Un compagno di classe



入学式が終わり、生徒が教室でざわめき教師が職員室で打ち合わせをするという空白の時間帯にツナヨシは教室に戻った。
一人で戻って来たからか、視線が纏わり付く。
それらを鈍いから気付かないということでさらりと流し、最初に座っていた席ではなく、出席番号で決められたのだろう、丁度教室の真ん中と言える場所にある席に着く。
男女別ということで隣は女の子なのだが、そちらからもあからさまに、珍しく心配げな視線を感じた。
それも無視して机にでも顔を伏せようとしたその時。

「えっと……沢田君、だったよね?さっきの、大丈夫だった?」

タイミングがいいのか悪いのか、臆する事なく尋ねてきた彼女に仕方なく顔を向ける。
勿論表面上では如何にも女の子と話したことなんて殆どありませんと言わんばかりの焦った表情を浮かべて。

「う、うん、ちょっと頭打って意識が飛んじゃっただけだから……」

どもりながらも何とか言うと、彼女は安心したというようにふわりと微笑し、言った。

「そっか、良かったね!…………」

声を出さずに続けられた言葉。
パクパクと動いた口が伝えようとした言葉にツナヨシは一瞬目を見開き、綱吉本来の笑みを浮かべた。
温度を感じさせない、絶対零度の笑み。
その笑みを前にしても、彼女は萎縮した様子は無い――どころかふんわりと浮かべた微笑を崩す事すらしない。
綱吉が読み取ったものが正しければ、彼女は先ほどこう続けたのだ。

『恭ちゃんと戦って無傷なんて、相当強いんだね』

超直感が告げる。
彼女は正しく自分の同類なのだ、と。

『気付いたの?それとも訊いた?』

口パクで言ってきたのなら彼女自身も読唇術が使えるのだろうと、同じように口パクで言う。
クラスメートの誰かに読み取られるかもしれないという考えが綱吉の脳裏に僅かに浮かんだが、そんな視線があればすぐ気付くという結論に至っていた。

『恭ちゃんからメールが来たの。勝敗までは聞かなかったけれど、無傷って事は沢田君の圧勝?』

『一瞬で落とすことを圧勝って言うならそうかな。それよりまさかあんな性格でもメールする相手がいるなんて思わなかったよ……ちゃんと口止めしとくべきだったかなぁ……』

『大丈夫だよ、伝わるとしても私とお兄ちゃんくらいだもの』

無言の談笑の中にクスクスという笑い声が混ざる。
綱吉も同じようにクツクツと笑い声を漏らす。
そしてまた声に出ない会話を始めた。

『お兄ちゃん、ね……そう言えば名前は?』

『あぁ、ごめん、言ってなかったね。私は笹川京子。それより今度私とも手合わせしてくれないか?恭ちゃんよりは続くと思うよ?』

『俺は沢田綱吉。じゃあ、今度時間があるときにでも屋上辺りで。隣同士これから宜しくね?』

京子の普段通りと言わんばかりの綺麗な微笑みに、綱吉もまた普段の、口の端だけを上げる何処か歪な笑みを返したのだった。







わざわざ口止めしなきゃいけないなんて面倒臭い。取り敢えずお仕置き代わりに一回痛め付けとくか。
京子ちゃんは擦れています。綱吉君と同類です。と言うか笹川と沢田なら席が隣になっても不自然じゃないよね?因みに笹川兄妹と雲雀はよくある幼なじみ設定で。雲雀君は京子ちゃんが強いのを知りません。ただ事あるごとに何故か京子ちゃんにメールする雲雀君。『今日は草食動物を十匹咬み殺したよ』って感じで。


あきゅろす。
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