小咄
2009-11-19(木)
首(Nさんシリーズ)

首が転がっていたというのはよく聞く話だが、Kから聞いた話はこうだ。
大学が休みのある日、特に用事も無く暇だと思いつつも家に居たら、インターホンが鳴らされ来客を知らされた。
面倒だと思いながらも扉を開けると誰も居ない。
おかしいと首を傾げて扉を閉めようとしたら、下から声がした。
見下ろすと首が鎮座していた。
唖然としていると、首が言う。
「〇〇さんのお宅でしょうか?」
「いえ、違います」
「そうですか…御存知ありませんか?」
「えぇと…向かいの二軒隣が〇〇さん宅ですけど…」
「あぁ、そうですか。ありがとうございます」
丁寧にお礼を言って、ぴょこぴょこと跳ねて行ったとか。
部屋に戻り、すぐに俺…Nに電話をして家に来てもらい、夜を待つ。
ゲームをして過ごしていた俺の耳に悲鳴が聞こえたのは、ちょうど深夜2時の事だった。
恐らく、あの首が訪れたのだろう。
俺はKに一連の流れを見届ける為、呼ばれたのだった。


さて、後日談がある。
あれから数日経ったある日、大学へ行こうと玄関を出たところで、またもやあの首が鎮座していた。
どうやらKを待ち構えていたらしい。
「先日はありがとうございます。おかげでしっかりと復讐が出来ました。奴は以前私の体が奉られている祠を壊しましてね…その仕返しを致したく参ったのです。あぁ、御安心を。関係の無い方々には何も致しません。この度は貴方に御世話になったので何かをお礼をしたく思いこうして挨拶に伺った所存でございます。どうやら貴方は私のような存在と縁がある御様子、これより先は守護霊と共に貴方を守らせて頂こうかと思いますので御遠慮なさらずどうぞ友人方と肝をお試しください」
そう言って消えた首は、Kが危なくなると助けに来るんだとか。
首だけで何をするんだ、と聞くと、Kは力無く手を振って否定した。

「違いますよ、体だけが来るんです」

今日もKを連れて肝試しに行ってこようと思う。
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