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・ずっと会いたかった (雲雀×山本)


 ミルフィオーレへの基地潜入が終わって少しした晩、オレはベッドを抜け出し並盛中学校へと来ていた。
 そこに、必ず彼はいると思ったから。


「ヒバリ・・・傷は大丈夫なのか?」


 予想通りそこにいたヒバリは、見た目にはあまり分からないがあの時かなりの怪我を負ったはずだった。だけど彼は無表情のまま、ただ全身から放つ殺気だけは隠そうともせず、ずっとオレを睨んで目を離さなかった。


「今、ここで起こってること、ちゃんと聞いたか?ヒバリ・・・」


 いつも突然に、ふっと現れてはふっと消える、雲のような彼を捕まえるのはとても大変で、だけどそこには、確かにオレの知る中学生のヒバリがいる。


「ヒバリ・・・ヒバリ・・・」


 殺気を放ったまま決して近づかせないヒバリを、オレは必死で何度も呼んだ。溢れる思いが胸をいっぱいにしてたまらなくなる。


「やっと、オレの知ってるヒバリに会えた!!」


 躊躇いはなかった。
 殴られるとか、下手したら殺されるかなとか、頭の片隅で考えていても、動く体を止める術は知らない。



「ヒバリ!!」



 飛びつくようにヒバリを強く強く抱き締めた。これは夢じゃないんだと、幻影ではないんだと、これが現実だと確信するために、何度も何度も、強く、強く・・・



























「・・・・山本武」


 長い長い静寂のあとに、ヒバリの声がポツリと聞こえた。彼は意外にも抵抗ひとつ見せず、オレに抱き締められるまま身動きひとつ取らないでいた。
 彼もまた、オレの存在を感じてくれたのだろうか。そんな淡いことを思ってしまう。

 抵抗しない彼の、そっとその唇に触れようとした次のの瞬間、しかしオレの右頬はヒバリのトンファが思いっきりヒットし、盛大にふっ飛ばされてしまった。


「・・・ってえ・・・・」


 油断したとはいえ、これはまじでキツイ。


「何のつもり?噛み殺すよ」
 

 殴られてから言われても、と少なからず思ったが、しかし言葉とは裏腹にヒバリから今までの殺気が消えていて、ふっと全身の力が抜けた。



  ああ、これがいつものヒバリだ



 オレはもう一度、泣きそうな気持ちを必死に堪えて、ありったけの今の思いをヒバリにぶつけた。





「ヒバリ・・・ずっと会いたかった・・・!!」








THE END


あとがき

 未来に飛ばされてから、ずっと雲雀のことが気になっていた山本。目の前に雲雀はいたけど、それは自分の知る雲雀じゃなくて、自分の知る雲雀は今無事なのだろうかと。

 基地潜入で幻騎士に負けて、気を失ってる間に気が付いたら雲雀がいて、おそらく山本はあまりの状態の変化に驚いたんじゃないかと思うんですが。
だって入江やスパナが仲間になってるんですよ。何事と思うでしょうに。

 でも一番はやっぱり雲雀さん。ああ、知ってる雲雀がいる。
 その感動を表現したかったのですが、まあ、その、ありきたりですみません・・・

 この後を言いますと、雲雀からキスされます。山本の今にも襲いかかりそうな勢いに苛立っただけの雲雀さん。キスは自分から!君は大人しくされるがままでいなよ。

 そう、ヒバ山なのです!


 愛だねえ愛・・・(笑)


 お付き合い感謝です!!


2009.10.19


椿




あきゅろす。
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