シャル×リオン

▼リオン視点


ぼくのぱぱは
いつも、ぼくとあそんで
くれません。

「ぱぱ、…ご本読んで?」
『エミリオ、部屋から出ていきなさい』
「ぱぱ…」
『何度言ったらわかるんだ。邪魔だ、出ていけ』

いつもそういって
ぼくを邪魔にあつかう
ぼくのかぞくは
ぱぱしかいなくて
ままは生まれたときから
いなくて

ぼくはだれと遊べば良いの
さみしいよ
さみしいよ…
ぱぱ…ぼくをひとりに
しないでよ…
ぱぱ…ぱぱ…。

「ぅ…っ…ぱ、ぱっ…」

さみしくて
さみしくて
必死にすがりついて
かなしくなって
涙が出てきて…
でも泣けば泣くほど
ぱぱは…

『うるさいエミリオ!またお仕置きされたいか!』
「ひっ…ご…めんな、さ…」
『まったく…とんだ出来損ないだ!それともう私の事は"ぱぱ"などと呼ばなくて良い!むしずが走る』
「ぅ、ぅっ…ぁ…ぅぅぅっ」
『誰か、こいつをつまみだせ。煩くて仕事に差し支える』

ぼくは…ぼくは
ひとりぼっち
ぼくは…ぼくは
できそこないで
いらない子…?
ねぇ、ぼくは――。




『…ん、…ぼ…っちゃん…坊ちゃん!』
「ぅ…ぁ、なんだ…シャル?…朝から騒々しい…」
『何言ってるんですか?夜中に酷く魘されていたから心配していたんですよ?』
「――そうか」
『…? あー、プリンでも食べ逃した夢、見たんですか?』

シャルは少しからかった様に
僕に言った。

「…さぁな…」
『あれ?今日は怒らないんですね?』
「ふっ。僕はもう子供じゃないさ」

嫌なゆめも
君がいてくれるから



"僕はもう独りじゃない"


end
(それでもあのときの記憶は消えない)


07.7.2


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