シャルとリオン

(死ねたです)


無事、スタン達はここから脱出しただろうか。

もうすぐこの洞窟は水で満たされ――僕は――。



「結局、僕みたいなのは必要ないからゴミ箱行きか」

『…坊っちゃん』



本当はもっと生きたかったなんて言ったら、それはわがままだろうか。

言ってしまえば、僕はこのまま水にのまれて死を迎える。

そう、頭では解っているんだ。

だが、自分が溺れることを想像すると、本当は恐怖で、生きていたくて、死にたくなくて――



『泣かないで…、坊っちゃん…』



怖くて怖くて、涙が止まらない。助かるなら助かりたい。

どうして、どうしてこんな時だけ僕は強がれないっ…。 僕は…僕は…。



『坊っちゃん!坊っちゃん! ほらっ!泣いている顔は貴方には似合いませんよ? いつもみたいにブスくれてるほうが貴方らしい!』

「しゃ、る…」

『それに、坊っちゃんが必要ないなんてことあり得ません! 僕にとってたった一人のマスターなんですから』

「あっ…」





ああ、大事なことを僕は忘れていた。僕には大切な存在がいるということを。



『どうせ死ぬんです。ははっ! 坊っちゃん僕と一緒に叫びましょう』

「え…シャル、何を…」



もうすっかり水に浸かったシャルのコアに触れると、しっかり伝わってきたシャルの想い。

…ありがとうシャルティエ。二人で叫ぼう。僕らにしか出来ない最期を共に迎えよう。



そして、水に浸かったシャルを大きく天に向かって突き上げた。



「『デモンズランス!』」



もう、岩壁の崩れる音しか聞こえない。

しかし行き先は決まってるんだ。シャルと一緒にあの場所へ――



end

(また同じ時代で)

10.7.27


あきゅろす。
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