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好きなんだけど!
いくらなんでも怒ります




風呂だって言ってた

戻ってくるまで30分ぐらい?



それなら余裕。
もうすでにヤバいから


有村の匂いだけで、おかしくなる



すげー、変態だ、俺




「っ、ぅ……ん…」




あー、でも気持ち良すぎんの



勝手に動く手に、息が震えた

潤んだ目をぎゅっと閉じる



扱く手から、早くも生々しい水音が聞こえてきた



有村がするみたいにくびれを攻め立てて、執拗に扱き上げる。
的確にイイ所ばかりを、狙われるんだ

喘ぐ俺の耳元で熱い息づかいを感じる度に、有村も興奮してんだと恥ずかしくなって、いつも顔もろくに見れねぇ



なんで、そんなもったいないことしたんだ。
どんな顔してんのか、目に焼き付けておけばよかった


指先が尿道に引っかかって、ビクビクと身体が震える




「は……ぁ、有村っ……あ、りむら…」




うわ言のように繰り返して、枕に擦り寄った


目を開けて天井を見ても、俺にのしかかる笑顔はなくて。
むなしくなる前に、有村の声を思い出す




『こんなに濡らして…俺の手、気持ちイイ?』




生意気な笑顔に、ぞくりと身体が疼いた。
流れる先走りが増えて、もっと、と腰が揺れる



あぁ、今有村をオカズにオナってんだ

俺ってこんなに、想像力豊かだっけ




「…あ……やば、ぁっ……ん…!」




久しぶりだからか、いつもより昇りつめるのが早い気がする


声が聞こえるとまずいから、枕に顔を埋めて声を殺した。
手の動きが早くなる



バレたらヤバいのに、そんな状況すら興奮してしまって




「…ん、んっ―…!!」




とぷ、とパンツの中に吐き出す感覚に、身体中の熱が一気に持っていかれた

ティッシュとか探す余裕もなくて、イった形のまま、じわじわとくすぶる余韻に熱い息がもれる



早く片付けねーと、って思うのに、動きたくない

心地良い倦怠感に目を閉じた



荒い呼吸を繰り返す、その間



ギシリ、と何かが軋む音に、反射的に目を開く




「…―っ、ッ…!?」




さっきまではなかった、腕


俺の目の前、ベッドから上にのびる腕をたどった



いや、



いやいや、まさか


だって、風呂って言ったじゃん



何これ



何これ




「あーあ……俺のベッドで、何してんの」




薄暗い部屋でもよくわかる、明るい髪



俺に馬乗りになって、有村がいやらしく笑った



いつの間に…!!




「…だから、こんな趣味わりーことやめようって言ったんだよ」




びっくりしすぎて、頭がついていかない。
心臓が飛び出すかと思った



ヤバい

見つかった



しかも


記憶喪失は?

戻ってる?



色んな感情が一気に押し寄せて、頭爆発しそう。
自分が泣いてることにも気付かなかった


有村の指が、俺の目尻を拭う




「……あ…り、むら…」

「何?」

「お前、何、なんで…」

「かなりテンパってんね」




優しく髪を撫でられ、久しぶりの感覚に胸が締め付けられた


待ちわびた有村の手

擦り寄ると、嬉しそうな顔で唇を重ねられる



なくなっていた身体の感覚が、ぶわ、と一気によみがえった



俺ってやっぱ、単純な男



すぐに唇は離れ、有村は俺のズボンに手を突っ込む

待って、そこは今大惨事で…




「ッ…ん…!」

「ぐっちゃぐちゃ。人のベッドでオナったの?」

「あ……だって、お前が…」




いないから

どうしようもなくなって



またぼろぼろと流れる涙で、何も言えなくなってしまった



有村がいる


俺の想像じゃなくて



本物が




「泣くほどさみしかった?」




もう訳が分からない


何度も頷いて、有村の首に腕を回した



このまま戻らなかったら、って考えないようにしてたのに、どうしてもそればっかりがチラついて。
わざと明るく振る舞うのも限界で



こわかった



何も言えないのに、震える手がそれを物語っている



ごめん、と優しい声が染み込んだ




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「落ち着いた?」




それはもう、さっきと比べればだいぶ落ち着きましたよ



布団を鼻までかぶって、向かいに寝転ぶ有村を見る。
楽しそうに笑って、俺をきつめに抱き締めた


それを手で押して、少しだけ身体を離す




「なぁ……俺のこと、わかんの?」

「わかるよ。この世で1番大切で大好きで、可愛くてエロい笹川さん」

「………違います」




有村の胸に顔を埋めて、安堵の息を吐いた


こんな変わった奴、有村しかいない



泣きすぎて頭はぼーっとするし、鼻声だし目が熱い。
これのどこが可愛いの




「なんで、いきなり戻ったわけ」

「まだ気付いてねぇんだ」




布団の中で、有村の手が俺の手を引く。
何が楽しいのか、話しながらふにふにとそれを弄び始めた




「これ、ドッキリなんだよね」




理解できない



何がドッキリ?



いつから

どこから



かなりイヤな予感



その一言でたどり着いた結論に、吐き気さえする




「俺が、記憶喪失になるってゆう、ドッキリ」




マンガなら、プチーンと音がして血管が切れてるところ


有村の言ってることが本当なら、さっきの俺の涙は何



てゆーか、この状況は大丈夫なのか




「……カメラとか…ねーよな?」

「当たり前」




言ってから、ちゅ、と何度かキスをされた




「寝室とトイレと風呂以外には、あるけど」




これ、キレてもいいの?


聞きたいことがありすぎて、頭がパンクしそう




「もう、意味わかんねーから…」

「映画の特典映像としてつけたいんだって、監督が」

「バカじゃねーの、お前ら…」




なんか、もう何も考えたくねぇ

有村は最初から、記憶喪失なんかなってなかったんだ





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あきゅろす。
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