短く吐いた息

ゆっくりと上下する喉仏




「言って…どう、すんだよ…」

「どうしてほしい?」

「っ…意味分かんねーから…!」

「俺のこと…嫌い…?」




壁際の大きな岩に押し付けられ、下から覗き込むように、息のかかる距離で見つめられる。
笹川の髪から垂れた雫が、アキの頬を流れた


この状況の意味が分からず、笹川は視線をそらして声を絞り出す




「…なんで、嫌いになれんだよ…」

「意地悪ばっかするから、そろそろ愛想つきたかな、って」

「……アキ」




笹川が身体を起こすと、掴んでいた手は簡単に離れ、自由になった手をアキの首に回した



そのまま引き寄せると、ちゅ、と軽く唇を重ねる

至近距離で見つめ合ったまま、笹川はためらいがちに口を開く。
ギリギリ聞こえるような声だが、アキには確かに聞こえていた




「…好きになったんだから……責任取れよ…」

「それ、告白?プロポーズ?」

「告白に決まってんだろ…」

「俺は、どうすればいいの?」

「……」




少しためらってから、笹川はアキの耳に唇を寄せた



他の奴なんか、好きになんなよ




言ってから、笹川は一気に赤くなった。
長い間、湯船につかっていたせいもあるかもしれない


満足げに笑うアキは、笹川の髪をかき上げておでこにキスを落とす




「俺が笹川さん以外、好きになると思う?」

「…なったんだろ…」

「うーん…そうゆうコトに、しとこっか」

「……どうゆう意味ー…」




そこまで言って、笹川はハッとアキの肩を掴んだ




「お前、まさか、また嘘とか…」

「やだ、俺のコト信じてないの?」

「っ……お前、今回のは酷いだろ…!」

「なんでー。笹川さん、あんなに可愛かったんだから、いいじゃんね」




アキは全く悪びれた様子もなく、嬉しそうに笹川の頭を撫でる




「やっと、両想いだし?」




満面の笑みに、笹川はたまらず視線を下げた。
視線を彷徨わせていると、いつの間にか目の前にアキがいて

いつもは可愛らしい顔が、いやらしく歪む




「だから、いいこと教えてあげる」




耳元に唇を寄せて、アキは優しく囁いた




「女風呂に人いるの、知ってる?」




その言葉に、笹川の頭の中を今までの会話が一気に駆け巡る


軽くパニックになっているらしい



絶対聞かれたくない会話も、わざとらしくたてられたキスの音も



全部、聞かれて…



赤かったはずの笹川の顔は一気に青くなり、震える手でなんとかアキの肩を掴んだ




「お前、知ってて…わざと…」

「さぁ、どうだろうね」

「…っ、もう、帰る…!」

「あ、俺もー」

「家に帰るんだよ!」

「またまたー。せっかく両想いなんだから、甘ーい初夜を」

「1人でやってろ!」




珍しく激怒する笹川も、思い通りで大満足なアキにはなんともないらしい


お人好しの笹川がほだされるのも、時間の問題




END



------------------------



結構いろんな方からいただいてました、アキ笹!
特に指定がなかったので、その中から「ドSアキ」と「オモチャプレイ」で書かせていただきました(^q^)
アキは結構笹川溺愛なので、ドSになりきれてない気がしますごめんなさいorz


アキさん意外に人気でビックリです←

笹川はお人好しなので、あまり怒りません。
アキはそれをわかってやってます(^ω^)




[*前へ][次へ#]

6/15ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!