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《拍手文》
頑張れ!高杉くん!!





俺は高杉晋助。
まだ9歳だが、子どもじゃねェ。もう大人だ。

今日は先生が朝から何だか楽しそうだ。
ま、いつも楽しそうな先生だけどさ…何かあるのかな?と思って先生に聞いてみれば、「後での秘密です」だってさ。


授業が始まってその“秘密”の正体が分かった。


「皆さん、新しいお友達です。では、自己紹介してください」

「……銀時。よろしく」

明るい先生とあからさまに不機嫌そうな新入り。

銀髪に紅い瞳かよ。先生はどっから拾って来たんだか。つか、なんで刀持ってんだアイツ…
…あれ、アイツ目死んでねェか?昨日の夕飯の焼き魚みてェな目ェしてんぞ。ククッ


「どうしましたか、晋助?」

「い、いえ…先生、ソイツなんで刀持ってんですか?」

俺が率先して聞けば、ソイツはビクッとして刀を強く抱きしめた。
先生も困ったような表情になってから、ソイツの頭を撫でて一番後ろの席に促した。


怪しい…
アイツの正体を見極めてやるぜ!!銀髪に紅い瞳の魔物かもしれない!先生はきっと口止めされてんだ!!
先生を助けなきゃ…







[休み時間]

さて、アイツはと言うと…休み時間にも関わらず昼寝してるのか机に突っ伏してやがる。器用にも刀をしっかり持ちながら。


「おい、起きやがれ新入り」

「…Zzz…」


カチン!!

「おいチビ起きやがれっつってんだろ!?何様だテメェ」

「んー誰だよ…起こすなよ」

胸ぐらを掴んでユサユサと揺さぶれば、ソイツは目元を擦りながら半目で唸った。
おい…ぶん殴っていいか?コイツ本当にぶん殴りてェ。


周りの奴等は俺の行動を固唾を飲んで見てやがる。言いたいことがあんなら言やいいじゃねェか。


「テメェ、チビのクセしてデケー刀持ってんじゃねェよ!!!」

ソイツの刀を取り上げようとしたら、さっきまでのやる気のない姿から一変、


「触るなァァァ!!!!」


大声を上げ、刀をしっかり持ちながら俺を睨み付けた。
は?たかが刀一本に何なんだよコイツ…。


「何をしているんですか?晋助」

「…!?せ、先生あの…」

いつから見ていたのか、先生は教室の入口から俺達を見ていた。


「先生…俺…やっぱり…こんなとこ嫌だ!!」

アイツ…先生に何てこと言いやがる!!!そう言おうとしてアイツを見りゃァ………


大粒の涙を浮かばせて泣きじゃくっていた。

「お、おい…チビ」

「うわァァァん…!!」

アイツは先生の横を通り過ぎて、教室から飛び出して行っちまった。


「高杉が泣かしたな」

「はァ!?何だとヅラ」

「ヅラじゃない桂だ。先生!高杉が銀時を泣かしました」


優等生のヅラは手を上げて言いやがった。
テメェのクソ長げェ髪引っこ抜くぞ!?
あとて半殺しにしてやる…

「はい。私も見てました。晋助、銀時を呼んできなさい」

「なっ!!なんで俺が…」

「泣かしました、よね?」

うっ…先生は笑顔だけど、声が笑ってねェ…
凄く怒ってる。

俺は仕方なく銀時が走り去った方に歩き出した。


「急ぎなさい」

「は、はい」

先生は本当に怒ってる…全部アイツのせいなのに。
俺は先生の為を思ってなのに…


泣きたいのはこっちだ!!!











それから俺はあのバカチビを探すため外を見たり、他の空き教室門を見たりしたがアイツは居なかった。

どっか帰ったのか、と思ったがいた。

門の前に体育座りしていた。背中が震えていて、まだ泣いてやがるのがはっきりと分かった。


「おい」


声をかければ、ビクッと肩がはね上がった。
そして、手の甲で自分の顔を乱雑に拭うと振り返って「なんだよ」と答えた。



「先生が呼んでる。勝手に走って教室抜け出すな」

ぶっきらぼうに言えば、アイツはまた前を向いて首を振った。


「行きたくない。またお前と喧嘩しそうだし…それに」

「それに…何だよ」

「………怖い」


刀を握る手に微かな力が加わったのを俺は見逃さなかった。
そして溜め息を吐きながら、アイツの隣に座った。


「あっち行ってよ。お前嫌い」

「俺もテメェが嫌いだ。でも、先生はテメェが来て今日はいつも以上に喜んでた。だから俺は何が何でもテメェを教室に連れてく」


そう言や、アイツははははっ、と小さく苦笑いしやがった。


「あの人ってお人好しだよね…」

「…あァ。全くだ。大人のクセにガキっぽい、だけどしっかり芯があるな」

「…お前はあの人が好き?」

「まぁな。俺を親より理解してくれるし…テメェは?」


一瞬下を向いてから、コクりと頷いた。

「俺に…光を与えてくれて、この世界にいてもいいって言ってくれた。恩人だ」


なんだよ。コイツも俺と同じじゃねェか…。



「なァ……銀時ィ」

「!?」

さっき紹介された名前で呼んでやりャァ
コイツは戸惑いながら、首を傾げた。
ぷっ、なんで戸惑ってんだよ。



「怖ェか?この世界が」

「う…うん」

「なら、俺が変えてやる!」

「……は?」


銀時のクリクリな天パを撫で回しながら、俺は胸を張った。

先生が好きなヤツに悪いヤツは居ねェ!!



「俺は高杉晋助だ。テメェが今までどんな風に生きてたかなんて興味なんか全くねェ!!だがな、これからはこの世界がテメェの住みやすい世界にする手助けをしてやるよ」


「…いやご遠慮しまっ…」

「して、欲しいよなァ?」

胸ぐらを掴み上げて銀時の頬をつねった。



「ひへ…ほひいへふ」

「よし!!先生が見込んだヤツだから俺は手助けすをだぜ。もう苛めねェ、いつも遊んでやる」


ニカッと笑えば、銀時は顔を真っ赤にして目を瞬かせた。


「それって…“友達”?」

「…だろうな?友達だ友達!!」

「わぁ…友達!?銀時にも出来た…先生に報告しなきゃ」


さっきまで体育座りして泣いていた暗いヤツがはね上がって喜んでいる。
なんだよ。お前…

「笑った顔の方がいいじゃん。いつも笑ってろや、友達命令な」


ビシッと指をさして言えば、銀時はコクりとまた頷いた。


「銀時可愛いィな!」

「うへへっ♪友達、高杉友達だぁ」



暫く時間が経ってから俺達は手を繋いで教室へ戻って行った。


「おや、晋助に銀時。仲直りしたのですか」

「先生!!友達出来た!友達高杉がね!友達なの」

「それは、銀時よかったですね…。ありがとうございます晋助」

「なんてこたァないです」


仲直よく教室に戻ればクラス中驚いた顔して見ていた。
そりゃ、あんな喧嘩した後じゃな…



「銀時!高杉と友達なんて…我が侭で命令口調で意地悪なヤツだぞ!!そんなヤツより俺と…」

「言ってくれんなァヅラ!表出ろ!!」

「こらこら」


先生が俺とヅラを宥めるのを見ながら、急に銀時は俺の腕を掴んで言った。


「俺高杉好き」




―――――――――――


「……ってたなァ昔のテメェは」

「けっ。覚えてねーよバーカ」


急に昔を思い出して銀時に話してやりゃ、この通り。

あんなに可愛かったのにどう変わってこんな天パに…

「いや、天パは昔のままだから。これと死んだ魚の目だけは変わってないからね」

「屁理屈言うな。昔のテメェに戻りやがれ、ほら」

「ほらで変わるか!!…今も好きだよ」 顔を真っ赤にしながら銀時は言った。
可愛いったらねェよ。


「ツンデレか」

「お前がツンデレとか言うな!!きもっ」

「……バカが」




しかし、まァ色々あったがこんなに話してこんなにバカやって…
もう刀なんか持たなくなったもんだ。



「住みやすい世界になったかよ?」

「はっ…おかげ様で」




素直じゃなくなったのは残念極まりないが、テメェの見える世界が変わったんなら譲歩してやらァ。



完、




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