Ingresso a scuola



微妙に乱れた列で講堂に辿り着くと、直ぐに入場行進が始まる。
子供の姿を写そうとする保護者のものか、フラッシュとカメラのシャッター音が届く。
小さなざわめきは止むこと無く、それもいつもの事なのか、教師は静観を決め込んでいるらしい。
そんな中、ツナヨシも講堂に入る。


緊張しているのか、ギクシャクとした歩き方。
おかしな歩き方と長いズボンの裾。
この二つが合わさればどうなるかなど明白で。

丁度講堂にいるほぼ全員の目が最も集まりやすい場所、つまり講堂のど真ん中。
そこで、ツナヨシは己のズボンの裾を踏み、派手な音を立てて頭からこけた。
行進の列も、半強制の拍手すら止み、ほぼ全員の目がツナヨシに集まる。
入場行進の為の音楽だけが間抜けに鳴り響く。




ツナヨシは――起きない。




暫く経ち、流石に打ち所でも悪かったのかとざわめき始め、担任と保健医が駆け寄る。
意識が無いのか、保健医に抱きかかえられる。
軽々と抱えられた四肢には力が入る事は無く。



そうして、ツナヨシは講堂を出て行った。

ツナヨシが消えた講堂では、入場行進が再開された。
小さなざわめきを残して――。






失神するフリなんて簡単過ぎる。でもそんなにあっさり騙されちゃう保健医ってどうなんだろう?
因みにこの時の保健医は如何にも理系な細身で眼鏡の32歳男性教諭(創作)です。そこまで体力無いように見える保健医に軽々と抱えられて実は結構ショックを受けた綱吉君12歳。


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