・ずっと思い焦がれていた (ディーノ×山本)
「ディーノさん、起きなくて良いのか?」
陽はすっかり昇り時計は12時を少し回った頃、布団にくるまったまま一向に起きる気配を見せないディーノさんを、さすがにまずいかと思いその体を軽く揺り動かした。
昨晩遅くに現れたディーノさんは、忙しい仕事の合間をぬって訪れてくれたのかとても疲れた顔をしていて、起こすのも少し気が引けてしまう。
そんな時、階下から親父の声がして、ロマーリオさんがやって来たのが分かった。
「ほらディーノさん、お迎えが来たぜ。早く起きろって」
最初よりも幾分強く体を揺り動かすと、布団の中からくぐもった声が聞こえてきた。
「ディーノさん!」
もう一度強く体を揺すると、ディーノさんはやっと布団から顔を出した。
「んん?もうそんな時間か?」
まだ少し眠そうに目を擦るディーノさんはなんだかとても眩しくて、キラキラと輝く黄金色の髪のせいだとそっとその頭に手を伸ばす。
「山本?」
ふと不思議そうに見上げるディーノさんと目が合って、オレは慌ててその手を離した。無意識で動いた自分の体に思わず驚く。
「ほ、ほら早く起きて顔洗ってきなよ。ロマーリオさん下で待ってるぜ」
すると今度はディーノさんが慌てたように起き上がり、扉へ向かおうとした次の瞬間、盛大に前へとすっ転んだ。
「ボス。何してるんですか」
その余りにもの激しい物音にロマーリオさんも階下から駆けつける。
「大丈夫っすか、ディーノさん」
すぐに起き上がったディーノさんは鼻を真っ赤にし、少し恥ずかしそうに頭を掻いた。
しかしロマーリオさんの顔を見ると途端に表情は一変し、しっかりとした足取りで二人、洗面所へと消えてしまった。
一人残されたオレは手持ち無沙汰になり、片付けようと目の前の布団に手を伸ばす。するとこれは香水なのだろうか、ディーノさんの匂いが掛け布団からほのかに香り、思わず動きを止めた。
オレはあのドジでおっちょこちょいで、でも凄く可愛らしいディーノさんを、密かにずっと思い焦がれていた。
どんなに忙しくて少しの時間しかなくても、オレの顔を見に来てくれるディーノさんがとても嬉しくて、だけどその反面打ち明けられない思いがいつもオレの胸を締め付ける。
握り締めた布団に顔をうずめ、苦しい胸の痛みをなんとかやり過ごした。こんな日々を、一体何度繰り返しただろう。ディーノさんのオレを見る目は可愛い弟分という感じで、打ち明けるなんて到底できそうもない。
だけど、ずっとずっと、思い焦がれていた。
部下の前では完璧でかっこ良い、でもオレの前ではドジでとても可愛らしいディーノさんを、
ずっと、ずっと――――――――
THE END
あとがき
まだディーノさんの本性を知らない時の山本です☆
恋愛に関しては鈍感な、というか大した興味を持っていない山本は、どんなに時間がなくて顔を見せに来てくれるディーノさんが他の人にも同じようにしていると思い込んでます。
お互い好きなのにお互い踏み込めないというなんとも歯がゆい関係。
その後ゆっくりとディーノさんを知っていくのですが、その本性が白いか黒いかは読む皆様に任せます(笑)
ここまでお付き合いありがとうございました!
2009.10.12
椿
ああ、文が下手くそだなあ・・・
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