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「暑いわー」
「暑いっすねー」
『暑ーい』

時は夏だぜ、皆のもの!
謙也と光と私の三人で暑いを連呼して、「うっさいわ!」って蔵ノ介に怒られて。

そんな毎日の中、四天宝寺テニス部マネージャーをやってる私です。

「それにしても、暑かねー」
「本当に」
「アイス食ーべーたーいー」
「むん…」
『なんか、みんなで楽しみながら涼めることないやろか?』
「流しそうめん?」
「飽きたっすわ」
「かき氷大会」
「腹壊すやろ」

レギュラー陣が口々にみんなで涼めることを考える。

「あ…」
『どうしたん、謙也』
「肝試しはどう?」
『げぇ!?』
「ええやん、それ!」
「わい、それやりたい!」
『私は、いやっ』
「なんで?」


嫌だと言うと謙也がなんでって聞かれた。

『おばけ…嫌い』

小声で呟くと、蔵ノ介がニヤリと笑って大声で言った。

「肝試ししたい人、手上げて!」
「「「「はーい」」」」

私以外のレギュラー陣全員が手を上げた。
蔵ノ介はニヤリと笑ったままで

「よっしゃ、じゃあ今日の夜九時に裏山の入り口集合や」
『私は行かなっ』
「全員参加やからなー」

私が拒否しようとすると遮るように蔵ノ介が全員参加と言ったのだった。



そして夜九時。

「よーし、全員集まったな」

結局逃げれずに、家まで迎えにきた蔵ノ介に連れてこられた。

「先輩、大丈夫なん?」
『大丈夫なわけないやろ』

半泣きの状態で立っていると光が心配してくれた。

あー、かわいい。
myエンジェルだわ…たまに毒舌だけど。
「じゃあ、くじ引きするで」
「わいが一番に引く!」
「順番やで、金ちゃん」
『はーい』

それぞれがくじを引く。

私の引いた割りばしには3と書かれてた。

『3って誰?』
「あー、俺っ…やない」
「俺もちゃうけど」
「わし等もちゃうで」

謙也も蔵ノ介も銀や金ちゃんたちも違う。

「あ、俺やわ。ラッキー」

手を上げたのは、myエンジェル光。
むっちゃくちゃ、ラッキーが棒読みや。

『よろしくー…』
「怖かったら抱きついてええですよ」
『なっ!?』

よりによって光とか。
こういう時は、女の子らしさをアピールせなアカンのやろけど…無理やわ。

謙也、蔵ノ介ペアが出発してから数分後二組目の小春ちゃん、ユウジペアが出発し、私たちの番がきた。

「ほな、行きましょか」
『………』

夜九時、裏山は真っ暗。
本当に出そうや。

ガチガチの震えてしまう。


「大丈夫、おばけでても俺が守ってあげますわ」

ニコッと光が笑ってくれた。

『うん。』
「はぐれないように手繋ぎましょう」
『えっ、あ、うん』

差し出された手を握る。
すごい安心した。

肝試しのルールは、ただ山を登って降りて来るだけ。

「そうや、先輩知ってます?謙也さんの秘密の話」
『謙也の?知らんで』

光は私が怖がらないように、おもしろい話をしてくれた。

しばらくそんな話をしながら歩き続けると、折り返し地点についた。

「折り返し地点っすわ」
『やっとだー』
「あとは来た道帰るだけや。行きましょ」


手は握ったまま。
少し、ドキドキする。
一応女の子ですから。


ガサッ


『!?』
「どないしました?」
『いま…、なんかガサッて』
「よく聞こえませんでしたけど?」
『じゃあ、気のせいだ。』

いや、気のせいって思いたいよ。

そう思ったときだった。

「うわぁっ!!」
「がおぉぉ」

「何してんすか…小春先輩、一氏せんぱ…」
『いやぁぁあ!!』


木の陰から出てきた何かが怖くて、走って逃げた。



「ちょっ、先輩」

後ろから光が叫んでたけどしばらく走り続けた。

落ち着いて立ち止まるとよくわからない所にいた。

『嘘…、怖いやん』

もうほぼ泣きそうや。
怖くて怖くて、しゃがんでいるとガサガサという音がした。

『なに!?』
「先輩っ」

光の声がして、涙を拭って音の方を見ると光がいた。

「勝手に居らんならんといてください」
『ごめんなさい…』
「ほら、帰りますよ」

また手を差し出された。
立ち上がろうとすると、動けない。

『腰、抜けた…』
「はぁ、しゃーないっすわ」
『へっ?』
「よいしょっと」
『えぇぇ!?』

なんと私、宙に浮いてます。

「動きますよ」

光がおんぶしてくれてます。

『お、重いからいい!?』
「意外と軽いやないっすか」


恥ずかしい…
色んな意味で泣きそうだ。


そのあと、出発地点まで光におぶってもらった。

あー、ドキドキしすぎて死ぬかと思った。

でも、好きな人にくっついていれたから少し肝試しに感謝せねば…。



肝試しに感謝







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