シャルティエ×リオン

▼リオン視点


嫌い。嫌い嫌い嫌い!誰も「僕」を「僕」として見てくれない眼。

『ヒューゴの息子』この肩書きは一生僕の人生につきまとうのか?


「そんなの…嫌だ!」
『わわっ!坊っちゃん、ベッドから急に起き上がってどうかしたんですか?』
「……」
『あらら、また悪夢でも見ました?』


親の七光りとは良く言ったものだ。『ヒューゴ総帥の息子だもの、このくらい出来て当然だよな』『ははは、さぞかし高度な英才教育をお受けの坊ちゃんだ。俺達なんか比じゃないさ』幼い頃から陰口なんて腐るほど聞いてきた。


僕に流れるヒューゴの血はそんなにすごいものなのか…?


「…違う違う…!」


僕は周りに認められようと必死に努力してきた。剣技、それに知識!出来て当たり前なんかじゃない!それを出来るように僕は努力してきたんだ…!

なのにどうだ。誰が僕をエミリオとして見てくれた?皆に映る僕の姿はヒューゴの息子じゃないか。僕の努力なんて誰もみようとしてくれない…ッ!僕は認められたくて頑張っているのに僕は…僕は…。父(あいつ)を――!


『ピコハン!』


ぽこっ。と、小さなピコピコハンマーが軽快な音を立て僕の頭に直撃した。

「な…!シャル何を!」
『泣きそうな顔してたんで』
「僕は泣きそうになんて」
『なっていましたよ。…あまり自分を追い詰めすぎないで下さい、坊っちゃん』

僕はその言葉の意図が冷静につかめず、つい情動的になってしまった。

「黙れシャル!何も知らないくせに!」
『坊っちゃん!僕は坊っちゃんの家族ですよ。…頼り…ないかもしれませんが…』

力なく言ったシャルの言葉がやけに印象的で。

「あっ…シャル…」



『僕は坊っちゃんの努力を知っています』。僕にそう一言だけ告げると、シャルはおやすみも言わずに寝てしまった。

シャルに当たってしまって申し訳ないと思いながら、僕の心の声が聴こえてたのか、そんな疑問を残して――


END
(天才なんて軽々しい)

10.7.30


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