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好きなんだけど!
不機嫌の理由



≫不機嫌の理由




机に突っ伏す笹川は、目の前に置かれたコーヒーを恨めしそうに睨み付けた




「有村さん」

「なんですか」

「君は限度ってものを知らないのかい」




すっかり冷たくなってしまったそれに手を伸ばすものの、途中で力尽きてまた机に額をぶつける


有村は涼しい顔で笹川を一瞥した




「大袈裟な」

「ちょっと、1ヵ月ぐらい俺に触んないで」

「嘘、ごめん。大丈夫?どこが痛いの?撫でてあげる」

「君は俺の身体が目当てなんだね」




慌てて立ち上がった有村を見て、笹川は忌々しげにため息をつく


腰を撫でられ、眉間にシワを寄せて身体をゆっくりと起こした




「なワケねぇじゃん…でも、笹川さん見てると、すげームラムラすんの。病院行った方がいいんじゃねーの」

「お前がな」




昨夜の情事で酷使された腰は、例に漏れず激痛を訴える

そのせいで、笹川は本日非常に不機嫌だった




「だって、考えてみて」




隣のイスに座り、有村は大真面目な顔をして笹川を見つめる


声を小さくすることもなく、ためらいなく続きを吐き出した




「笹川さんに、気持ち良いとかもっと、とか…あげくの果てに、好きとか言われて我慢できると思う?」

「…―っ、」




ぶわ、と嫌な汗が噴き出し、笹川の顔は一瞬で耳まで真っ赤になってしまう

そして何も言えず、有村を見つめたまま固まってしまった




「据え膳食わぬは男の恥、ってこと」

「い、言ってねぇから!」

「言った。早く挿れてとも言った」

「ぎゃー!有村さんここ職場です!」

「ん、ぐ」




とっさに両手で口を塞がれ、有村は何か言いたげに笹川を見上げる


恐る恐る手を離すと、それもすぐに掴まれてしまった




「な、にっ…」

「腰、大丈夫そうじゃん」

「いっ…てぇに決まってんだろ!」

「今夜もがんばろうかな」

「有村さん俺の話聞いて!」




悲痛な叫びを無視して、有村は笹川の手を放す

ニヤニヤはどうしても隠せないらしい




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「中野さん、こんな所で何してるんですか?」




ビルの喫煙所


もう終わったはずの中野が、着替えもせずに、ひとり寂しくタバコを吸っていた。
林は不思議そうに足を止める




「いや…なんか、邪魔かなー思て」

「邪魔?」




哀愁ただよう姿に、林は首をかしげた




≫END





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