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第1回公演 ルコスタの風


1949年、連邦政府が統治する旧ルコスタ自治州のクロイツェル基地において、上官殺害事件が発生した。被告人はティエリー・シンクレア少尉である。

その一年前、自治州は連邦からの独立を目指す気運が強く、連邦軍基地はこの少数民族といつ戦闘状態に入ってもおかしくはなかった。

この基地に二人の新任士官がやって来た。シンクレアとクリフォード少尉である。士官学校を首席で卒業したシンクレアは、自ら志願して辺境の地にあるクロイツェル基地を望んだが、没落貴族の三男坊であるクリフォードは、否応なしにこの基地に配属されて来たのである。シンクレアがこの基地の配属を望んだのは、中央の政治に遠い自治州の安定こそ連邦の繁栄に繋がると判断したためであって、シンクレアはその任務を遂行する情熱と冷静さを持っていた。ところが、連邦兵士達に危害を加えられようとしていたライラという娘を助けたことから彼の人生は大きく変わっていく。ライラは聡明で美しく、自由なジプシーの娘であった。二人は惹かれあうものを感じ、それが激しい愛にかわるのに長い時間はかからなかった。しかし、ライラの父はルコスタ州議会の議長であり、兄のアルヴァは独立を目指す過激派の闘志であった。それだけにライラに近づくことは、連邦軍の士官であるシンクレアにとって好ましいことではなかった。

一触即発の連邦軍とルコスタ民族の緩和剤になっていたのが、ライラの父シュトロゼックと基地の司令官であるハウザー大佐の親交であった。無益な争いを避けようとする両者の思惑も、民族の主権を奪われた人達には通じなかった。

ついに若者達の煽動で、一挙に独立の火の手が燃え広がっていく−。



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