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「「HAPPY BIRTHDAY to RinLen!!」」


お決まりの歌が終わると、オレとリンは目を合わせる。

そして2人でケーキの上の3本の蝋燭を吹くと、シュッと火は消えた。

それと共に、盛大なクラッカー音が部屋の中に響く。


「おめでとう!!リン、レン!!」

「うわぁ!!」


すでに少しホロ酔いなメイコ姉が、オレとリンを後ろから一緒に抱き締める。


「ありがとうメイちゃん!!」


リンはその手に驚く様子もなく、嬉しそうにメイコ姉に擦りよる。


「離せよーメイコ姉!!」


逆にオレは眉を寄せて、恥ずかしくて抵抗してみせた。

つーか胸が当たるんだって!!


「たくっ、たまにはいいじゃない!!
お姉ちゃんは嬉しいのよ!!」



悪戯に言いながらも、嘘のない優しい言葉。

オレはそれに悪態を吐きながらも、本当はけっこう嬉しかったりする。

その光景を見てみんなが声を上げて笑う。

意外なのはルカ姉とカイト兄。

いつもならメイコ姉とオレがくっつくなんて、大人げなく引き離しに来るが。

どうやら今日くらいは許してくれるようだ。


「メイコさん。せっかくの料理が冷めてしまいますわ。
早く二人に食べてもらいましょ?」


ルカ姉が目を細めて笑うと、メイコ姉がそりゃそーねと言って腕を外す。

本当の狙いは、メイコ姉からオレを引き剥がすのが目的だな。

やはり今日とて許せないのか。

いや、くっついてたい訳じゃないけど。


「ほら!リンちゃん。レンくん。
いっぱい食べてね!」


ミク姉が並べられたご馳走を、小皿に分けてオレ達に手渡す。

メイコ姉とミク姉が本領発揮した料理は、いつにも増して美味しそうだ。

何てたって、オレとリンの好きな物ばかりが並んでる。


「すっごい美味しい!!
ねっ、レン!?」

「確かにな…って、食いながら喋るなよ。ゆっくり食べろ。」


ハムスターみたいに、頬張ったままオレに問うリンに、オレは呆れながら答える。


「だって早くケーキも食べたいんだもん!!」


フォークに海老フライを刺したまま、さっき蝋燭を消したケーキを見て目を輝かす。

リンとオレ専用に作られた、ミカンとバナナ入りケーキは、確かに魅力的だ。


「ダーメ。ケーキは最後よ。」

「わかってるよー!!」


メイコ姉に笑いながら叱られて、リンは少し口を尖らす。

その様子にオレは思わず、眉を寄せて笑う。


「去年も言われてたよな、それ。
リンって、本当に成長しないよな。」

「ひどーい!!そんな事ないもん!!」


リンはそんなオレの言葉を聞き、より口を尖らす。


「まぁまぁ、リンちゃん。機嫌直して!」


そんなオレ達の会話に、カイト兄が割って入る。


「プレゼントがあるんだよ!!」

「プレゼント!?」


カイト兄の言葉に、リンの表情はまたコロッと変わる。

オレはむしろそれに対し、怪訝な目を向ける。


「マフラーだったらいらないからな。」


オレが冷たく言い放てば、カイト兄は目を見開いて悲しい顔をする。

毎年メイコ姉とミク姉がご馳走を作る係りなので、カイト兄がプレゼント係になっていた。

そして2年連続、用意してきたのはマフラー。

そんなに毎年いらねーよ!!

てか、それはカイト兄が欲しいだけだろと言いたい。


「ふ、ふふ…レンくん。そう…言われると思って、今年は僕は選んでません。」


カイト兄は、実に悔しそうにブツブツと言い出す。

成る程。学習能力はあるんだな。

良かった。

いや、選ばせて貰えなかったのが事実だろーが。

じゃあ誰が?


「カイトさんのセンスじゃ、役不足も甚だしいんで。
僭越ながら、私が選んで参りましたわ。」


オレが問う間も無く、ルカ姉がシャなりと笑ってオレ達を見る。


「わぁ!!ルカちゃんが選んでくれたんだぁ!!嬉しい!!」


リンがキャッキャッと喜びの声を上げる。

って、ルカ姉が選んだとなると、それはそれでひどく不安なんですけど…。

だって、まず『可愛いは天使。男はゴミ。』と思ってるルカ姉が、オレに物をくれるとか考えられない。

くそ…オチが読めたぞ。

どうせリンにだけなんだろ!?
そうに違いない!!


「安心して下さい、レンさん。」


オレの心情を読み取ったのか、ルカ姉は優しく微笑む。


「本当ならプレゼント上げる気なんて、皆無なんですが。
皆さんの代表なので、ちゃんとレンさんのもありますよ。」


言いながら、大きさ10センチ程の正方形の箱を取り出す。


「あはは。それは良かった。」


そんな良い笑顔で言われても、まぁ嬉しくはないだろ普通。


「わぁぃ!!なんだろう!?なんだろう〜!!開けていい!?」


リンはルカ姉の問題発言を、聞いてるのか聞いてないのか。

プレゼントを貰い受けると、跳び跳ねて催促する。

あぁ、まったくリンらしい。

皆がコクりと頷いたのを見ると、リンは今度はオレの顔を見る。

爛々と光る目に、ため息を吐きながらも仕方無く近寄る。

リンはそれに促されて、パッケージを外すと、中の箱を開けた。


「わぁ!!」


リンはそれを見て声を上げ、オレは目を見開いた。

そこに入っていたのは、金属製の立体型のチョーカー。

黒に緑のラインが入り、リンのにはト音記号、オレのにはヘ音記号の、トップがついている。


「うわぁ!!カッコいい!!」


リンは目を輝かせて、箱からそれを取り出す。

オレはそれを見ると首を傾げて、ルカ姉を見上げる。


「チョーカーって女物じゃないの?」


セーラー服にこれは合わないから、リンにだって違和感だろ?

何故あえてこれを選んだのか、不思議な気分にさせられた。


「ふふ…でも、実はこれ…」


ルカ姉が微笑みながら、続けようとした言葉を玄関を勢いよく開ける音が遮断した。


「間に合ったぁ!!」


ドタドタと廊下を走り、リビングに入って来たのはマスターだった。

驚くオレ達の手の中の物を見ると、マスターはホッとした様に胸を撫で下ろす。


「あぁ!!ちょうど渡したトコか!!」


ハァハァ息を切らしてる所を見ると、バイト先から走って帰って来た所の様だ。


「マスター。もう少しで言っちゃう所だったよ。」


ミク姉がクスリと笑って言うと、マスターは首を横に振る。


「ダメだよミク!!
せっかく今日まで内緒にしてきたんだから!!」


マスターの慌てぶりに、みんなが笑い合う。

オレとリンだけは、キョトンとした顔で首を傾げた。

そんなオレ達に目を向けると、マスターは満面の笑顔を見せる。


「よし!!リン。レン。
調整ルームに行くぞ!!」


いきなり言われた言葉に、よく解らないがとりあえずついていく事にした。




>>>NEXT→present2.MASTER


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