寄生バチを摘出して、
あんたは生きたいと言った。
そう言って無防備に俺の前で泣いた。
無意識にその涙を拭ってやろうとしている手に気づき、悟られないように髪の毛をつかむ。
綺麗だと思った。
紫苑は髪色を失う変わりに何か手に入れられただろうか。
いや、
こいつは失ってばかりだ。
もとよりいい所に居たのもあるだろう…
それでも俺はあんたを可愛そうだとは思わない。
等価交換なんて事が現実にあるなら、捨てられたもの、売り切れの未来で溢れかえってしまう。
不平等な事ばかりだ。
理不尽な事ばかりだ。
でもあんたはそれに抗わなくちゃならない。
だから強くなれ。
ここでは誰も助けちゃくれないんだから、な。
強く、
(そう、心までも)
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