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2011年3月11日。

なんだか、いろいろと切なくなりました。
少しでも、誰かの心が安らぐように、とりあえず自分にできることはといえば、文字を書いたり絵を描いたりすることかな・・・と。


あやかしあやし設定です。
あぁ、もう本当に私たちの気持ちを持って被災地にいってくれ妖怪たち!と叫びたくなります。



では、どうぞ。


足しになるかも分からない、お守りもどきの画像を用意しました。→コチラから





少年は愕然としていた。
その日、少年の目の前で全てが無くなった。

哀しむ暇も泣く暇もくれなかった。
神様とはなんと非常なものなのか。

そんな少年に乱太郎は手を伸ばした。


犬神は青年に叫んだ。風は人を導くもの。
どんな試練も難事も共に越えようと勇ましく。

「うーん・・・人員をこれ以上割いてくれるかどうか・・・」
『阿呆、人員を増やすようにするのがお前の仕事だろうが!』
「そ、そうだね。頑張るよ。失礼します!捜索隊の人員の案件についてですが・・・」
『負けるなよ。お前のやってる事は正しい』


白沢は路傍で呟く。華は人を癒すもの。
どんな悪条件でも根を張り葉を伸ばし力強く。

『よしよし、お前たちちゃんと咲くんだぞ』
『仙蔵様のお力を頂いてるんです!もちろんですよ!』
『泣く子がいても、そこでお前は凛と立っててやるんだぞ』
『はい!』


鬼は困難に立ち向かう。鬼は人を隔てるもの。
向こう側からの敵襲に君らが大丈夫ならと死地で笑う。

『へーきへーき!皆の負の氣を狙う奴らなんてみーんな私がぶっ飛ばしてあげるから!』
「・・・・うぅっ・・・」
『ほら、笑って笑って!君が笑ってくれたら私負けないよ』
「う゛んっ・・・」


百々目鬼は静かに立つ。眼は人を写すもの。
いつだって真実から眼を背けるなと瓦礫の海で諭す。

「にしても今日は放送事故とかなくて良かったよ」
「本当、この状況だからいつ通じなくなるか分からなかったけどね」
『・・・・・・』
「神様のご加護みたいなのがあったりして・・・ね?」
「まさか!」
『事実は伝えられねば。早く尚且つ正確に』


以津真天は唯傍に寄り添う。魂は人を示すもの。
何百の死臭に頭痛を催しても、それでも一つでも多くとひたすらに。

『まだ、息がある』
「!!こっちに人だ!担架を!」
『もう大丈夫だよ。また友達と遊ぼうねぇ』
「助けるからな!・・・絶対に!」


花札師は荷物を背に走る。札は人を守るもの。
困った時はお互い様だと振りかえることなく。

「おい、危ないぞ!」
「でもこれ届けなきゃいけないじゃないですか!」
「だがな・・・その瓦礫を荷物もって歩いて越えろって?」
「足場も安定してますし瓦礫の捜索も終わってます。大丈夫俺運いいんで!」


黒狐は空を仰ぎ視る。蒼は人を見守るもの。
人には視えぬ天に昇る命を残る命を見て優しく。

『大丈夫だ。みんな、強い』
『・・・・!!・・・・!!!』
『人はな、いつだって絆で繋がってる。たとえ空の上でも』


蝶は迷える魂を天に還す。蝶は人を誘うもの。
鎖で動けぬそれをお疲れさん、御苦労さんと舞うように。

『お疲れさん。こんな所で…苦しかったろ?』
『なんで・・・水が引いてねぇのに・・・誰も来ねぇかと』
『蝶の羽で行けない所なんてあるもんか。家族の顔、見て逝くよな?』
『あぁ・・・ありがてぇ』


鴉は子守歌を奏でる。歌は人を繋ぐもの。
言い方も考え方も違うけれど、心は皆一つになれると言い切って。

「なんで唄うの?みんな聞こえてないよ?」
『それでも、俺が出来る事はこれくらいだから』
「・・・良い唄だね」
『ありがと。皆の心はもう一つかもしれないね』


狸たちは夜空を駆ける。星は人の未来を占うもの。
路は人の未来が選ぶもの。
彼らに僕らの出来ることをと遠い空で朗らかに。

『うん、雷蔵これで雨雲は行ったと思うよ』
『ありがと。この運命もきっと切り開けるよね』
『星を読んだ?』
『ううん。読まなくても分かるよ』


姉妹は建物の傍で語る。鏡は人を移すもの。
城は人を護るもの。
これ以上はさせぬと清らかに。

『今日はずいぶんとやる気だな』
『僕のちからでどこまで抑えられるか・・・。まあね滝もでしょ?』
『やるしかないな・・・。そうだな防波堤で守れなかったからな』
『城として汚名挽回させてもらわないと』


波山は虎若と話す。幻は人を魅せるもの。
自分が出来ることで最善をと恐怖を打ち捨てて。

「大丈夫ですか?先輩」
『大丈夫だ。ほら僕は炎にいくらやられても平気だからな』
「そうですけど・・・。じゃあ父さんたちの事お願いします。この辺の火災を消してるそうです」
『了解。ちゃんと皆で戻ってくるからな』
「絶対ですよっ!!」


猫又は青鷺火と眠る。夢は人を合歓らせるもの。
紋は人を確にするもの。
大丈夫だよ、安心なさいと安らかに。

『おやすみ。みんないい夢みてね』
『寒そう・・・そうだ!』
『伊助、なにしたの?みんなの毛布に』
『ふふ、ちょっと織目を弄ってあったかくなりますようにって!』


蛇と大蚣は犬に助力する。蛇は人を惑わすもの。
見えぬ蛇を犬の首に巻かせてのらりくらりと。

『先輩、キミ子たちは何を?』
『あの子たちには熱を感知できる感覚器があるからね』
『なるほど。それで手伝わせていたんですね』
『そうはいうけど、お前だって蚣たちに探させているじゃないか』


三人衆はこそこそと動く。鳥は人を運ぶもの。
嶽は人を抱えるもの。流は人を動かすもの。
風のように疾く、川のように柔らかく、焔のように温かく。

『隊長、買い物した人たちの袋にこっそりチョコ配布完了であります!』
『こっちも、店の品物こっそり少しずつ増やしてきたぜ』
『よーしてめぇら次の店いくぞー!』


月兎と鈴彦姫は祈る。月は人の傍にいるもの。
何が合っても、静かに清らかに、ただしずしずと。

『というわけで天照様、ちょっと光増やしてもらえませんか?』
『藤内?といわれても、月読が耐えられるか・・・』
『月読様には了承いただきました』
『数馬・・・その調子だと無理にでも黙らせたようですね。でも少ししかできませんよ?』
『えぇ、解ってます。でも少しでも役に立ちたいですから』
『何がいいのか分からないけれど、やれることは全部やりたいんです僕たち!』


網切と獺と狒狒は海に出る。網は人を捕えるもの。
海底の魂を助けに、雄々しく。

『ほら、もう苦しくないだろ?ほら、逝きなよ』
『・・・・・』
『三郎次、お前なんで魂と一緒に貝までつれてきた』
『いや、だって石油流れてるしさぁ。こいつ車の間でもがいてて・・・』
『三郎次、見てらんなかったんだってさ』
『そういう久作お前もか。ま、救える命は大いに越したことはないわな』


きり丸としんべヱは物を売る。銀は人に等しいもの。
どんなことがあろうとも、少しでも多くの人にと猛々しく。

「家には食べざかりの息子が二人もいるのよ!』
「でも・・・」
「ね、お願いよ!」
「駄目です!」
「なんでよっ!いいじゃない!」
「この食糧と水はアンタだけのものじゃない」
「そうだよ。これは他の誰かの命の水になるかもしれないんだ!」
「!!・・・そ、それもそうね・・・。ごめんなさい」


白児と木霊は言霊を運ぶ。白は人を還すもの。
地方の言葉を想いを乗せて、愛おしく。

『何もできなくてごめん、に今すぐ会いに行きたい』
『こっちは、山以上の大丈夫?と無事でよかった』
『・・・なんだかあったかくなるな、伝七』
『本当。早くちゃんと言葉で交わせればいいのにね佐吉』


三治郎と蛟龍は翔ける。季は人を巡らすもの。
前を向く人達の背中を押そうと甲斐甲斐しく。

『三治郎。それならあっちでみたよ』
「ほんと!?・・・本当だ!おばちゃーん!」
「三治郎くん、見つかったの・・!!おやまあ、ありがとう!」
「いえいえ、どうってことないです。ありがとね孫次朗」
『ううん、次の探しにいってくるね』


伏木蔵と兵太夫は霊具師と文車妖妃と共に探す。繰と具は人を強くするもの。
瓦礫の残骸から何か作れないかと欲深く。

「兵太夫〜これ乾かしたら燃えるかなぁ」
「うーん、多分大丈夫。そういやぁ隣のおじさんが寒そうだったんだよね」
「床に直接でしょ?寒いよ」
『すのこか、なにか。下に敷く物があればいいんだけどね』
「あ、それいいかもー」
「うん。作り方分かる?平太」
「大丈夫。材料探さなきゃね」


庄左ヱ門と団蔵は支持する。見は人を進ませるもの。
目に見えぬ者たちが少しでも役に立てれば良いと考えて。

「みんなはこっち、で君たちはこっちだ」
「みんなぁー、やりすぎんなよー!」
「えぇと、三郎先輩達ががそろそろ戻ってくるから・・・」
「庄ちゃん、甲斐の方の様子が気になるって」


四郎兵衛は大蛞蝓と鎌鼬と共に祈る。幸は人に宿るもの。
人々が手を取り合う姿を見ながら、慈しむ。

『はにゃ・・・どうしよう先輩・・・』
『シロ先輩!また一つ問題が!』
『ケセラ・セラ。大丈夫だよ、慌てないで』
『でもでもー!ねえ?金吾?』
『そうだよね?慌てないなんて無理だよね』
『手を取り合って助け合う人は強いの。だから僕らも助けるの。綺麗で美しいから』
『・・・はにゃ。そうかも・・・でも、それでもっ!』
『うん、だから行こう喜三太!僕らも行こう!』
『もちろん。皆で助けにいくよ。助けに行けない子たちの心も持って、ね』


「あれ?僕・・・どうして?」
少年はソファの上で目を開けた。
自分の手を引いた彼もいない。
不思議な体験をしたような気がする。

「えっと、すいません・・・なんかお手伝いできませんか?」

少年もまた駆け出した。



早く、みんなが笑顔で家に戻れる日が来ますように。



2011.3.11.


あきゅろす。
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