「王子様と結婚して、白雪姫は本当に幸せになれたのかしら?」
「‥はあ?」
童話疑問話。
本日何回目の失敗か分からない、ナンパをしていた自分に、待ち合わせをしていた少女が呆れ半分にそんな疑問を投げ掛けてきたのは、ほんの数秒前。思わず素っ頓狂な声を出して、彼女の方を暫く見つめてしまうのには十分過ぎるくらいの不思議な発言だった。
日頃は割とストレートに物を言う彼女にしては随分遠回しな、しかも解りづらい、何とも難解な問いを目の前に、少年はどうしたら良いものかと言うように頭を掻いていたが、とりあえず。
「な、今の‥どういう意味だよ?」
直球勝負に出てみたのだが、彼女は信じられないとでも言いたげに目を見開き、そして俯く。
意味深、と言うべきか、ワケが分からないと言うか。自分がナンパをするのは常日頃のコトであるし、別に彼女とどうこう関係があるワケではないのだが。
"気になる、よな。"
今自分に出来ることは、彼女の投げた言葉を受け取り、理解しようとすること。
ココで引き下がっては恰好が付かないし、よく分からないけれど、"何だか気になる女の子"は、からかいたくなる外に、ついつい良いところを見せたく成ると言う気持ちも少なからず胸の中には在る。なのでポケモン戦闘とビリヤードと、女の子を口説く以外にはそう滅多に使うことのない知恵を振り絞り、色々と少女に言ってみるが、全部「間違い」と突き返された。
"この難問は必ず解いてやる!"
"じっちゃんの名に賭けて(?)"と言う言葉が続きそうな、正に難事件に挑む名探偵さながらに、少年は引き続き考える。
自分の横に立っている少女が、困惑した表情で、
「ゴールド‥分からないなら良いのよ。そんなに頑張らなくたって‥」
諭されたが、一度決めたことをねじ曲げるのが好きでない、ゴールドと呼ばれた少年は、負けてたまるかと言ったように、少女の言葉を無視して考え続けた。
だが、何分経過しても同じような答えを頭の中で反復することしか出来なくて、ココまでかと諦め掛けたとき、ふと自分達の正面で先刻の自分のように、可愛い女の子だけに声を掛けている、自分より10歳くらいは年が離れていそうな男を見た。
その男はどうやら一人の女の子を引っかけるコトに成功したようで、ヘラヘラ軽い笑いを浮かべながら、女の子と仲良さそうに近くの喫茶店へ入って行った。
自分のコトを棚に上げ、初めは呆れて見ていただけだったのだが、あることに気付いた。あのナンパ男は、"可愛い"と思うような女の子ばかりに声を掛けていた。つまり、"女の子の見た感じだけしか見ていない"のだ。
「‥クリス」
問題解けたぞ。威張ってみせると、散々待たせたくせにと一喝されて、せっかく頑張ったのに無駄な努力だったのかと、少しばかり泣きたくなった。
まだ彼女の言いたい本当のコトも、見えていなかったから余計にそう感じて、お説教を続ける彼女を半分聞き流しながら、シルバーにポケギアでメールを送り、白雪姫について調べてもらうことにしたのだった。
後日シルバーに聞いて知ったのだが、白雪姫にはこんな続きがあったらしい。
要約すると、こうなる。
王子様と結婚した白雪姫は、初めの何年かこそ幸せに暮らしていましたが、年を重ねるごとに白雪姫の透き通るような美しさは徐々にくすんでいきました。
王子様は白雪姫の見た感じだけの美しさに惹かれたので、瑞々しく美しかった白雪姫の今の姿を忌み、別の若くて美しい女性の所ばかりへ行くようになり、白雪姫は独りぼっち。
そして‥いつの間にか白雪姫は、愛人の娘の魔女の継母になったのでした。
----大丈夫。
俺は君の見掛けだけで君を見ているワケじゃない。
心の中まで、本気で。
大好き、だぜ。
だから心配すんな。
こんなの自分の思い込みだけであって、自惚れかも知れないけれどと自嘲気味に笑って、夏の風に言葉を流した。
fin.
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Palabras Finales
ゴのキャラが見事に別人です。しかしゴです。
古文の時間にこの話聞いて悲しくなりました。
文章力無くてゴメンナサイ(汗。
2005.7.23
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