初日の出の時刻。
二人して絶景ポジションに立ち、山間を眺めた。
普段から培った山男の知識を利用して、誰も入らないであろう所をチョイスした。
二人だけの新しい年の朝を迎える麗らかな空間。
オレンジの光が徐々に現れ、何とも幻想的な瞬間が訪れる。
「綺麗やなぁ・・・」
「そうですねぇ」
そんな太陽を見詰め瞳をきらきらとさせ、光に照らされ輝く坊の頬にうっとりと見とれる。
その視線に気が付いたのか、
「何をそんなじっと見てんのや。見るんわあっちやろ!」
と言って、太陽を指差す。
オレンジに輝く中に、少しだけ朱が混じる。
「お日ぃさんも綺麗ですけど、坊の方が綺麗ですわ」
「は?!何言うてん!!!綺麗て、男に言うセリフちゃうやろ」
「坊の方がキラキラしてて綺麗です」
「っ・・・そ・・そんなん、柔造かて、日の光背負って立っとたら・・・男前やんか・・・」
更に赤くなると、言うだけ言ってぷいと外方を向いてしまった。
そんな様子にくすりと笑みを零し、そっと後ろから抱き締めた。
「そんなかいらしいことばっかり言いはったら、喰ろうてしまいたくなりますよって」
「なっ・・・!!!」
「坊」
「なんやねん!」
「好きですえ」
赤くなった耳元に口づけるように、囁くように告げる。
それから体を離し、ゆっくりと肩を掴んで坊をこちらに向かせると、それはそれは真っ赤になった熟れた林檎の様な顔と対面する。
ふわりと微笑めば、ぷぅと膨れ拗ねたように俺を見るから、それもまた可愛らしい。
そのまま顔を近づければ、躊躇いながらも目を閉じたので、寒さに冷えた唇にそっと自分のを重ねた。
ちゅっちゅと何度か啄ばむ様に合わせれば、顔を離し、そっと坊の頬を手の平でなぞる。
「今年もよろしくお願いします」
「おん、よろしくお願いします」
「言うても中々会えませんけどね」
「せやなぁ」
「坊とこうやって、二人で過ごせる時間が持てて良かったです。付き合うてくれてありがとうございます」
「俺も柔造とこうやって過ごせて嬉しいんやで?」
「ホンマですか?」
「当たり前やないか」
******
とりあえず運んだ坊を部屋に座らせる。
「後でお水持ってきますね。今朝はあんまり寝てませんし、もう寝はりますか?」
「おん・・・」
「お布団敷くから待っててくださいね」
布団を押入れから取り出して、敷いていく。
「なぁ・・・」
「はい?」
敷き布団を引いたところで声を掛けられた。
「どないしました?」
「布団敷いたらエッチなことすんの?」
「は?!?!何言うてはりますんや?!」
思ってもみない発言に思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「そないな事酔うてるはる坊にするわけないでしょう!」
いくら俺でも酔ってる坊に手は出したらアカン事くらい分かってる!
経験も知識もない坊のためにゆっくりそう言うことは進めて行こうと、年末の坊の言っていたことを聞いて心に決めたんやから。
あないな純粋な反応示されたら、手を出すやなんてほとほと難しいことではないか。
掛け布団も用意して、枕も置いて、よし、敷けた!と思い振り返って坊に声を掛けようとして、今度はその姿にぎょっとして目を見開いた。
「なっ!!!なにしてますのんや!!!」
見ればセーターを胸まで捲り上げ、自分で自分の胸を触っている。
慌てて駆け寄って、バッと服を下ろした。
「そないな事したらあきません!!!」
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