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――おはようの挨拶――


眠い。

カーテンの隙間から光が漏れている。
…ということは今はもう朝なのだろう。
だがすぐに起きる気にもならず、聖は朝日と反対側に寝返りをうった。

「?!」

突然目に飛び込んできたのは志摩子の顔。

そういえば昨日から泊まりに来てるんだった、と聖はぼんやりと思い返す。

「志摩子…」

返事はない。
代わりにすやすやと気持ちよさそうな寝息だけが聞こえてきた。
その表情はとても幸せそうで。

自分でも気付かないうちに聖の口元は緩みきっていた。

そっと志摩子の髪をすいてみると、志摩子は軽く身じろぎをした。

「ん…」

予想だにしなかった反応。
その声の艶やかさに聖の心臓が跳ねる。

起こしてしまったかと思ったが、再び規則正しい呼吸音が聞こえてきて。

どうやらまだ寝ているらしい。

ひとまず安心すると志摩子の寝顔をまじまじと見つめる。

ふわりとした髪。
閉じられている瞳。
白く柔らかな肌。

桜色の、唇。

ごくり

聖の喉が鳴った。

「今なら、バレないよね…」

誰に言いきかせるわけでもなく呟くと、聖は志摩子の体に覆い被さった。

「志摩子…」

そっと囁き自らの唇を近づけていく。
二人の距離がもう少しでゼロになろうかというその時。

「おね…さ、ま?」

志摩子の目が開いた。
同時に聖の顔が目の前にあることに気付き、その瞳が見開かれる。

「し、志摩子?!これは…その…」

聖は志摩子から離れることも忘れ、慌てて言い訳を考える。
そんな聖に志摩子がにっこりと笑った。

「お姉さま」

ちゅ

柔らかくて暖かい感触。
唇が触れ合った瞬間だった。

「え…志、摩…?」

びっくりして志摩子を見る聖。
だが志摩子の返答はない。
部屋にはただ先程と同じように志摩子の規則正しい呼吸音がひびくだけ。

「おはようの、ちゅーか…」

聖はひとり満足気に微笑むと、志摩子を抱き寄せて夢の世界に旅立つのだった。



―――――――――――
バカップルの朝(笑)
藤堂は寝起きの意識がはっきりしてないの希望。




あきゅろす。
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