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俺はティーダ、ザナルカンド・エイブスの元エースで今はビサイド・オーラカのエース。

今日はルカでブリッツボールの大会があった。

俺が所属するオーラカは決勝でルカ・ゴワーズを10ー0の大差で破り見事優勝を果たした。

ちなみに9点は俺のシュート、あと1点はパインが決めてくれた。メンバーにはユウナやリュック、パインもいる。

試合の後は表彰式、俺はMVPにも選ばれた。

それらが済んだ後はビサイドの自宅に帰り、みんなで旨い物を食って飲んで祝った。

そしてフカフカのベッドでぐっすり休んだ。これが新たな物語の始まりだった。

「フォォォォ!!!!ピーピー!!!!」

ルカスタジアムで聞いたような歓声が響いた。体を起こし、歓声の方を見るとボールの形をした物体がある。それから歓声は聞こえた。
どうやら目覚まし時計のようだ。
ブリッツボールのような形をしたそれを止める。

俺は違和感に気づいた。
「ここ…、何処だよ…」
ベッドから降り、辺りを見回した。
ビサイドの自室ではなかった。

テーブルには食べかけの菓子、床には紙屑やCD、アレな本が散乱していた。

部屋主の性格がそのまま出ている。

「汚いッスね、散らかし放題、主の顔が見てみたいな」

そんな時だった。

トントン

ドアをノックする音が聞こえた。部屋主だろうか。

「はーい」

つい返事をしてしまった。

ガチャ

ドアが開くと、入ってきたのは10代くらいの若い女性だった。
「おはよー兄さ…えっ」
「兄さん?オレがッスか?!」 兄さんと呼んだ少女は首に鈴を付け、胸にリボンの付いた白い変わった服を着ていた。ユウナと同い年ぐらいだろうか?
「な、誰ですか、あなたは!?」
「ザナルカンドエイブス、じゃなくてビサイドオーラカのエース、ティーダ、ヨロシクッス!」
「な、何を言ってるんですか!そもそも何故兄さんの部屋に!」

怒り心頭の彼女に引っ張られ、俺は食卓で話することにした。
「つまり、あなたは自分の部屋で休んで、起きたら兄さんの部屋だったと」
「そう」
「で、兄さんはどこに?」
「部屋には俺しかいなかった」
「ああ、最近変わったことばかり起きて困ります」
「ははっお互い様ッスね(笑)」
「笑い事じゃありません!」
「あ、名前はなんて呼べばいい?俺はさっきのとーりティーダで」
「私は朝倉音夢です」
「アサクラネム、変わった名前だな、んじゃヨロシクアサクラネム」
「私のことは朝倉さんと呼んでくださいね、間違っても音夢なんて呼ばないように」
「んじゃヨロシクアサクラさん」
「まあ、あなたは悪い人じゃないみたいだし、帰れるまでうちに居候しててください」
「悪いッスね、それより腹減った…」
「仕方ないですね、じゃあ朝食の準備しますから待っててくださいね」
そう言いながらアサクラネムは台所へ向かった。

20分程

目の前には見たことも食べたこともない料理が並んでいた。
「これ何スか?」
聞きながら黄色いフワフワしたものを指差す。
「卵焼きです、食べたことないんですか?」
「これ」
「ご飯です、お米」
「これ」
「味噌汁」
「これ」
「エビフライ」

聞いたことない名前の食べ物ばかりだ、見てるだけでよだれが出る。

「いただきます」とも言わず未知の料理に食らいついた。

「んぐんぐ、はむっ…………、、!!!!☆★」
食べた瞬間、目の前が真っ白な霧に包まれた。不思議な感じだ。

「サイトちょーだーい」
「へっ」
気が付くと、俺はブリッツボールとサインペンを持った子供達に囲まれていた。
どこか懐かしい雰囲気だ。
周囲を見回すとネオンに包まれていた。
間違いない、ここは眠らない街、ザナルカンドだ。
戻ってきたのだ。
「俺、戻ってきちゃった」
「ね〜、サイトちょーだーい」
「お、おう」
子供達を一列に並ばせ丁寧にサインを配った。
サインをし終えた後、ブリッツのスタジアムへ向かった。

そして試合、ザナルカンドエイブスで試合するのは本当に久しぶりだ!

しかし…


試合の最中、シンがの襲撃に遭った。
俺は逃げ惑う。
武器も魔法もなければ無力だ。
しかし、そんな俺の体をシンの放った光線が貫いた。
目の前が真っ白になった。

俺、死んじまったのかな…

せっかくザナルカンドに戻ってきたのに…

体が揺れる。
誰かが揺さぶっているような感覚だ。
「……さん」
誰かが呼んでる、誰だ。
「テ……さん」
誰だ?
「ティーダさんてば!」
「えっ?」

うっすら目を開けると少女の姿が。
「ここは…どこスか?」
「どこって、私の家じゃないですか!」
俺は我に返った、ここはアサクラネムの家、アサクラネムが作った珍しい飯を食ったらザナルカンドに飛ばされたんだった。
「ザナルカンド…」
「はぁ、まだ目が覚めてないみたいですね」
「そうだ、あの変わった飯を食べたら意識がなくなったんだ、それとも、まだシンの毒気…?」
「はぁ…やっぱり、まだ私の料理は上達してなかったんですね」
「そんなことないって、あの珍しい飯を食べたら故郷に一瞬だけど帰れたんだ、最初は苦しいけど。アンタ天才だよ!」

ゴゴゴゴゴゴゴ!

「えっ、俺何か、悪いこと言ったスか?」
「てぃぃぃぃださぁぁぁん」
少女の手には分厚い本が握られていた。
「ちょっと、暴力反対ッス」
「覚悟ーー!」
「ぎゃあああああ」
脳天に思いっきり本を振り落とされた俺はまたそのまま深い眠りに就いた。
追伸、ザナルカンドには戻れなかった。




誤字

×サイト

○サイン


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