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「ねぇレン…そろそろ休まない?」


私はコタツの向かい側に座る、レンの顔を覗き込む。


「さっき休んだばかりだろ…リン真面目にやれよ。」


眼鏡の下から覗く目は参考書から離さず、それに答える。

勉強の時だけ掛ける眼鏡が、インテリっぽくてムカつく。



中学3年の冬休み。

只今、絶好調に受験勉強中。

ちょっと前まで世がクリスマスだったけど、今年は関係無いとレンに言われた。

レンは厳しい。

せっかく二人きりなのに…とか思う自分が、なんか馬鹿らしくなって来た。



私とレンは双子の姉弟。

だけど中学2年の夏に、どうしても止められない想いで…

私達は一線を越えた。

許されないと解ってる。

後ろめたさはあるけど、前に比べたら気持ちは楽になった。

あの夜に、私達は迷わないと誓い合ったから。

だから今もこうして、私達は一緒にいる。

相変わらずの、実家と寮の中距離恋愛。

実はレンが厳しく勉強をさせるのは、その為。


「地元離れた高校に通いたいんだろ。がんばれよ。」

「うぅ…がんばるもん…」


そう、こんなに頑張ってるのも、全てはレンとの距離を縮める為。

家からレンの寮に通うには、ちょっと遠すぎる。

週に1回とかしか会えない。

でも高校が近くなれば、ちょっとでもレンと会う時間が出来る。

本当は私が一人暮らし出来たらいいんだけど、ママ達が許してくれないから。

レンの行く高校に行くのも怪しまれるし、レンが付属の高校に行かない理由も見つからない。

だからこれが私達に出来る、最善の方法。

解ってる。だから頑張らなきゃ!!




それからどのくらい時間が経ったのか…。


「あぁ〜…もうダメ…頭がグルグルするぅ。」


時計の針を見れば23時。
今日が終わりに近付く。


「そうだな。よく頑張ったし、ここまでにするか。」


レンがそう言いながら眼鏡を外した。

私はやっと参考書から解放される喜びを、声を上げる気にもなれず、そのままベッドに寄り掛かる。


「リン、オレンジジュース飲むよな?」

「飲みまーす!!」


天井を見上げた形で、手だけ上げて答える。

レンはあんまり優しくないから、こういうちょっとだけの優しさが嬉しい。

パタンと冷蔵庫を閉める音がして、レンの足音が近付く。


「ほら、リン。」

「わぁーい、ありがとう!!」


重い頭を上げて、テーブルに向けた目があるものを捕らえた。


「えっ…えっ!?」


思っても見なかった物の出番に、私はあまりに驚いて上手く反応が出来ない。

それは小さなホールの、生クリームと苺のケーキ。

それには大きな蝋燭が一本と、小さな蝋燭が5本刺さっていた。


「HAPPY BIRTHDAYリン。」


レンがニッと笑いながらそれを口にして、余計に私は目をパチクリさせた。


「だ、だって誕生日は無しって…!!」

「そう言わなきゃリン、頑張れないだろー。」


うっ。それを言われると胸が痛い。

さすが15年、生まれた時から一緒にいて、私のことはよく解ってるよね。

レンが一つ一つに火を着けて、電気を消す。

蝋燭の灯りだけの部屋は、何だかとてもロマンチック。

レンが今度は隣に座る。

驚きを通り越したら、嬉しさが込み上げて来た。

大好きな人と一緒の、愛しい誕生日。

双子に生まれた事を、後悔した日もあったけど、やっぱり一緒に祝えるのは嬉しいよ!!


「一緒に消そう!!」

「おう。」


私が笑顔でそう言えば、レンは優しく笑って頷いた。

せーので一緒に息を吹き掛けると、15を現す炎は消える。

一気に暗くなった部屋で、レンに向けて笑い掛ける。


「ありがとうレン!!
HAPPY BIRTHDAY!!」


暗闇でもレンが少し照れたみたいに、片眉上げて笑うのが解る。

嬉しくて、愛しくて、私はそのままレンの腕にしがみつく。


「リン。」


呼ばれて顔を上げると、レンの優しい唇が額に触れた。

頬が少し熱くなって、目線を上げるとやっぱりレンは目を細めて切なく笑っていた。

いつもこんな風に愛を確かめあう度に、どこかで恐がる私達。

だけど、きっと何度迷っても…ここに辿り着く。

答えを探したって、見つからないと解ってる。

だけどね。今はまだこのままでいたいの。


「レン、好きだよ。」


少しだけ目頭が熱い瞳を閉じる。

レンはそれに答える様に、私の唇にそっと触れる。

重ねた唇から気持ちが伝わる。

大好きだって、伝わってくる。



今はまだこのケーキみたいな、甘くて幸せな時間に酔いしれていたいの。

レン…あなたがくれた優しい約束。

それを夢見て、あなたの温もりに抱かれて…

あなたが私の為に、決断したこの時間を。

大丈夫と囁いた、あの日のあなたが本当は泣きだしそうだったと知ってるから…。

キスをして、抱き締めて、側にいて。

離れないように。

誰よりも大切なあなたが
笑ってくれる今を…―――



〜fin〜


**********************


*あとがき*


久し振りに『Twins Butterfly』の二人を描きました!!

ただ甘くて幸せな二人が、書きたかったんです。

よー始めは…orz

だけどどうしても、どっか切なくなるね(/_;)

仕方ないですよね〜…『Twins…』だから←

甘いキスシーンが書きたかっただけなのに、くそうww

仕方ないですよ(ry

まぁ、こんな誕生日もありですよね(^▽^)ノ

でも再び二人が書けて嬉しかったです(*^_^*)

レンの眼鏡は私の趣味です(`・ω・´)ゞキリッ←

HAPPY BIRTHDAY リンレン!!


あきゅろす。
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