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――津木下家の歴史



語り部はこの私、津木下桐埜だ。キリちゃんと呼んでくれても構わない。いやむしろ今からキリと名乗ろう、ペンネーム的なね?文豪みたいだ私すげー。

げふん、まぁ私も人から聞いた話だし自分でもあまり調べようとしてないからしっかりとは知らない。その程度でいい。歴史なんてな、あとからいくらでも創作できるんだから。


まずは津木下家の成立からか。
あーっと、初代だったらしい津木下さんは江戸時代の鎖国が終わった後からブイブイ言わせ始めた商人だ。
もともと鎖国中も日本中の調度品やら特産品やらを売りさばいて生活してたらしいから、鎖国が終わってせっかくだから外国にも手を出してみようかという感覚だったんだろう。
それが大儲け。瞬く間に津木下さんは大富豪へとなったわけだ。
ただ津木下さんはほら、私の先祖だからな。達観したところがあったんだ。諦観ともいえるが。
都心部へ行くことを頑なに拒否して、自分が生まれ育った中途半端な村の誰も手を付けてなかった山を潰してデカデカとした屋敷を建てた。
さすがは私の先祖、金に糸目を付けなさ過ぎて好感が持てる。
その屋敷に自分が信用できる人たちを住まわせて自分はどこそこ仕事に行っていたらしい。
仕事熱心なところも私に似て素晴らしいな。

その先祖が私の曾祖父に当たる。私は言ってみれば津木下家の四代目。祖父も父も各地を飛び回って職務を全うしたらしい。



さて、私の話をしようか。
私は津木下桐埜、先述のとおり津木下家の四代目当主。
もはや放っておいてもどんどん儲かるわけだが仕事はそれなりにやっている。
父は津木下…なんだったか、まぁ津木下さん。母はこれまた津木下さん。10歳離れた姉が津木下蓮乃であり、私はその弟なわけだ。
良い意味でモダンだった姉さんは行儀見習いに行った先で子供を二人産んだ。自由恋愛だな、さすが私の姉。

十代も後半になって、私もとある女中とまさかの道行きをした。あーっと駆け落ちという表現もあるのか?アレだアレ。
けど女中の方が恐れをなして逃げてしまってねぇハハハ。
娘は私が育てることにしたんだ、あの子は本当に可愛い超可愛い。
私がそわそわしながら屋敷に帰ったら姉さんが子供を連れて帰ってきていた。
「実家に帰らせていただきます!」をしたのだろうと思う。数日したら姉さんは突然倒れて死んだ。
まぁ私は姉が大好きだからね。墓に埋めるのはどうだろうということで、ちょっと権力を振りかざして裏庭付近に神社を作ってもらったんだ。
姉さんくらい私が尊敬した人だったら神の真似ごとくらいできるだろうと、姉さんの骨は神社に祀った。
そんなこんなで父さんも仕事先で不幸に遭って、私が津木下家を継ぐことになってねぇ。
たくさんの使用人たちと可愛い私の娘と敬愛する姉さんの子供二人と仲良く過ごしているわけさ。

はっはー、どうだい自分語りしたかっただけさ!
大体君は私が本気で書き物をすると思ったのかね、だとしたら甘い黒砂糖くらい甘い!
とりあえず津木下家四代目当主桐埜の著書としてこれは厳重に保管してくれ。
あー…湿るから蔵とかには入れないように。


あきゅろす。
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