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突然だったのです。突然に数年ぶりに"ピアノ"を愛しく感じたのです。ガチャガチャと弾いてみたくなったのです。吸い込まれるように"ピアノ"に近づいていくと、埃のかぶった鍵盤板が視界に入りました。私は、それを見て見ぬふりします。1秒でも早く鍵盤と再会したかったのです。鍵盤板を開きます。

「あぁ変わらない。何も変わらないままだわ!」

実の話、私にとって"ピアノ"はコンプレックスでしかありませんでした。しかし、本気で嫌いだったわけではありません。私にとって"ピアノ"は"美しいもの"であり、"弾く"ではなく"聴く"という言葉の方が正しい気がしていたのです。椅子に腰掛けてみると懐かしい感覚を覚えました。

「あぁ、懐かしい。私はいつだか狂ったようにここに座っていたときがあったわ。」

両手を鍵盤の上に構えます。エリーゼの序盤へのポーズです。さぁ、弾いてみましょう。

♪〜♪〜♪〜♪〜




「ああ、やっぱりね」



09.05.09


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