「はぁ…」
パーティー会場に戻る気になれずに、オレは中庭の石段に座り込む。
ちなみにこの中庭の通路を通じて、亜種の住む別棟に続いている。
まぁ、どうでもいいか。
何故だか異常に疲れた。
誰もいないってのに、中庭の木々はイルミネーションが光り輝く。
赤や緑や青の電球で、装飾された中庭は明るい。
リンが一緒にいたらキレイとか、歓声を上げるんだろうに。
「うわぁ〜キレイ!!」
思ったままの言葉が後ろから聞こえて、オレは目を見開くと思わず振り返る。
「リン!?」
「レンはっけーん!!」
そこには両手に皿を持って嬉しそうに笑う、リンが立っていた。
「どうしたんだよ!?」
まさかリンが現れると思ってなかったので、少し焦りながらオレは声を上げた。
「えーだって、レン戻って来ないんだもん!!」
リンは首を傾げながら、オレに近寄ると片方の皿をオレに渡す。
「せっかくのご馳走が冷めちゃうよ!!」
山盛りに盛られた皿は、センスは感じられないが、オレの好きな物ばかりが盛られていた。
「あ、ありがとう。」
オレがそれを受けとると、リンはニッと歯を見せて笑う。
「ここで食べるのも美味しいね!!」
リンは、オレを何だかんだで見てる様で。
こうやってすぐに見つけ出しては、オレの気持ちを和らげる。
まぁ、無意識なんだろうけど。
「別にあっちにいても、いいんだぞ?」
リンが気を使ってる訳じゃないのは知ってるが、自分の心の狭さを思い知らされる。
だからつい思ってもない事を言ってしまう。
どうも素直という言葉は、オレには一番不釣り合いだ。
「なんでー?リンはレンがいなきゃ寂しいもん!」
恥ずかしげもなく笑って、リンは持ってきたオムレツを頬張る。
それを言ってほしくて、オレは聞いてみてるのかもしれない。
リンの笑顔は闇に輝くイルミネーションみたく、一瞬にしてその場の空気を明るくする。
そう言うんだろうという、予想を裏切らないリンの素直さに、顔が緩む。
本当にコイツには敵わない。
「そんな事言って、ケーキ食べ損ねても知らないからな。」
意地悪く言ってみれば、目を丸くして立ち上がる。
「それは困るー!!」
本当に思っている通りの行動をしてくれる。
「どうせ明明後日になれば、食べれるだろー?」
「それとこれは別なのー!!
クリスマスケーキとバースデーケーキは別!!」
ふんぞり返って偉そうに言ってみせるので、ついつい声を上げて笑う。
「あはは!!本当にリンって食いしん坊だよな!!」
「ひどーい!!」
そう言えば、頬を膨らませて剥れて見せた。
本当にコロコロ変わる表情が面白い。
お陰さまで、気分がとてもよくなった。
「あー笑ったら、オレもケーキ食べたくなってきた。」
立ち上がりながら、リンの頭を軽く小突く。
「戻ろうか?」
オレが片眉上げて合図をすれば、リンは嬉しそうに笑いながら大きく頷いた。
いつもこうやってリンのペースに持ってかれる。
リンはこんな風に、オレの心を和らげるのが本当に得意だ。
優しい気持ちや、温かい気持ちを…オレはいつももらってばかりいるな。
リンの素直さが、少しはオレに移ればいいのに。
そしたら、オレもリンに何か上げる事が出来るだろうか?
何て柄にもない事を考える。
まぁ…聖夜にくらいいいよな。
〜fin〜
******************
*あとがき*
○はい!!2発目のクリスマスですヾ(^▽^)ノ
わいのわいのと、ボカロ達に騒いで頂きました!!
って、長いわΣ(゚□゚;)
前半マスターの出張ること、出張ることwwww
お前ら自重しろ!!いや、私かww
ずっと裏設定に考えてたマスター達の名前と、性格設定を出してみたかったんです。
自己満さーせんorz
でもボカロいっぱい書けて楽しかったです!!
もちろん最後はリンレンに持ってってもらいました(*^_^*)
ほんのーり、誕生日に続くフラグも残しつつ…
ではまたバースデーのお話で!!
そして皆様の素敵なクリスマスの一時に、お邪魔致しました(^^)v
メリークリスマス★
up 2010.12.23
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