貧乏神 福の神
『創作工房 群青の4月の課題、漢字一文字【 散 】をテーマに書いた小説です』
派遣会社で働く、小早川智美(こばやかわ ともみ)は、ある朝、恋人に
「おまえは貧乏神だから別れる」と言われて捨てられた。
それは散々な言われようであった。
アラサー、独身、恋人もいない、お金もない、将来への希望もない――。
そんな智美に、果たして幸せは訪れるのか!?
(表紙は自作です)
初稿 novelist 2012年4月頃
更新 2016/02/15 文字数 7,320字
カクヨム投稿(れんあい脳) 2016/12/10 文字数 7,502字
「おまえとは別れる」
「えっ! なんで?」
昨夜、私の部屋に泊まりにきていた男が朝おきて一番にそんなことをいい出した。
「おまえは貧乏神だ!」
「……どういうこと?」
「俺たち付きあって一年ほど経つよな? その間に俺はロクな目に遭わない。車で二回事故ったし、スピード違反と駐車違反で三回も違反切符を切られた。マンションには空巣に入られたし、酔って転んで腕骨折して医療費かかった上に、上司と喧嘩して会社までクビになった。おまけに八年も飼っていた金魚が昨日死んだんだ」
そんなことを一気に男は捲し立てた。
それって、全部自分自身が原因なのに、どうして私が貧乏神なんだろうか? 散々ないわれ方に私は言葉を失った。
思えば……夕べ、ベッドの中でずいぶん丹念に愛撫してくれたのは「お別れH」のつもりだったの? 最近、機嫌が悪くてなかなか会ってもくれなかった男なのに、急にやってきて、なんだか様子がオカシイと思っていたが――。
「……だって、そんなの偶然よ」
私がそういっても、
「いいや! おまえと付きあい始めてから俺に悪いことばかりが起きる。おまえは貧乏神だ! だから縁を切るんだ」
「ちょっと! そんないい方はあんまりじゃない!」
「おまえとは別れる俺の意思は固い! 貧乏神の女に付きまとわれるのは真っ平なんだ! じゃあな」
一方的にいいたいことをいうと、私の部屋の鍵を置いて男は出ていった。
その後、電話をかけても、メールを送っても返事はなく、その内に携帯を変えたのか繋がらなくなってしまった。一応、男の家は知ってはいたが、ここまで嫌われているのに……押しかける勇気はもはやなかった。これ以上、惨めになりたくない。
泣いて縋りたいほど、好きでもなかったのかもしれない。自己中な男だったし……。もういいやと諦めた。
――小早川智美(こばやかわ ともみ)、三十一歳と三ヶ月、何度目かの失恋をする。
あながち『貧乏神』だといった男の言葉は外れていないかもしれない。
たしかに、私自身も貧乏だし、実家も決して裕福ではない。高校を卒業してから働いた会社が倒産したり、次に就職した会社では不況でリストラされたりして、今では人材派遣の会社に登録して細々と生計を立てている現状なのだから。
最後の望み結婚の夢も断たれた今は……。もう嗤うしかなかった。
前の会社との契約が切れたので、今週から新しい職場に派遣される。
特に資格や技能のない私は、工場などの現場作業が多い。お金が少しでもよければ、3Kだろうが、ブラックだろうが、文句などいってられない。生活のために働くしかないのだから。
今度の派遣先は大手家電メーカーの協力会社だと聞いている。まあ、いわゆる下請け会社のことだが、大手家電メーカーからの資金も入っているので仕事は安定しているようだった。
ここでの仕事はベルトコンベヤーから流れてくる電気部品の検査の仕事だった。単調な仕事だけれど、やたらと目が疲れるし肩も凝った。毎日々、同じ仕事でうんざりするが文句もいえず、淡々とこなしている。
この職場は自宅から自転車で二十分ほどでいける距離なので近くて便利だった。
派遣はパートに比べると時給が高い。だから、パートのおばさんたちに露骨にイビられたりする。けれど、その職場で嫌われたら、なんだかんだと難癖をつけられて派遣だからと、すぐクビを切られてしまう。そうならないように、目立たないように、挨拶もきちんとして真面目そうに見えるように、職場での好印象には気を配っていた。
あの日、男から『貧乏神』といわれてから、すべてに自信が持てなくなってしまい、すっかり委縮した人間になっていくようだった。
職場には手作り弁当を持っていって、少しでも食費を浮かすために社員食堂では絶対に食べない。ロッカールームでひとりお弁当を食べ終えたら、少しでも早くに現場に戻り、午後からの仕事の準備を始める。パートより多く仕事をやらないと「給料泥棒」陰口を叩かれることは分かっているから……。
その日もお弁当を食べ終えて、現場に戻っていったら。
窓辺のブラインドを開けて男がひとり、なにかモソモソやっている。どうしたのだろうかと通路を通りかかった時にチラッと見たら、指にトゲが刺さったようで、陽の光に翳しながら爪で抜こう悪戦苦闘している様子だった。
「大丈夫ですか?」
思わず声をかけてしまった。
「ああ、爪のあいだに金属部品のバリが入ったみたいで痛くて……」
そういって、顔を顰めながら指の皮をめくっていた。
その人はこの会社の品質管理課の主任で、たぶん三十歳を少し過ぎぐらいだと思う。ハンサムではないが、温厚で清潔な感じがする人物だった。
ところで、バリというのは金属の部品に付いている切断の時にできる金属の破片のことで、針のように尖っていて、うっかり素手で触るとよく刺さるのだ。しかも深く刺さると自分ではなかなか抜くことが出来ないのである。
「あのう、ちょっと待ってください。私、トゲ抜き持ってますから……」
トートバックから裁縫セットを取り出すと、
「トゲ見えますか?」
「うん。黒いのが見える」
「取ってあげます!」
主任の爪のあいだにトゲ抜きを差し込んで一気に抜いた。
「痛い!」
抜く時、思わず声をあげた。
「取れましたよ。これ!」
トゲ抜きの先に、取れた金属片が光っていた。
「ありがとう! やあ、助かったよ。トゲがチクチク痛くて仕事ができなかったんだ。ずいぶん深く刺さっていたんだなあ」
「バイ菌が入らないように消毒してくださいね。では、失礼します」
それだけいって、立ち去ろうとすると、
「君の名前は?」
背中を追いかけるように主任の声がした。私は振り返って、
「は? 派遣の小早川です」
「小早川さん、恩にきるよ」
にっこりと主任が笑った。少年みたいな無邪気な顔になった。
私の作業服にネームプレートを付けているのに、わざわざ名前を訊くなんて……。もう一度、振り返って見たら、まだニコニコしながら、こっちを見ている。ヘンな人。
それから主任は私のことが気にいったのか?
現場や工場内の通路などで出会うと爽やかな笑顔で会釈をしてくる。こちらも派遣先の上司に嫌われたくないので愛想よく挨拶をかえす。
ある時、人気のない広い資材倉庫で主任とバッタリ会った。私はパートに取ってくるようにいわれた部材を探して、倉庫の中をウロウロしていたのだ。
「小早川さん、なにか探しているのかい?」
向うから、嬉しそうに話かけてきた。
「はい。こういう品番の部材を探しているんですが……棚が見つからなくて……」
「どれどれ」
メモに書いた品番を覗きこんで、
「ああ、これなら、こっち、こっち」
手招きしながら主任が案内してくれた。
資材倉庫は棚だらけでどこに何が置いてあるのかさっぱり分からない。派遣の私と違って、長く務めている社員には、すぐに置き場所が分かるようだ。
「ありがとうございます」
お礼をいって、見つかった部材を手に現場に戻ろうとすると、
「ちょっと待って。君って、いつもひとりぼっちだね?」
呼び止めると主任は、いきなりそんなことをいう。
「えっ? あのう、私、派遣だから……どうせ、すぐに職場変わるんで誰とも親しくしないんです」
「……そうか。なんか寂しそうに見えたから」
「そんなことありません!」
その言葉にムッとする。(フン! そんなの大きなお世話だよ)思わず心の中でうそぶいていた。たぶん、まだ癒えぬ失恋の傷口に触れられたようで過剰反応したのだ。
「じゃあ、食事とか誘ってもダメかなあ……」
「ええ、ゴメンなさい」
ペコリと頭を下げると、急いで現場に戻った。
いきなり食事なんかに誘って、あの主任どういうつもりなのだろう?
失恋したばかりだし、もう男は懲り懲りだよ。たぶん妻帯者だろうし……派遣の女なら簡単に落とせるとでも? そう考えたら、爽やかだと思っていた主任の笑顔も下心見え見えで厭らしく思えてきた(派遣の女だと思って、ばかにすんなっ!)と心の中で叫んだ。
ベルトコンベヤーから流れてくる部品を検査する仕事にも職場にも慣れてきたが、後、一週間でここでの派遣の仕事が終わる。
次の仕事がすぐに見つかればいいが、見つからなかったら――しばらく貯金を切り崩しながら生活するしかない。ああ、こんなことだから貯金もたまらない。やっぱり私は『貧乏神』の女かもしれない。――自分でもそう思えてきた。
今日の仕事が終わって。女子トイレの鏡の前で、油取り紙で顔の皮脂をおさえ、おしろいを叩いて帰る準備をしていた。どうせ早く帰ってもひとりだし、男もペットもいない、帰ってもツマラナイけれど、されとて他にいくあてもない。
アラサー、独身、恋人もいない、お金もないし、将来への希望はまるでない――。
「あぁーあー」
思わず大きな溜息がでた。
使用済みの油取り紙を捨てようとゴミ箱のフタを開けると、A4サイズの社名入りの封筒が捨てられていた。なんでこんな物がトイレのゴミ箱に? 不審に思ったが……落ちていた物を誰かが拾って、ここに捨てたのだろうと思って、そのままフタを閉めた。
自分は派遣社員だから、社内の人間関係やトラブルには極力タッチしない主義だった。
トイレから出てきて、廊下を歩いていると主任とあった。珍しく、今日はスーツ姿だった。
無視して通り過ぎようとしたら、なんだか様子が変だ――。キョロキョロしながら、消火器の裏を覗いたり、通路に設置された自動販売機の隙間に手を突っ込んだりと――なにかを必死で探しているようだ。
思わず、また声が出た。
「どうしたんですか?」
「探しているんだ! これくらいのA4サイズの封筒なんだ……」
主任はかなり焦っているのか、顔も見ないで、手で大きさを指し示めす。
「A4の封筒ですか?」
「あれがないと困った。今から出張なのに……大事な書類が入っている封筒なんだ。ああ、どうしよう……どうしよう……」
困惑している様子で、終いには髪の毛を掻きむしっている。
もしかしたら、さっきトイレのゴミ箱に捨てられていた、あの封筒かも?
「主任! ちょっと待っててください」
そういうと、慌ててトイレに戻りゴミ箱から封筒を拾い上げて、主任の元へ持っていった。
「ああっ! それだ!!」
封筒を見るなり主任が大声で叫んだ。
すぐさま中身を取り出し確認すると、「良かったあー、全部揃っている」独り言を呟き、安堵の溜息を漏らしていた。
「ありがとう! 本当にありがとう!!」
大げさに喜んでいる。
「いえ、いえ」
「これ、どこにあったんだい?」
「……それが女子トイレのゴミ箱に捨てられていたんです」
「なっ、なんだってぇー!?」
私の返答に主任は驚いたようで、しばらく俯いて神妙な顔でなにかを考えていた。
「あっ! 時間がない。今から出張にいくので、このお礼は改めてさせてもらうからね。たぶん三、四日で帰ると思うから……じゃあ、またー」
そういい置いて、廊下をバタバタ走っていった。そんな主任の後ろ姿を私は茫然と見送っていた。
「お疲れさまでした」
最後の労いの言葉はいつもそれだった。
三ヶ月働いた派遣先の会社が今日で終わり、たぶん明日になったら私のことなんか、誰も思い出さないだろう。寂しいけれど、これが根なし草の派遣社員の宿命だから仕方ない。
荷物を片付けて、空っぽになったロッカーの据え付けの小さな鏡に、寂しげな女の顔が映っている。(明日からどうしよう?)生活のことを考えると暗澹たる気分になる。
きっと『貧乏神』って、今の私みたいな顔をしているんだろうなぁー。
ふいに、主任の笑顔を思い出した。あの時「改めてお礼をするから……」そういってたくせに、あれっきりで姿も見せない。派遣だから、どうせ、からかわれただけなんだ。――なのに、ちょっと期待しちゃってる自分が哀しい。
「お世話になりました!」
ロッカーにいる人たちに向かって挨拶をすると、まるで逃げるように職場を出ていった。
家に向かって自転車のペダルをこいでいた。
今日だけは、自分自身に「お仕事ご苦労さまでした」ってことで、チューハイでも買って飲もうとコンビニに寄った。
夕方なので学生や仕事帰りのサラリーマンで店内は混雑していた。レジのカウンターの後ろに求人募集のチラシが貼ってある。深夜バイトは時給が良い。次の派遣先が見つかるまで、コンビニでバイトでもしようかと思い、急いで携帯に連絡先の電話番号を記録した。
ひとつ仕事が終わっても、すぐに働き出さないとやっていけない『貧乏神』だといって、自分を捨てた男の言葉が鉛のように重く心にのしかかる。
――もう、たぶん、自分はずっと幸せになれないのかもしれない。
チューハイとポテチを買ってコンビニを出る。駐車場に停めてある自転車の鍵をポケットの中で探っていると、
「小早川さん」
背後から声をかけられビックリした。誰だろうと振り向くと、
「主任!」
「やあ、君に会えてよかった」
いつもの笑顔で主任がニコニコしていた。
「ど、どうしたんですか?」
「出張が延びてね。さっき会社に帰ってきたんだよ。すぐに小早川さんを探したら……派遣は今日で終わりだから、さっき帰ったって聞いて、急いで自転車で追いかけてきたんだ」
見ると、真新しいマウンテンバイクが隣に停めてあった。たぶん主任のものだろう。
「君にお礼がいいたくて……」
「書類の件はいいんです。偶然見つけただけだし……」
「それだけじゃない。君は僕にとって福の神なんだ!」
「はぁ? 福の神って?」
「僕は君と出会ってから良いことばかりが起きるんだ。本当なんだよ!」
なにいっているんだろう? この人は……。私は前の彼氏に『貧乏神』っていわれて捨てられた女なのに、『福の神』って? いったいどういうことよ。
「君がトゲを抜いてくれた日から、僕の運気が急上昇し始めたんだ。――たとえば、新製品開発のプロジェクトチームに任命されたり、なに気なく買った宝くじで二十万円当選したり、近所のスーパーの三角くじで、このマウンテンバイクが当ったし、音信不通だった親友と町でばったり再会したりとラッキーなことが続くんだ」
「そ、そうなんですか……?」
なんだか信じられないようなことを聴かされている。
「それと、こないだの書類の件だけど……実は僕とソリの合わない課長がやったことだったんだ。あの日、出張前の僕の机に置いてあった封筒をこっそり持ち出して、女子トイレに捨てたのだ。女子トイレから出てくる課長の姿を掃除のおばさんが見ていて、そのことをお局女子社員に話したらしい。おまけに、課長は会社で購入した検査機器を高い値段で業者に納入させて差格をリベートとして、受け取っていたんだよ。そのことが会社にバレて、どうやらクビになるみたい……」
最後の方は声をひそめていう。
「そうなんですか。ヒドイ上司ですね」
「――それで、課長の椅子が空いたので、今度、この僕が課長に抜擢された。来週、正式に会社から辞令を受ける予定なんだ」
「おめでとうございます」
私がいうと主任は照れ臭そうに笑った。
「あの時、智美さんが書類を見つけてくれたお陰だよ。もし書類を失くしていたら責任とって僕が会社を辞めるはめになっていた――。社運をかけた新製品開発だから、うちの親会社の本社で幹部社員たちを前にするプレゼン用の資料が入っていたから……。智美さんには感謝している」
(あれ? いつの間にか“ 智美さん”て呼ばれてないか……わたし)どういうこと?
「大事なプレゼンテーションで緊張したけど……智美さんのことを考えながら深呼吸していたら、とても気持ちが落ち着いて、自分でも信じられないくらい上手くプレゼンができて拍手喝采だった。――みんな智美さんのお陰だよ」
てか、そんなに褒められても、私なにもやってないから……。
「そうですか、プレゼンテーション成功してよかったですね」
「それで親会社との共同開発プロジェクトチームに選ばれたんだ! 来月から急にシアトルに赴任することになった」
嬉しそうに興奮気味に喋る主任だが、どうして、そんな話を自転車で追いかけてきてまで、この私に聞かせるんだろうか。
自分には関係ない話なのに……少しイラついてきた。
「シアトルでのご活躍を祈ってますね。それでは、失礼しまーす」
そういって、私が自転車のサドルに跨ろうとしたら、
「待ってくれい!」
ガシッと腕を掴まれた。
「な、なんですかっ!?」
「違うんだ! そんな話をしたくて智美さんを追いかけてきたんじゃない。頼むから聞いてくれ!」
「は、はい」
あまりに真剣な面持ちで主任がいうので、サドルに跨ったまま固まった。
「――あの日、智美さんが僕の指からトゲを抜いてくれた。変わりに僕の胸にハートの矢を刺したんだ」
真っ赤な顔をして主任が話しているが、そのベタな台詞に思わず……ブッと私は噴いてしまった。
「あれぇー、僕のプレゼン失敗かなぁ?」
「だってぇー、あははっ」
お腹を抱えて笑ってしまった。
「生まれて初めてのプロポーズのプレゼンテーションだったのに……」
泣きそう目で主任が私を見ている。
生まれて初めてのプロポーズって、ほんと? ……て、ことは、主任は独身だったんだ。てっきり妻帯者だとばかり思ってた。
「……あの日から、智美さんのことがすごく気になって見ていたんだ。君のことを考えると元気が出てやる気が起きる。ずっと、君のような女性を探していた。僕と一緒にシアトルにいってくれないか?」
「えっ?」
「智美さん、僕と結婚してください!」
そういうと主任はペコリと頭を下げた。
今、プロポーズされたの……わたし。マジ!? ウッソー!? 突然過ぎて信じられない。
なんか驚き過ぎて、ポカーンとしてしまった。
「僕の『福の神』だから一生離さないよ!」
主任が私をギュッと抱きしめた。
こんなことってあるの? ひとりの男からは『貧乏神』といわれて捨てられたのに、もうひとりの男からは『福の神』だとプロポーズされた。――私っていったいどっちなの?
要するに、これって相性の問題だったんだ。主任に取って私は『福の神』だったのね。そんな風に思ってもらえてすごく嬉しい。
ああ、これが夢じゃなければいいのだけれど――気がついたら、私たち抱き合っていた。主任の胸は温かくて広かった。嬉しくて……嬉しくて……ポロポロ涙がでちゃった。
それにしても、コンビニの駐車場でプロポーズされるなんて……。
「智美は『福の神』いや、違う。僕だけの『幸運の女神』なんだよ!」
この人だったら、きっと私を幸せにしてくれそうな気がするわ!
あれ? ところで主任の名前はなんだっけ? 彼のことは何も知らないけど、私たちは相性が良いので、絶対に上手くやっていける。――だって、私は『福の神』だもの!
〔貧乏神 福の神 完結〕
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