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仔狐育成日記23





今年は年末から年始にかけて雪が降り、寒い日が続いた。
部屋でこたつに潜ってみかんを食べながら、外を眺める。
寒そうだ。

この時期、部屋がひどく冷え込むため、こたつから離れるのが非常に辛い。

「…喉が渇いた」
目の前の湯呑みの中は空。お茶をいれるためにはポットまで行かないのいけないし、茶葉も変えないといけない。
面倒だ。

もうしばらく我慢しよう。
そう結論を出した次の瞬間、色違いの湯呑みが目の前に突き出された。
「………」
突き出したのは、当然ながら子狐。
湯呑みをじっと見ていると、反応しないことを不思議に思ったのか子狐が首を傾げた。その姿はたいそう可愛らしいのだが…。

「喉が渇いた」
「そうか」
「お茶が欲しい」
「あそこの缶から茶葉をだして急須に入れて、お湯を注いだら良いぞ」
「…もとちかがやれば良い」

こら。
人にものを頼む態度じゃない。

「俺はこたつから出たくないから嫌だ」
「我も嫌だ!」
「じゃあ我慢だな」
「我はお茶を飲みたい!」

しばらく睨み合いが続いた。
だが実際問題、元就にやらせるのは不安があるし、自分だって喉が渇いているから、自分がいれるしかないのだろう。
でも子狐がこたつで一人ぬくぬくしてるのも…と思ってしまう。

よし。

こたつから出た自分を、子狐が満足そうに見る。
だが、次に子狐をこたつから引き出して抱き抱えたら、慌て出した。

「な、何をする!」
「お前も来い」
「嫌だ、寒い!」

暴れるのも構わず連れ出す。
しばらくじたばた抵抗していたが、やがて諦め、今度は暖をとるために抱き着いてきた。
あ、結構暖かい。

「暖かいな」
「………早う茶を入れろ」

動き難い、そう思いながらも元就を降ろす気にもならず、暖かい体温を感じながら台所に向かった。





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