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「じ、じゃあ、普通に起こしてくれればいいじゃんかよ!」
「はっはっは、彼方さん、奥さんの愛情は素直に受け取っておくものだぞ」

俺としぐれの横には芽依子の姿もあった、どうやら助かったようだ。

「め、芽依子!」
「彼方さん、顔は嘘つけないぞ」
「え」
「顔がかなり赤い」
「う、うるさい!」

そんなこんなやり取りをしているうちに少しずつ空が明るくなり始めた。

「なあしぐれ、野盗は…」
「彼らは眠りに就きました、もう目覚めることはありません」
「あと…」
俺は森がなくなっていることに気付いた。
「森ですか?元々、森なんてなかったんです、森も洞窟もあの城のような廃墟も野盗の怨霊が生み出したもの、彼らの記憶と理想と怨みがそのまま形となって現れたのでしょう」
「そ、そうだったんだ」

そう聞いてやっと安堵出来た。
一時は生還を諦めたこともあった。

「おーい、みんなー」
「あれは」
「朝倉さん達だな」

朝倉さんに白河さん、澄乃だ!

「ああ、良かったぁ〜、朝倉さん達が無事で…」

あまりの安堵に涙が溢れた。

「おいおい彼方さん、奥さんの膝の上で泣くなんて、お子様だなぁ」
「うぐ、うるさい!」
「出雲さん達が無事で良かったよ、しぐれさんが駆けて行った後、ことりが目を覚ましてさ、事情説明したらもうわんわん泣き出して」
「えぅ、だから私ね、泣かないでって、あんまんをあげたの」
「皆さん、ごめんなさい!私のせいで!」

白河さんが深々と頭を下げる。

「白河さん、顔を上げてくれ、しぐれさんも彼方さんも私も澄乃も、誰も白河さんを責めたりなんかしていないよ」
「ああ、俺は子猫を助けようとした白河さんの選択は正しかったと思う」
「えぅ、しりとり楽しかった」
「白河さんの優しい気持ちは大切です」
「ことり、もう顔上げろよ、みんな良い人達だよ」
「うぅ、皆さん、本当にごめんなさい」
「ことり、お前泣きながら澄乃さんのあんまん、5個も食ってたな…」
「あ、朝倉くん!」


白河さん、なんか少し澄乃に似てるかもな。
そんな時、あることに気付いた。
「そう言えばしぐれ、餓鬼はどうした?」
「餓鬼?」
「ガキ?」
「子供(ガキ)?」
「彼方さん、そのような物はあの森にはいなかった筈」
「いや、いたんだよ、それが」
そんなことを話しているときだった。

「キィィィィィィ」
「はっ!!!!」

俺たちの目の前にあの餓鬼が現れた!

「うわぁぁぁ、出たぁぁぁ」
「なんだこいつ、ことり逃げろ!」
「待ってください」

しぐれが皆を静止する。

「この者からは霊気が感じられません、何も感じられません」
「え、でも俺を襲おうと…」

しかし、よく見ると、餓鬼はそのまま動かなかった。
しかも頭から煙が…。

6人「けっ、煙ぃ!?」
???「ちっ、オーバーヒートか」
彼方「だ、誰だ!?」
???「とぉう!」

謎の男が木陰から飛び出してきた。

???「ふははは、呼ばれて参上!」
澄乃「えぅ?」
芽依子「誰だ?」
しぐれ・彼方「さあ」
朝倉「す、杉並!」
ことり「杉並くん!」
芽依子「東京都杉並区?」
杉並「ふん、お前らつまらんぞ!せっかく餓鬼ロボをこさえてこんな雪国に来てみれば、なんだこの体たらくは!?」
朝倉「杉並、お前…なんでここに?」
杉並「ふん、お前と白河嬢のラブラブ旅行の計画ぐらい旅行の1ヵ月前からわかっておったわ!」
朝倉「じゃなくて!なんでこんなことするんだよ!」
杉並「決まっておろう、お前が餓鬼から白河嬢を助けて、白河嬢の好感度を上げる為よ!」
朝倉「餓鬼ロボはどうしたんだ?」
杉並「天枷研究所の失敗作を譲り受け、改造して餓鬼を作り上げたのだ、まあやはり失敗作だ、すぐダメになった」
朝倉「…」
杉並「それよりも何だあの薄汚い野蛮な奴らは!?餓鬼の出番なんかないではないか!」
朝倉「俺達はそいつらに殺されかけたんだよ!」
杉並「ふん、お前の好感度を上げようと協力したのに、餓鬼に出会ったのはそこの若造、しかもお前と白河嬢ときたら、一目散に逃げ出してるではないか!普通ならお前があの野蛮人を蹴散らすのだぞ!」
朝倉「出来たらやってるよ、あと出雲さんはお前より年上だ」
杉並「そんなことはどうでもよい!お前は白河嬢の彼氏失格だ!」
朝倉「勝手に言ってろ…」
彼方・しぐれ・芽依子・澄乃「あの〜、お取り込み中の所、申し訳ありませんが…」

こうして俺達の長い長い幽霊退治は幕を閉じた。
旅館に帰ってから、俺はつぐみさんに、澄乃は小夜里さんに、白河さんと朝倉さんは暦さんにそれぞれこっぴどく叱られた。
翌日、悪ガキから子猫も解放された。
つぐみさんは疲れを癒しなさいと、朝倉さん達を更に数日間無料宿泊させた。

そして朝倉さん達の旅行も終わりを迎えた。

「お世話になりました〜」

朝倉さん達3人は深々とお辞儀をした。

「ことりがご迷惑をお掛けしました」

暦さんが深々と頭を下げる。

「いいんですよ、俺も楽しかったし」
「えぅ〜〜、ことりさん行っちゃうの?」
「澄乃仕方ないだろ、朝倉さん達はお客様なんだから」
「澄乃さん、また遊びに来るからね☆」
「えぅ、帰ったら電話ちょうだいね〜」
「うん」

どうやら電話番号を交換したらしい。

「朝倉さんも白河さんと仲良くな!」
「出雲さんもしぐれさんと仲良く」
「大丈夫だ朝倉さん、この男としぐれさんは普段からラブラブだ!数百年の時を超えてな」
「芽依子!」
「はぁ」
「ことり、朝倉、そろそろ行くぞ!」
「ああ、わかった!」
「じゃあ、皆さんお元気で、また遊びに来ますね、朝倉くんと」
「待ってるよ、なあしぐれ」
「はい☆」

朝倉さん達は帰っていった、やがて姿も見えなくなった。

「はあ、またいつもの日常か」
「仕方ありませんよ、私たちは旅館の従業員なのですから」
「次はどんなお客が来るんだろ」
「澄乃、良い友達が出来たな」
「えぅ!」

俺達はまた普段の生活に戻り、普段の仕事をこなした。
朝倉視点


「楽しかったね、朝倉くん」
「そうだな、大変だったけど」
「朝倉、ことり、お前達、まさかやましいことはしてないだろうなあ?」
「とんでもないです!」
「ならいいが。しかし、雪月さんは酒強いな、次に来る時まで私も強くならんとな!」
「また飲むんですか?」
「お姉ちゃん…」
「先生、杉並は?」
「宅急便で送ったよ、まあダンボールもデカいし餌も入ってる」
「杉並くん、人の扱いじゃないね」
「しかし、かったるい旅行だったなぁ、たのしかったけど」
「朝倉くん、次は音夢さんや眞子さん達も連れてこようよ!」
「そうだな!」


楽しい旅行だった、また来たくなる旅館、また会いたくなる人、龍神村も龍神天守閣も暖かい場所だ。

風見学園卒業したら、龍神村に移ろうかな!


〜〜END〜〜



管理人・時雨です。長くてセンスない小説を読んでいただきありがとうございます。しぐれが龍神になったり、しぐれルートにも関わらず芽依子が鳳仙だったりめちゃくちゃな小説ですが、そこは気にしないで(笑)
もしつまらない上に長すぎって人いたら、ごめんなさいです。ちなみに龍神天守閣の1日、これシリーズ化することにしました☆宜しくお願いしますm(_ _)m


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