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――夜。
いつものようにザックスから夕飯の誘いの電話。
心臓がいつもより早く鳴るのを深呼吸で無理矢理押さえてソルジャー専用の高層マンション型兵舎に入る。エレベーターの中でもう一度深呼吸。

鳴り止め心臓!

ザックスの部屋の前で更に深呼吸してからドアホンを鳴らした。
セキュリティが解除されてドアがスライドする。
「クラウドー!今火ぃ使ってるから手ぇ離せないんだ。入ってこいよ!」

脱いだコートでチョコの入った紙袋を隠してリビングへ行く。
「寒かっただろ。もう出来るから座ってな」
テーブルにはいつも以上に並ぶご馳走。
「ずいぶん作ったな」
「1年で1番甘い日だからな」
ザックスが嬉しそうに笑顔で振り返る。
「男同士には関係ない日だろ」
あくまで冷静に。
期待させずに驚かすんだから。

いつも嬉しい事されてるお返し。

「ひっでぇの。男同士じゃなくて恋人同士だろ」
「その前に男同士だろ。早く食べたい。まだ?」
へいへい、と苦笑いしてザックスは最後の料理を皿に盛った。

どんだけ気合い入れて作ったのか、本当に美味しくていつも以上にたくさん食べた。
「もう入んない」
ソファーにもたれてため息をつく。
笑いながらコーヒーを渡された。
そのままザックスが隣に座る。


何だか急に愛おしくなってザックスの肩に頭を預けた。
「クラウド?」
普段しない甘え方に少し驚いたみたいだけど、俺に腕を回してしばらく髪を撫でてくれた。
名残惜しかったけど身を起こしてソファーの下に置いたコートから紙袋を取り出す。
それをザックスの膝の上に置いた。

「クラウド、もしかしてこれ…」
「恥ずかしかったんだからな」
睨めば、綻ぶ端正な顔。
開けていい?って俺の返事も聞かないうちに丁寧にリボンを解いて、箱を開けて…一粒口に入れる。

そしてもう一粒を俺の口に入れた。

「俺がザックスにあげたのに」
俺が食べたら意味ないじゃん。
「俺が貰ったんだから俺がしたいようにするの」
鼻が触れるくらいの超至近距離。
心臓飛び出そうだからやめて。
「なぁクラウド…キスして」

またそうやって甘い声と瞳で俺を誘う。
お願いだからそれやめて。
好きなんだ、その声もその瞳も。
だから逆らえないんだよ。
誘われるように口付ける。
――――頬に。

「口じゃないのかよ!」
「できるかっ!」
恥ずかしくて穴があったら入りたいくらいなのに。
本気で残念がるザックスがしょうがないなぁって苦笑した…と思ったら。
優しいキスが降ってきた。

「…甘い」
「愛が詰まってるからな」
得意げにアンタは言うけど。
「チョコ食べたからだろ」


ううん、違う。
甘いのは愛が詰まってるから―

何だかあったかいのは心があったかいから――



END.

5000HITキリリク、nia様から
「バレンタイン」
でした。
クラウドをとびっきり可愛くというリクだったのに中盤まで偏屈者でごめんなさい!
最後は甘々になりましたが…。
nia様に捧げます。
リクありがとうございました!

20080214




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