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今年も一年ありがとう






一年の最後の一週間。
赤と緑とイルミネーションに彩られた街が一気に変わる。
華やかな雰囲気が終わり日本古来の厳かなハレの行事に向かう。
なんて忙しない。
訳もなく慌ただしさを感じ、自分も何かしなければと焦燥のままに探すも案外何もする事はない。
せいぜいいつもより少し手をかけた掃除くらい。
俺と沢村が一年散らかした部屋を俺と沢村で片付ける。


もうすぐ今年が終わる。
また一年一緒にいられた幸せを柄にもなく噛み締めたりする日。
あの頃より少し大人になった俺達は、年末年始の帰省なんかで離れてしまう事もあまりなくて二人で年を越す。
二年参りはいつかの大晦日に行って二人とも懲りた。
何あの溢れかえる人混み。家で二人で過ごす方がよっぽどいい。


いつもキスをしながら年を越そうと言うと「テレビ見てるから触んな」と怒る。
怒るくせに簡単に引き下がると少し傷ついた顔をする。
その顔が見たくて一回目はすぐに離れるの気付いてるか?
それ、可愛くてたまんねえから。

笑って引き寄せてキスをして。拗ねるお前を抱え込む。

どうせ今年もカウントダウンなんか関係ない、あの笑ってはいけない番組を見るんだろ?
横で転がりながら腹を抱えて笑うお前が愛しいよ。

俺達は最初からこんなんだった。
きっと最後までこんなんだろう。
なあ、それって最高じゃん?

並んで笑ってじゃれ合って喧嘩して仲直りして抱き締め合ってまた笑ってキスをして。

そういえば来年の話しをすると鬼が笑うらしいね。
笑われても構わねえから、来年も一緒にいよう。再来年も一緒にいよう。
そして翌年もその翌年もずっとずっと一緒にいよう。
鬼、大爆笑だろ。


年に一度の感謝。
今年も一年俺の隣にいてくれてありがとう。



end







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