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三日月の誘惑
伝えたい気持ち(神城+ヒトミ)≪悲恋・死ネタ≫

*(神城+ヒトミ)と書きましたがほとんど神城さんの独白です。最後のほうにヒトミちゃん出てきます。
  神城さんのBADルートその後のお話です。神城さん死んでしまいます。。。ご了解いただける方はどうぞこのままお読みください。↓






『心肺蘇生!』

『先生、血圧が下がってきています!!』

『急いで集中治療室へ!』


ぼやける意識の中、遠くでそんな会話が飛び交っていた。


―――ああ、そうだ。

僕はさっき血を吐いて倒れたんだ。今までとは比べものにならないほどの量の血を―――。

その後、急に目の前が真っ暗になって


気がついたら今の状況。


瞼が重くて目を開けられない。手足に力が入らない。



・・・このまま僕は、死ぬのかな。



でも不思議と苦しくない。感覚が麻痺してるのだろうか。

もっと苦しいものかと思ってたのに。



これよりもっと苦しかった思いを、―――僕は知っている。


それは、君の元を黙って離れたこと。


君の笑顔を失うのが怖かったから。真実を、想いを伝える勇気がなかったから。

だから離れたんだ。


離せなくなる前に。

―――でも遅かった。君から離れた後も君へ対するこの気持ちはどんどん加速していった。

そして気が付けばいつも君の事を考えていた。

君とのあの楽しかった日々を夢でも見るようになった・・・。


こんなことになるんだったらあの時、勇気を振り絞って告白すればよかったんだ。




病気のことと、―――自分の想いを。



『先生っ!心臓が停止したままです!!』

『くそっ・・・駄目か!』




なんだか眠くなってきたな―――。

このまま眠ればまた君とのあの楽しい日々を夢に見ることができるだろうか。



・・・ヨシヒサ・・・君もこんな気持ちを抱きながら死んでいったの?愛しい人を思いながら・・・。


そっちにいったらまた会えるかな。


話したいことがたくさんあるんだ。たくさん―――。



夏海さん・・・ヨシヒサの分まで生きてって言ってたけど、ごめんね。その約束はどうやら守れそうにないよ。

そして―――




ヒトミちゃん。

愛しい僕の想い人。

君には幸せになってもらいたい。笑っていてもらいたい。

心の底からそう願っているよ。君の笑顔はとても可愛いから。
 

その笑顔をどうか―――


絶やさないで。


『・・・心肺が完全に停止しました』

『・・・・・・御家族に連絡を・・・』





―――――今度生まれ変われるとしたら鳥がいいな。

あの大空を自由に飛びまわって君の元へ飛んでいきたい。

そして伝えるんだ。



―――ヒトミちゃん、大好きだよ―――






「神城先輩・・・?」

ヒトミは後ろを振り返る。

しかし目の前には誰もいない。


延々と家路を繋ぐ学校への帰り道が続いてあるだけだ。

「・・・・・・」

―――一瞬、誰かに抱きしめられたような気がした。

そして声が聞こえた。

聞きたくて聞きたくてどうしようもなかった大好きな人の声。

あの優しい声は間違いなく神城先輩の声だった、けど・・・・・・。

「まさか・・・ね・・・」

苦笑を浮かべ、ふっと息を吐く。

いるわけがない。きっと幻聴だ。

・・・あの人は私に何も告げずに去ってしまったのだから。


あの後、若月先生にあなたの病気のことを教えてもらった。

治療法が未だ見つかっていない不治の病気。


教えてほしかった。

他でもないあなたの口から―――。

傍で支えてあげたかった。救ってあげたかった。

あなたの心を―――。


でもそれは出来なかった。


「・・・・・・ふぅ・・・っえ」

じわりじわりと涙が込み上げてきた。

その涙は私の目から放れ、乾いたアスファルトの道路をぽたぽたと黒く染めていく。


泣いちゃだめだ。泣いちゃ―――――。

そう自分に言い聞かせ、涙を飲み込むようにぐっと顔を上に向ける。

すると、そこにはどこまでも青く澄んだ空が目の前いっぱいに広がっていた。

そんな青一色で彩られた中、一羽の白い小鳥が見えた。


軽やかに羽をはばたかせ、自由に飛び回っている美しいその鳥。


―――神城先輩みたい。


見ているだけで癒されるその雰囲気がどことなく似ていた。



そんなことをぼーっと頭の中で考えていると、その鳥は心地よい声で高らかに鳴いた。瞬間、どきりと心臓が脈を打った。




『ヒトミちゃんは笑っている時が一番可愛いよ』



以前、彼が言っていたその言葉をふいに思い出してしまった。

―――まるでそう伝えているようで。


私は涙を拭ってその鳥に微笑みかけた。

今できる精一杯の顔で。



そしてその小鳥を通してあなたに伝える――――先ほど聞こえたあの幻聴の返事を。


「神城先輩、私もずっと大好きです」



―――青空の中、もう一度声が聞こえてきた。



『僕もだよ』



と―――。




-あとがき-

ここまで読んでくださった方、どうもお疲れ様でした〜!思ったより長くなってしまった(焦)予定ではもっと短いはずだったのに。。。
というか最後ちょっと甘くなってしまったかも(あわわ・・・L)
神城さんファンの方、申し訳ございませんでした、神城さん死なせてしまって。。。しかもこんな奇妙な文で。。。
どうも管理人、文才がないようですね〜。よく作文や感想文でも結局何が書きたいのか分からなくなってくるんですよね(アハハ)
しかし文才がなくても小説を書き続ける!
なぜならラブレボが好きだから☆



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あきゅろす。
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