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minusC十周年記念
──走馬灯シリーズ世界観・独自設定辞典

※書籍「Everlasting」の巻末におまけとして書き下ろしたものです。そのため青空と日暮のことはみんな知っている前提で書いてあります。
※そういうわけでどちらかというと初見の方よりシリーズ(特に見あパラ)読者向けです。
※シリーズ全体のネタバレをふんわりと含みます。




【世界】
無数にある。すべてがかならず滅ぶ。
システムはコード(言葉)で記述されている。

【世界線】
これは一般的用法と同じ。可能性の近似値。


【滅亡現象】
終わりゆく世界のシステムエラー。
不条理な災害、時間の流れが不規則になる、存在していたものが消失する、歴史が失われる、色彩が失われる、など。物理的、観念的、概念的なすべての崩壊。
現代から近未来にかけて徐々に増えてゆく。
異能者の発生も滅亡現象の一部である。


【心象風景】
明晰夢。アカシックレコードの所在地。
または三途の川。死に瀕する・昏睡するなどの特定の条件下で訪れることができる場所。
誰もが心の中に持っている。観測者の目に焼きついた夢の景色。世界という構成物の核であり世界の外であり上層。条件が揃えばここから他世界にアクセスできる。
複数人でひとつの心象風景を観測した場合、そこでの出来事が現実として定義され実在の影響力を持つ、こともある。ひとりの空想も集団が信じれば現実。


【色彩】
エラーの深刻度の指標になることがある。
異能者(人間の魂にエラーが発生している状態)の場合、髪や目、肌の色などが通常に考えられる色とは異なることがある。
滅びに最も瀕しているものは色が抜けて白に近づく。
【白】真理の色。
【青】死が発する蛍光。無と永遠とかなしみの色。
【緑】神に近い者の眼にしか与えられない色。


【異能者】
いわゆる超能力者。単にエラーとも呼ぶ。
ひとつの魂につき一種類の異能が発現可能。
生まれつきも中途もある。力の性質が遺伝で似ることもある。
感染する(異能者の近くでは無能力者にエラーが生じる確率が上がる)ため、隔離排斥あるいは殲滅の対象となることが多い。
滅亡現象の加速にともなって増えていく。平和な時代には少ない。

【異能者狩り】
異能者と無能力者間の戦争。
または異能者への排斥や迫害。
実際、異能者と無能力者が別の場所に暮らしたり滅亡現象が起きた場所から離れたりしてエラーが広がらないようにすることで滅びを遅らせることは可能である(Phialがその成功ケースなので読んでみてください)。
大抵はそうして戦っているうちに滅びる。

【代償疲労】
オーバーワークとも呼ぶ。
異能を使用した際の反動で引き起こされる様々な不調のこと。
これがあるので異能を乱用すると死期を早める。一度のオーバーワークで死に至ることもある。能力の性質・個人・コンディションによって程度の差が大きく、無いこともある。
症状は疲労感+低体温症が最もポピュラー。
本質的には「異能者自身にとって身近な不調の再現+体温の低下」が起こっている。これは異能使用時に限らず、人間が世界法則に触れてエラーを起こした時に出る不調は大体そう。

【異能の暴発】
発作とも呼ぶ。
主にまだ異能を扱い慣れない時期の異能者に起こりやすい。使用者の意図しない力の暴発、それによって引き起こされる事故や事件のこと。異能者狩りの原因のひとつ。
扱い慣れている者であっても過度なストレスにさらされる・気持ちが混乱している時には起こりやすくなる。

【異能の分類】
想念系、言語系、感知系とも。
@「空想によって力を発揮するもの」
A「言葉を介して力を発揮するもの」
B「感知に特化したもの」
の三種類に大雑把に分類されるが、境界は曖昧であり、本質的にはどれも一緒。
@は最も一般的な異能の在り方で、使い手のコンディションに影響されやすく、制御が難しい。代償疲労の程度も使い手の性質や状態に大きく左右される。
Aは言霊とも呼ばれ、媒体を用いるため使い手のコンディションに影響されにくく安定して強い力を使うことができるが、代償疲労が大きいという特徴がある。
Bは知る力と知らせる力を表裏一体で持つ。希少性が非常に高く、感知系が現れないまま終わる世界もある。発現した異能者は全知に近くなり、しばしば神様と呼ばれる。力が強ければ、他世界のことや、世界の外のこともわかる。(余談ですが、感知系として目覚める可能性のある者は原則としてひとつの世界にひとりだけおり、全員が同位体です)
いずれの力も使用に冷静さと集中力が要る。

【異能・エラーの本質】
祈り。
摂理を覆すほどの人間の強い感情、願い。
そのため使用者の意識・認識によって在り方や出力の大きさが変わる。異能を鍛える=世界の認識解像度を上げて起こしたい変革を詳細に思い浮かべられるようにすること・メタ認知ができるようにすること。理論上、極限まで鍛えれば最初にどんな種類の制約をもっていた異能であっても最終的に行き着く自由度に際限はなく、世界のすべてへの干渉・感知が可能になる。
要するに創世の力。
異能者個人の見方・考え方でそこまで辿り着けることは普通に考えて無いだろうけど。


【魂】
ひとりにひとつ与えられる存在のID。
在り方を規定するもの。運命の根源。
・その者が存在できる時間と場所の大まかな規定(存在期限)
・その者が出逢いやすい・関係しやすい者(相性のいい魂)の規定
・その者が人生において根源的に抱える・見つける思いや観念の規定
などを含んでいる。
また、わずかに記憶を内包しておくことができる(記憶は基本的に肉体に蓄積される)。

【魂の集積物】
単に群体、または集合体とも。
特定の条件下で、死亡などの理由によって肉体を離れた魂を別の魂と癒着させひとつの肉体に取り込むことができる。が、そうするとくっつきあった魂はIDとしての機能を失い、運命規定の強制力も崩れてしまう(日暮が滅びの瞬間まで世界から出られないことが多いのは、彼が群体で存在期限が作用しないから)。
しかし内包されたわずかな記憶や人格、エラーコード(異能)は残るので、複数の魂を持つ者は人格や記憶に影響が出るほか理論上は複数の異能を使用できることになる。実際には相性のいい魂に宿った力を限定的に使えるかどうかくらい。
また、魂を複数持つ者はその分エラーを蓄積していることになるので、様々な不調・在り方の崩壊・死や消滅のリスクを負っている(日暮は不老不死なので消えません)。

【ドッペルゲンガー】
同位体。同一人物。
各世界に同じ魂の者がひとりずついる。
性格や生き方、雰囲気がある程度似ていることが多い。性別や年齢、名前、顔などには規定が無いので、そこは様々に異なる。
出逢うとどちらかが消失することで規定が保たれる(魂のIDとしての機能)。

【生まれ変わり】
ひとつの世界の中で同じ魂の者が複数人現れる例外ケース。何らかのエラーによって存在期限よりも異常に早く亡くなってしまった者がいると、規定を守るために急きょ引き継ぎが起こる。先代の命日と生まれ変わった者の誕生日は同じになる。なお記憶は引き継がれない。

【命の椅子取りゲーム】
ドッペルゲンガーを殺せば死んだドッペルゲンガーの寿命(存在期限)の分だけ安定的な世界への滞在が可能になる。

【歴史の分岐点規定】
世界が持つ運命。
個々の魂に課せられた運命よりも優先される、強制力の強い規定。魂群体のような、既定を壊せる抜け道は今のところ見つかっていない。
「この時にこのくらい大きなことが起こる」くらいの規定なので、ここでも命の椅子取りゲームが発生しうる。規定されたイベントが人間の死である場合、そこで死ぬ人間は周囲への影響力が同程度の者であれば誰でもいいのである。
分岐点で死んだ者・生き残った者の存在期限は都合のいいように修正される。もしくは、修正しきれない場合は生き残った者がエラーからくる不調を患うことになる。


【傍観者】
意識と魂だけ存在する、肉体を持たない者。
(いつもの「彼」をそう呼ぶことも多いですが、ここでの解説はもっと広い概念です)
異能の作用により一時的に肉体を離脱している場合でもこの名称で言うことがある。ひとつの世界に在ることに縛られず、気の向くまま多層の時空間を飛び回り、すべてを「ただ、見る」ことができる状態。ただし、例外的に「自分自身の肉体」または「魂を持たないがまだ生きている肉体」には降りることが可能である。(村塚隼は憑依能力者なのでその限りでなく、意識のある一般人の中にも入れます)

(心象風景にある者は誰でも夢を見ている状態であってそこに実際の肉体は無く、己のからだの在り方も自由に定義できうるわけで、またそこでは場合によって他世界及びその情報にもアクセスが可能なので、傍観者であることと心象風景にいることは実はかなりニアリーかもしれません。
だからとは明言できませんが、感知系ではない者でも心象風景内に限って「彼」と話すことができているシーンが散見されます)


【不老不死】
または永久保存。
なんらかの事情により時間の流れない人間。

【時間】
記憶を蓄積してゆくこと。
定義されうるあらゆる事物の単位ごとに流れている。
歴史を積み重ねること=時間が経つことなので、たとえばある町に関する歴史が消去されるとその町のあった場所だけ消された記憶の分の時間が巻き戻る。同じく、時間の流れが止まる=蓄積できる記憶の量が一定に定まること、となる。

【時空間の相性】
本来あるべき世界からあまりに離れた世界線に物を移すと、その物の存在や時間の流れなどに不具合が出る。相性の悪い世界Aの物と世界Bの物の間では循環・相互作用(広義)が若干しづらくなるということ。
人間であれば他世界では代謝が難しくなったりエラーからくる不調が慢性的に出るようになったりする。
(青空と日暮が殺し合えるのは、二人の出身世界が同じだからです。仮に別の不老不死者が現れても出身が違えば殺し合えないし、逆に言えば同郷なら誰でも殺し合えます)

【不老不死の実態】
青空と日暮の場合。
・保存された身体年齢以上には記憶を蓄積できない。
(日暮は群体なので記憶の容量が圧迫されており青空よりも遥かに連続した記憶を持てる年数が少ないです)
・刃は通るが、傷がつかない(抜けば元通り)
・病気にならない、怪我をしない
・髪や爪、身長が伸びない
・身体を鍛えることができない、衰えない
・身体の一部が離れた場合、次の瞬間には戻っている
・痛みは一定以上になると感じない(ちょっとぶつかったかも、くらいはわかります)
・薬や毒物は効くこともあるが、あまりに致死的だと効果が消える
・血液は体外に出ないが、唾液など本来体外に出る液体は水分をとっていれば出る
・食べていれば排泄もする
・疲労や空腹、眠気も感じる。程度が致死的になると感じなくなる
・体内組織に物が入っていても永久保存の作用により身体の体積や質量が変わらないため、体内に刃や銃弾など異物が混入すると、その体積や質量が大きいほどエラーによる不調を強く感じることになる
(これはあくまで青空と日暮の平均的な状態の話であり、ひとや場所にもよって「どの程度強く保存されているか」「どの部分の時間に不具合が大きいか」は変わってきます)


【存在】
観測によって定まり、祈りによって留まる。

【名前】
定義とも。
名づけることで観測しやすくなり、存在の保持を助ける。

【存在定義】
在り方に課す条件。
「AならばBである」のAの部分。
ほとんどただの祈りにすぎないが、祈りで世界を壊す者である異能者のそれであれば、力を持つこともあるだろう。
(「海間日暮」の自己定義は「青空のことを好きでいること」。青空への恋をまだ覚えている時期の彼の魂は群体から別たれ独自の力を持つ。この状態の彼であれば存在期限も作用することがあり、ドッペルゲンガーと遭遇すると世界を追い出されます)


【高次の情報】
下層の者は上層の情報に触れられない。
許容値を超えた情報は毒となって命や在り方を蝕む。代表的には「彼」の存在や言動、及びその痕跡のこと。少しでも関わろうとした・関わってしまった者は存在の崩壊が異常に早まる。原則としては知ってしまっても理解できず、防衛反応として次の瞬間には忘れることになる。
ただし感知系は例外的に高次の情報への耐性を持ち、どこでも「彼」と話ができ、忘れずにいられる。この「情報という名の毒への耐性」を感知系以外の一般人に無理矢理つけることも、ある程度は可能だが、リスキーであることに変わりはない。
(青空と日暮の場合、高次の何を知っても死にも消えもしないけれど、彼らは感知系ではなく、耐性をつけようとしても永久保存によりつけることができないので、基本的には認識した次の瞬間・夢の覚めた瞬間に忘却することになります)
知らなくていいことは知らなくていいし、わからないことはわからないままでいい。

【花】
知ることの花、とも。
夢と現のあわいに咲く純白の花。
触れるとすべてを知ることになる。

【夜明け】
夢を忘れて光を見ること。




見落として解説できていない設定があったら追加するので教えてください。

Thank you for your finding us.
20230204

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