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その後リン達は、アペンドの余韻に浸ってお互いに何曲も歌ったりした。

アペンド衣装に、ルカちゃんが選んでくれたチョーカーをつける。

レンは胸元が空いた服だから、そのチョーカーがとても映える。

リンも首もとのワンポイントになって、まるで元々組み込まれた衣装みたいだねって笑った。

気付けば1時間くらい経っていて、そこでリンは重要な事に気付く。


「あっ!!メイちゃんのバナナミカンケーキまだ食べてない!!」


ハッとした様に声を上げると、みんなの目が丸くなる。
と、同時に笑いが起こった。


「リン、お前は本当に食いしん坊だな!」


レンまで笑うから、なによーって声を上げれば、ポンッて頭を撫でられる。


「行くぞリン。」


クリスマスの時と一緒。

ちょっとした不満だって、そうやってレンが言ってくれたら、リンは一瞬で機嫌が戻っちゃう。

ねっ、今だってほらすぐに笑顔に戻って、大きく頷いちゃうんだ。




「うひゃぁ!!お腹いっぱーい!!」


リンはレンの部屋に入るなり、腕を伸ばして満足な声を上げる。


「あれだけ食べれば満足だろうよ。」


レンはその後から部屋に入って来て、呆れたみたいにため息を吐く。

確かに誕生日のケーキは、みんなが半分リンにくれる。

レンにも上げるというけど、レンはオレはこれで手一杯と言うので、リンが食べちゃう。


「だって本当に美味しいんだもん!!」

「まぁ、確かに旨かったよな。」


そう言いながら、レンはソファに座った。

いつものセーラー服を着るレンを見て、しっくり来るなーって思う。

調整ルームから出る時に、着替えたのだ。

ちょっと寂しかったけど、あの服は普段着には向かないよね。

だからあれは本番用にとっておくの。

ミクちゃんもそうしてるしね!!


「ところで…
やっぱり今年もやるんだよな?」


レンがベッドに座るリンを見ながら、眉を寄せて言う。

やる気の無いその発言に、リンは渇を入れるように人差し指を突き付ける。


「もちろん!!やるよ!!
まさか、レン用意してないの!?」


眉を寄せたリンを見て、ひとつため息を漏らしながら目を背ける。


「いや…用意してるけど。」

「なんだー良かった!!」


胸を撫で下ろしたリンをみて、往生際が悪くレンはまだブツブツ言ってる。

けど、そんなレンは放っておいて、リンはわざとらしく咳払いをすると立ち上がる。


「では、これより!!第3回リンレン、ソングプレゼント大会を始めます!!」


パフパフと口で言えば、レンもわざとらしく小さく拍手をする。

その名の通り、歌のプレゼントをし合う大会。

いつもPがくれた歌を唄うリン達だけど、この日だけはお互いの為に、自分で歌を作って歌いあう。

誕生日の夜のお決まりの行事。

やっぱりVOCALOIDには、歌のプレゼントが一番らしいでしょ?


「じゃあまずはリンからね!!」


意気揚々と言うと、リンはベッドの上に立つと、インカムをセットする。

ちょっとだけ緊張するけど、今日はなんてたって『声』が進化したんだもん!!

いつも以上に上手く歌えるはず。

リンはレンを見下げると、笑いながら息を吸い込み、口を開く。


―――♪

大人ぶって カッコつけで
生意気で 可愛くなくて
愛想なしなんて言われる君

君への不満なんて
数え切れないくらいあるけど

そんな君の素敵な所なら
もっともっといっぱいあるよ

ぶっきらぼうな優しさも
片眉上げて笑う顔も
握り返してくれる手も

一瞬にして私の笑顔を
取り戻してくれる所も

ねぇ結局は君の全部が
すっごく大好きなんだよ!!

HAPPY BIRTHDAY!!

―――…♪





オレは、その何とも素直なリンらしい歌を聞いて、頬が熱くなった。

いつも以上に優しくて、温かくて、可愛らしくて、とても力強くて…


只でさえ開けっ広げな感情が、いつも以上に肌で感じて気恥ずかしくなる。

だけど、とても嬉しかった。

オレの何気無い行動を、リンが好きだと言ってくれる。

ほんの少しでも、オレがリンに上げてるモノもあるんだと…

何だかオレには、勿体無い言葉の数々が胸に滲みた。


「えへへー!!おめでとう、レン!!」


歌い終わったリンも少し恥ずかしそうに、だけど満足した様子でベッドから降りる。


「たくっ…聞いてて恥ずかしいわ…」


思わずいつも通りの悪態を吐くが、リンはそれでも嬉しそうに笑う。

オレは言葉で伝える術を持たないから、どうしてもこうなる。

だからせめて…今日くらいは頑張ろう。

決意を固めると、リンの頭をポンッと叩きながら立ち上がる。


「ちゃんと聞いてろよな。」


眉を寄せてそう言えば、リンは期待に溢れた目をオレに向ける。

何だか今日は少しだけ、素直な歌を唄いたくなった。

それはリンの歌を聞いたからか、それともアペンドがパワーをくれたのか…

たぶん両方だ。

オレは息を吸い込むと、声を上げた。



―――♪

ちっぽけな僕は
素直な言葉を持たないから

だからどうか この歌が
君に届けばいい

無邪気で無鉄砲で向こう見ずで
周りを騒がすのが得意な君

だけどどんな感情も
カラフルに君は表現する

笑って泣いて
怒って笑って

僕が出来ない感情を
色付かせて君が代弁してくれる

そんなモノを いつも君に
もらってばかりな僕は
何も返せないけど…

だからせめて伝えよう

いつも…ありがとう


―――…♪


「そんな君が…好きだよ。」


オレの中にある、ほんの少しの素直さが詰まった歌。

歌い終わると、やっぱり恥ずかしくてリンの顔がまともに見れない。

何をオレは口走ったんだという気さえしてきた。

笑われる気がしてならない。

のに、むしろ何の反応も返ってこない。

オレが顔を下げて、リンを見ようとした時。

オレの胸に思いっきりリンが飛び込んで来て、頭を壁に打った上に、ベッドに尻餅をつく。


「いって…!!」


と、文句を言おうとリンを見るが、リンはオレの胸に顔を埋めて離さない。

むしろその肩は震えてる。


「あの…リンさん?」


オレがその顔を覗き込もうとすると、リンが顔をやっと上げる。

その顔を見て目を丸くする。


「レンのばかぁ!!あんな歌…ズルすぎるよぉ〜!」


眉を寄せて、涙を流しながら、上擦った声を張り上げる。


「な、なんで泣くんだよ!?」


泣かせる気など毛頭無かったので、オレは慌てながら声をかける。


「わかんない…わかんないけど…!!」


涙を流しながらも、リンは満面の笑顔を見せた。


「すっごく嬉しかったの!!
ありがとうレン!!大好き!!」


言い捨てる様に言った後、オレの背中に腕を回して抱き付いてくる。


それを聞くと、一気に頬が熱を持つ。

ズルいのはどっちだよ、チクショー。

泣きながら笑うとか、マジで反則だからな!!

もちろん言える訳もない言葉を噛み締めて。

胸にしがみつくリンの肩を、そっと両手で覆う。

抱き締めるとか出来ない辺り、まだまだだなオレは。




3度目の誕生日。

大切な君と同じ、大切な日。

最高のプレゼントを
オレ達は分かち合う。

それはそれは
最高の1日だった…。



〜fin〜


********************


*あとがき*


HAPPY BIRTHDAY
リンちゃん!!レンくん!!

生まれてきてくれてありがとう(T∀T)

てな思い入れの強さが、ここまで長くさせましたww

とりあえず絶対にAppendは入れたかった!!

裏設定また入ったよww

敢えて入れなかった裏設定がまだあります。←

あくまでも、Append開発者クリプトンさん。

マスターはそれを受けとる人。

将来を約束された、天才的な奴だと思って下さいww

そして、やはり本番はリンレンがプレゼントしあうこのページ!!

やっぱりVOCALOIDは歌って欲しいのですよ、うん。

メロディーは皆様のご想像にお任せします(・∀・)

二人のラブラブ具合に、拍車がかかった話です。

だけどたぶんこれが精一杯ww

いかがでしたかね(*^_^*)?

最後にもう一度!!

HAPPY BIRTHDAY リンレン!!


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